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うさぎ

夜のフェアリー第8章の22

今日は マルゴの給料日だった。
店を閉めてから、従業員が マルゴの部屋に行って受け取るのだ。

ナンシーとアナベルはもう受け取りに行き、更衣室で騒いでいた。

「やっぱり給料日は最高よね」
「明日映画にでも行かない?」
「いいわね、そのあとカフェも行きましょうよ」

そこへロジータが厨房の後片付けを終えて部屋に入ってきた。

「ああ、疲れた、片付けに時間がかかったわ、ニールさんはうるさいんだから」

早く給料を受け取りに行きたいのに他の子より遅くなったことにロジータはお冠だ。
ロジータはエプロンを脱いでさっそく給料を受け取りに行こうとした。

そこへアナベルが呼び止めた。
「ロジータ、 マルゴさんの部屋にはまだオスカルがいるわよ」
「あたしたちと一緒にもらいに行ったんだけど、 マルゴさんがオスカルには話があるから残ってほしい、て言ったのよ」

「え、そう、でも、話が終わるのを待っていたら遅くなっちゃう・・ともかく行ってみるわ」
ロジータは待っていられないとばかりに マルゴの部屋へと向かった。

マルゴの部屋ではオスカルが給料のことで説明を受けていた。

「今月もご苦労様」
「あんたの給金はバイオリン演奏代を上乗せする約束だから中身を確認して頂戴」

マルゴの説明にオスカルは中身を確認する。
「え・いいんですか、こんなに」
「先月もバイオリンの演奏代だといって増やしていただいたところなのに」

給金が上がるのはオスカルにはありがたい話だが、こんなに増やしてもらうと申し訳なく思う。

「いいのよ、今月からあんた一人でやるショーも加わったから、その分の支払いよ」
「遠慮しなくてもいいのよ、うちだってその分儲けさせてもらってるんだから」
「では、ありがとうございます」

自分が役に立ったのを知りオスカルは、ほっとして給金を手にした。

「だけど、たいしたもんね」
「最初はあんたの見た目の良さ目当てでウェイターに誘ったら、たかが半年ほどでこれほど出世するとは」
「今じゃあんたは マルゴでの従業員の中で一番の高給取りだわ」

マルゴの台詞はオスカルには面はゆかった。
「 マルゴさんのおかげです」

その時、扉が勢いよく開いた。
「マダム!それ本当ですか!?」
「ロジータ!?」
「あんた話を聞いてたの?」

「え・・あたし・お給金をいただきに来て、それで、部屋の前まで来るとマダムの声が偶然聞こえてしまって・・」
ロジータは勢いに任せて部屋に入ってきてしまったのだ。

それに マルゴはやれやれと頭を押さえた。

「そ、それより本当なんですか?オスカルに一番高い給金を支払ってるというのは!」
「そうよ、当然でしょう、オスカルはウェイトレスだけでなくショーにも出てくれているんだから」

ロジータは マルゴの言い分に憤慨した。

「あ・あたしだって、厨房とウェイトレスの両方を手伝ってるのよ」
「この店のお菓子だってあたしが作ってるっていうのに!」
「何で入ったばかりのオスカルのほうがあたしより高い賃金をもらえるのよ!そんなのおかしいわ!」

我を忘れて反発するロジータに マルゴはきつく言い返した。

「ロジータ確かにあんたには厨房とウェイトレスの両方出来るし菓子作りも得意で助かってるわよ」
「けど現実をわかってないわ!厨房はニールとガイの二人で回ってるのよ、あんたを厨房に置いてるのはあくまで二人の手伝いをしてもらうためよ」

「あんたに菓子作りを任せてるのだって、うちの店で出す菓子は素朴で素人っぽいもので十分だからよ」
「うちの主な収益は酒とそれに合う料理なんだから!」

まさかここまで マルゴに言われるとは思わず、ロジータは困惑した。

「オスカルのバイオリンに関しては当然支払う代金よ、シャンソンだけでなくクラシックも聴ける店という評判で女性客が増えてイメージも上がった」
「それにあんたは知らないでしょうけど、音楽奏者を雇うのはかなり高額なのよ」
「普通に雇うのならこれくらいでは済まない金額だわ、それも知らないくせに生意気な口をたたくんじゃないわよ」

屈辱的な言葉を浴びせられロジータは悔しい思いに打ちひしがれていった。

「 マルゴさん、もうそれくらいにしては・・」
オスカルは自分のために二人が言い争いを始めどうしていいか困惑していた。

しかしロジータはきっとオスカルを睨みつけた。
そして マルゴのほうに向きなおり

「わかりました、 マダム、余計なことを言って申し訳ありませんでした」

マルゴも内心言い過ぎたかと気が付きややトーンを落とした
「わかればいいのよ、あたしも言い過ぎたわ」

ロジータは給金を受け取るとそのまま出ていこうとした。
しかしオスカルの横を通り過ぎながらごちた。

「オスカルはいいわね、何でも持っていて・・」

オスカルはロジータの言葉に打ちのめされた
ロジータが出ていったあと マルゴはオスカルに慰めの言葉をかけてきた。

「オスカル、あの子の言ったこときにしないでね」
「大丈夫・です」

内心ショックだったが、何とか気持ちを切り替えようとした

「あの、 マルゴさん、僕のお給金のことは以前通りで構いませんが・・・」
「それはありがたい申し出だけどね、でも何事にも相場ってものがあるのよ」
「人気の奏者をウエイトレス並みの金額で働かせてるのが知れたら、あたしの沽券にかかわるわ」
「だからあんたは余計なこと考えずに受け取って頂戴」

そうか、世間の人だって周りの目を気にして生きなきゃいけない。
特に マルゴさんは音楽を志したものとしてのプライドがある

「では、ありがたくいただくことにします」

同じ働く人から嫉妬の怒りを向けられるなどオスカルにはショックな出来事だった。
働いている同士でも意外なことでもめたりするんだ

でも、こういうことにも慣れていかなくちゃいけない・・・
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Posted byうさぎ

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