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うさぎ

夜のフェアリー第8章の36

アンドレは マルゴとの話が終わり、部屋に戻った。
オスカルはもう目覚めており、アンドレがどこへ行ったか探していた。

「アンドレ」
見つけるとほっとした顔を見せた。

「起きていたのか?」
「ああ、さっき目覚めた」

気分が治ったようで幾分元気を取り戻していた。

「どこに行ってたんだ?」
「いや・・別に、ちょっとな」

マルゴとの話をオスカルに言うわけにいかず胡麻化した
「それより、夕食のシチューを作るよ」

アンドレはさっさとキッチンに行き、夕食作りを始めた。
残りの野菜を切り、火にかけて味を調える
それらの作業を無言で行った。

いつもは、夕食を作りながらも時折話しかけてくるのに。
無口な彼にオスカルは違和感を覚えた。

「出来たよ」

出来上がった夕食はベッドの横にあるサイドテーブルの上に並べる
オスカルの分はベッドにつけたワゴンつきテーブルに置いた

アンドレが食べさせると言い張ったが、オスカルが拒否するため購入したものだ。
いつもオスカルはワゴンテーブルでアンドレはすぐそばにサイドテーブルで見守りながら食事していた。

「では、いただきます」

オスカルはさっそくシチューを口に入れると
「うん、美味しい、やはりお前の料理には負けるな」

オスカルが、料理を褒めるがアンドレは考え事をしていて答えない
それをオスカルは不思議に思った。

「アンドレ、どうかしたのか?」

アンドレははっと気が付き急いで答える
「い・いや・・」
「何でもないよ」

その後もアンドレはまた何も言わずに食事をした。
オスカルは変だと思いながらも同じように黙って食事を続けた

夕食が終わり、アンドレはオスカルに薬を飲ませると食器を片付ける。
水道の蛇口をひねって水を出し洗い物を始める

アンドレは マルゴとの話を思い出し悩んでいた。
病気のことオスカルに言うべきなのか
自分はこれからどうすればいいのか・・・

その時足音が聞こえた。

「アンドレ・・」
振り向いたその場にはオスカルが立っていた。

「オスカル?」

思いつめた面持ちで聞いてきた。

「怒っているのか?」
「え?」
「お前のいいつけを破って料理なんてして」

「で・でも・・お前は仕事まで休んで、僕の世話に明け暮れている・・それが申し訳なくて」
「だから、せめて、たまには料理だけでも作ろうと」

オスカルは自分が無理して料理などしようとしたことをアンドレは怒っているのだと思った。
しかもそのせいで吐血して、余計に迷惑をかけてしまったと。

「もう、勝手なことをしてお前に迷惑をかけないから」
「だから、怒らないでくれ」

オスカルはアンドレのいつもと違うそっけない態度は怒っているからだと判断していた。
オスカルは心配そうな顔で見つめてくる

その顔は以前よりもはかなげで消え入りそうだ
気丈なくせに俺の態度一つでお前は不安になるんだな

俺を必要としてくれる蒼い瞳
たまらなく愛しさが募った

失いたくない!

「怒ってなんか・・いないよ」

涙がにじんでオスカルの顔が良く見えない
大きく首を振った。

「そうじゃない」
「そうじゃないよ、オスカル」

「俺はただ・・お前が・・・」

お前が・・・俺の目の前からいなくなるのが怖かったんだ!

オスカルを抱きしめ、泣いた。

目の前のこの人を失いたくなくて
奪われたくなくて

「アンドレ、どうしたんだ?」

オスカルが心配して声をかけてくるが、それでも俺は涙が止められず
多分彼女を抱きしめたまま嗚咽してたに違いない

お前のためなら何でもする・だから
神よどうか俺からオスカルを奪わないで
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Posted byうさぎ

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