FC2ブログ
うさぎ

夜のフェアリー第8章の38

おそらくとは思ってはいたが、医師から言われるとなおさらにショックを受けた。
しばらく茫然と医師の顔を眺めた後、ぽつりと言った。

「何故だ?」
「え?」

堪らず大きな声で叫んだ。
「あなたは、オスカルを風邪だと疲れているからと言って、休んでいれば治ると俺たちに言ったじゃないか!」
「それなのに、違っていた!いまさら、肺病だと言われて納得できるか!」

「あんたがあの時、オスカルを肺病だとわかっていれば、もっと早く治療できたんだ」
「あんたがあの時病気を突き止めていれば、もっと早く、・・・一緒に苦しんでやれたのに」

アンドレは誤診した医師を許せない気持ちが止められず怒りをぶつけた。
それに対して医師もつい言葉を荒げた

「わ、私だって誤診したくてしたわけじゃない!」
「肺病は風邪の症状と酷似していて、医師と言えども風邪だと判断するのは良くあることなんだ!」

「何だと!」

さらにかっとなるが、医師は言葉をつづけた。
「君にわかるか!私がどれだけたくさんの患者を見ているか!」
「この病院には毎日多くの病人が押しかけてくる」

「一人ひとり丁寧に診ている時間は私には無いんだ!」
「そうしなければ、すべての患者を診ることなどできはしない・・・」

医師の話は真実だろうと思った。
実際、病院には今日も多くの患者がひしめいている

だが、それでも・・・
「それでも・・俺は、オスカルの命を危険にさらす判断をした貴方を、許せない」
「オスカルは、俺のかけがえのない女だ・・」

どうしてこんなことになったんだ、よりによってお前がこんな目に・・・
悔しくて涙が出た。

医師は謝罪の代わりにアンドレにある提案をしてきた。

「私だって君たちに申し訳ないと思っているんだ」
「だから、出来る限りのことをしよう、と思う」

医師は、自分は肺病の専門医ではないからどっちにしてもこれ以上の診断は出来ないという。
しかし、代わりに肺病に詳しい医師を紹介しようというのだ。

その医師は、ファビスと言い、オージュという村に住んでいて肺病の治療に取り組んでいる
オージュは森に囲まれた自然豊かな土地でエレインとは違い空気が澄んでいて患者の身体に最適な環境だ。

その土地でファビス医師は何人もの肺病患者を完治させている。
オスカルもオージュで静養しながら治療に取り組むのが最善の策だ。

もしもアンドレらが願うのなら自分がファビス医師に連絡し、紹介状を書くので
そうすればオージュに移り住めるだろうといった

オージュへ!そこへ行けばオスカルの病気は治るのか?・・・
医師の話にアンドレは希望を見出した。

医師との話を終えて、アンドレはオスカルが休む部屋に行った。

そこは緊急時に病人が休める部屋で、オスカルはベッドに横になっていた。
しかし、眠っているわけではなく目を開けて、静かに天井を見つめるばかりだ。

きっと病気のことが気になって仕方ないんだろう
アンドレはオスカルの気持ちが痛いほどわかった。

「オスカル」
「アンドレ!ようやく話が終わったのか?」

オスカルは、アンドレを見つけ上体を起こした。

「ああ、今終わったところだ」
アンドレはオスカルが起き上がるのを心配し支える。

「さっき、また血を吐いたと聞いたが、大丈夫か?」
「うん、もうおさまって落ち着いたよ」

オスカルは力なく笑った。

「オスカル・・・帰る前に話がある」
「あ・・うん」

オスカルはいよいよ真実がわかると緊張する。
アンドレはベッドの前の椅子に腰かけオスカルはベッドの上で座った。

オスカルの手を握り、重々しい表情で話した。
「オスカル・・・お前の病気は、おそらく肺病だと言われた」

やはり私は・・・

「そうか・・」
「ああ・そうだ・・」

「そうか・・私の病気は・・」
オスカルはそれ以上声を出せないでいる。

アンドレはオスカルの気持ちを思えば胸が張り裂けそうだ。

そんな思いを隠して続けた。
「しかし絶対に治らないわけじゃない」
「先生がお前の病気の専門医を紹介してくれた」
「肺病患者を何人も救った優秀な医師だ、その人に治療してもらえるよう頼んでくれるというんだ」

「そのため、オージュに行こうと思う」
「オージュ?」

オスカルには聞いたことのない場所だ。

「ああ、その医者はオージュにいるんだ」
「オージュは自然豊かで空気の澄んだ土地だからお前の身体を良くしてくれるに違いない」

アンドレはオスカルの手をぐっと握った。

「オスカル、一緒にオージュに行こう、きっとそこでお前の病気は治る」
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 0

There are no comments yet.