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うさぎ

夜のフェアリー第8章の25

相変わらず マルゴの店は忙しさを増していた。
元々ニールの料理と マルゴの歌のショーで人気の店だったが今はオスカルもいることで女性客が増えた。

店にとっては喜ぶべきことだが、従業員の数が足りないため店内はぎりぎりの人数で回していかねばならない
そのため、店が終わった後の従業員部屋では、今日もアナベルとナンシーの愚痴が続いていた。

「今日も疲れたわ、もうくたくたよ」
「早くアパルトマンに帰ってベッドでぐっすり眠りたい」

マルゴから皿洗いの仕事もやるよう言われ、仕事が増えてウェイトレス達はくたくただ

「だいたい、 マルゴさんがロジータを甘やかすからいけないのよ、身体の調子が悪いだなんて嘘に決まってる、これ以上あたしたちに負担をかけないでほしいわ」

「そうよ、こんなのが続いたら身体壊しちゃう」
「オスカルだってそう思うでしょ?」

ナンシーは横で着替えていたオスカルに話を振った。

「え・まあ・今の状態は大変だけど・・・ 」
「そうでしょ、やってられないわよねえ」

オスカルは二人にまた明日と告げて部屋を出ていった。
しかし、その前に マルゴの部屋によることにした。

週末に演奏の練習をしてはと提案しようとしたのだ、最近アンドレは休みの日にも仕事に出ている。
だが、部屋に近づいたところでニールの大声が聞こえた。

「もういい加減にしたらどうだ!」
「みんな余分な仕事を押し付けられて、不満がたまっている」
「ロジータは、もう来る気が無いと判断して、新しく人を雇い入れることを考えるべきだ」

ニールはロジータが体の調子を崩してなど信じてはいない様子だ。

「わかってるわよ!あんたに言われなくたって、でも・もう少しだけ待って・・」

マルゴもロジータが嘘をついているのはわかっているのだ
ニールに責め立てられるが それでも マルゴはうんとは言わなかった

「どうして?これ以上ロジータを待っててやる義理はないはずだ」

マルゴはためらいながら答える

「あの子いつか自分の店を持つのが夢だって言ってたの」
「そのために料理の修業がしたいっていうから調理場に行かせたわ、そのうち一人前の料理人にもなれるように」
「後悔して戻ってきたとき、もうすでに自分の居場所がないとしれば、あの子の夢をつぶすことになるわ」

ニールもそれは知っているのだが店の店主としての立場がある

「しかし、こっちがそこまで責任を持つ必要があるのか?」
「わかってるわ、けど、あたしの気持ちがすまないのよ」
「もう少し待って頂戴、せめて後3日だけ、・・」

「では、後3日だな」
「ええ、3日たったらね」

ニールに念押しされて マルゴは仕方なく答える
オスカルは二人の話を聞いて、納得した

もしやとは思っていたが、やはり マルゴさんは、ロジータが戻ってくるのを待っていたんだ。
情の熱い マルゴさんにしては、あまりにあっさりとあきらめてしまったと思ったが。
実は内心心配していたのだ。

話が終わったようなので、オスカルは扉をたたいた。

「誰?」
「オスカルです、演奏の練習のことでちょっと・・」
「わかった、入って頂戴」

「失礼します」
オスカルは中に入り会釈した。

「俺は先に帰っているよ、ゆっくり話してくれ」
ニールは気を聞かせて部屋から出ていった。

二人きりになり、 マルゴはオスカルを目の前の席に座らせた。

「週末の練習についてなら、あたしはかまわないけど、あんたのほうはいいの?」
「たまにはアンドレをかまってあげないと、男ってのは寂しがり屋なのよ」

マルゴにアンドレとのことをからかわれて、オスカルは顔を赤くした。

「大丈夫です、アンドレも、今忙しいので休日も仕事ですから」
「あの、それより・ マルゴさんは、ロジータを解雇する気なんですか?」

急にロジータの話をされ、 マルゴの顔から笑みが消えた。

「どうやら、この店の壁は薄いから漏れないように小さい声で話すべきね」
「すみません、つい気になってしまって・・」

小さくなったオスカルに マルゴは答えを返した。

「そうよ、後3日でロジータが来なければ、解雇するわ」

解雇・・その言葉はオスカルに重くのしかかった。

その気持ちを理解するかのように マルゴはオスカルの肩に手を置いた。

「あんたが気にすることじゃないわ」
「こうなったのはあの子の自業自得だから」

オスカルは決意するかのように話を切り出した。

「 マルゴさん!ロジータと話をしてみてはどうでしょう?」
「会いに行き、二人で話し合いをされては」

マルゴはオスカルの提案に驚いた。

「何言ってるの?ロジータが休んでることでどれだけ迷惑をかけられているか!」
「それが何であたしのほうからあの子に会いに行かなくちゃいけないの!」

イライラがたまっていたのだろうバンと机をたたいて怒りを吐き出した。
しかし、それでもオスカルは冷静に言った

「わかっています、でも マルゴさんも放っておけないから、ロジータを今まで辞めさせなかったんでしょう」
「それは・・・」
マルゴは口ごもった

「それなのにこんな風にお互い意地の張り合いで終わってしまっていいんでしょうか」

オスカルはさらに説得を続けた。

「 マルゴさん・・・私はロジータにうらやましいと言われました」
「私は何でも持っていると・私はバイオリンが弾けるし理解してくれる人もいる、そして何より マルゴさんからの信頼まで奪ってしまった」

「彼女にしてみれば、くやしかったんでしょう、後から来た私が優遇されてるようで」
「あれほど厨房の仕事を頑張っていたのに、自分がしてきたことを マルゴさんに認めてもらえてないとショックを受けたんです」

「このまま彼女を辞めさせては、 マルゴさん自身も後悔するのではないでしょうか?」
「 マルゴさんは、情の深い人だ、私を助けてくれた時のように、彼女が店を持つ夢を後押ししてあげたかったんでしょう?」
「もう一度会って話をされるべきなのではないですか?」

話が終わってもマルゴは相変わらず黙ったまま、他の場所を見ていた。

オスカルは余計なことを言ってしまったのか、と気持ちを暗くした。

「生意気なことを言ってしまい申し訳ありませんでした」
「ただ、彼女の気持ちがわかるような気がするんです、かつて私も同じ理由で身近な人を恨んだことがあるので」オスカルはかつて妹のイヴリンを羨んだことがある、両親の愛情を一身に受けて、アンドレさえも手に入れようとした彼女に嫉妬した。

頭を下げて出ていこうとした時 マルゴに声をかけられた。

「オスカル」
「はい?」
「明日の練習はやっぱり無しにして頂戴」
「あ・はい、わかりました」

やはり気を悪くしたのだろうか、私は余計なことを言っただけに過ぎないのか・・・

オスカルは マルゴの部屋を出ると、そのまま二階の部屋に戻っていった。
疲れているものの、今日もバイオリンの練習を始めようとした。

すると、いきなり咽せてゴホゴホと咳が出た。
しばらく胸を押さえながらせき込んでいたら何とか静まってきた。
まだ胸が痛む。風邪をひいたのだろうか?

寒くなってきたから、気を付けなければ。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2020/11/03 (Tue) 19:18
うさぎ

うさぎ

Re: あの、まさかのバッドエンドですか?

YU様、不安にさせて申し訳ないです。
しかし、物語の山場にさしかかると、ややこしい話になっていく、いつもの私のパターンですから、どうか我慢を。
最後がどうなるかは、根気よく見守っていてください~。
いつもありがとうございます♪

2020/11/04 (Wed) 19:25