選択後の二人①
もうオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェはいない
ここにいるのはアンドレ・グランディエの妻オスカル・フランソワ・グランディエ
と盛り上がったものの、まだ私たちは世間で認められた夫婦ではない。
世に言う、まだ恋人同士の仲なのだ。
オスカルとアンドレ、ようやく結ばれた二人はアンドレの住んでいるマルセイユの下宿に向かっていた。
アンドレはまだ仕事を抜け出した状態なので、オスカルを下宿先に預けようとしていた。
オスカルはアンドレに手を引かれながら歩いていたが、胸はドキドキしていた。
だって、アンドレは私の手を握って歩いている。
今まで彼は私の後ろを歩く従僕だったのだ。
それが堂々と街中で私の手を握り共に歩けるなど、まるで夢のようだ。
しかし・・・何故かみんな私たちを振り返って見ている気がする?
もしかして・・・私の女の格好がおかしいのだろうか?
あまりにお似合いのカップルだと見られているとも知らずに、自己評価の低いオスカルは悩みながらアンドレと共に急ぎ足で下宿先に向かっていた。
「アンドレ、ここがお前の住んでいる屋敷か?」
「屋敷というか、家だ、ここで下宿してるんだ、仮の住まいだから、おかみさんにお前も一緒に住めるよう頼んでおかなくちゃ」
二人は家の中に入り、おかみさんの姿をアンドレは探した。
オスカルはきょろきょろとあたりを伺ってみれば、ジャルジェ家のような豪華なつくりではないけれど、なかなか広いし掃除も行き届いていい屋敷ではないか、と考えた。
アンドレはおかみさんを連れて戻ってきた。
おかみさんは、60歳にはなっている女性のようだ、少しばあやのマロンに似ている人のよさそうな人だ。
「オスカル、こちらが俺がお世話になっている下宿のおかみさんのクロエだ、クロエこちらは俺の婚約者のオスカル・フランソワ」
ここへくる途中アンドレはオスカルに、自分たちはまだ正式な夫婦ではないのだから、他の人には婚約者だといって紹介するといわれたのだ。
婚約者といわれてオスカルは緊張した、そうか、私はアンドレの婚約者なんだ、何だか恥ずかしいが。・・・
「おや!アンドレあんた婚約者なんていたの?そんな人いるって何で今まで言わなかったのさ、しかもすごい美人だね」
「なかなかの美人だろう!クロエ申し訳ないが、彼女も今日からここで暮らせないかな?」
「今日からとは突然だね、大荷物を持って・・・いいところのお嬢様風で・・・もしかしてあんた達駆け落ちしたんじゃないの!」
駆け落ちを口にしたクロエは眼をらんらんと輝かして二人に詰め寄った。
アンドレは少し考えてからクロエに言った。
「実は・・・そうなんだ・・・オスカル、クロエは信用できる人だ、彼女になら本当のことをいってもいいと思う」
「クロエ、これは誰にも内緒にしてほしいのだが、彼女は貴族のお嬢様で俺はそこで働いていた従僕だ、いつの間にか俺はお嬢様であるオスカルと愛し合うようになったが、身分の差でどうしても結婚は出来ず、旦那様に見つかり、俺が先に屋敷を出て、後で迎えに行こうと思っていたがオスカルがその前に来てしまったんだ」
「ええ!アンドレあんた貴族でしかもこんな美人にそれだけ想われるなんてやるじゃないか!」
「好きな男と手に手を取って駆け落ちなんてあんたオスカルっていったっけ、気に入ったよ、いい度胸じゃないか!わかったよ、今日からアンドレと一緒にうちで暮らすがいいよ!」
クロエはどんと胸をたたいてそういった。
「それはありがたい!ありがとう、クロエ感謝する!」オスカルはうれしくてクロエに抱きついた。
「抱きつくのはあたしじゃなくてアンドレにだろ、それにしてもあんた男みたいな話方だね」
「いろいろとワケがあるんだ、オスカル悪いが俺の部屋で待っていてくれないか?仕事の途中で出てきてしまったから戻らないと、出来るだけ早く戻るようにするから」
「ああ、わかった」
「心配しなくても、あたしがオスカルの面倒を見ておくよ」
「ありがとう、クロエ助かるよ」アンドレはそういってローラン商会に戻っていった。
「さて、オスカルあんた遠いところからみたいだから疲れただろう、お茶でも飲むかね」
「ああ、ありがたい」
クロエはオスカルにお茶を入れながら次々と質問をした。
「オスカル、あんた貴族の娘で駆け落ちなんてして本当に良かったのかい?」
「もちろんだ、クロエどういう意味だ?」
「言っちゃ悪いけど、アンドレはあのとおりいい男だけど平民であんたのように身分も財産も持ってない、一緒になれば、あんたも平民として暮らすんだよ」
「わかった上で私はアンドレを選んだんだ、彼じゃないと駄目なんだ」
「何でアンドレなんだい?一時の気の迷いじゃないのかい?」
「そんなことはない!クロエは私とアンドレの愛情の深さをわかっていない!」
「私たちがどんな辛い思いをしてきたか、どれだけ悲しい日々をすごしたか・・・私たちはお互いが必要なんだ」
オスカルはアンドレと幼馴染で召使と主人であったこと、自分が男として育てられ軍人になったこと、ずっと彼は自分を見守って愛してくれていたこと、彼からの愛の告白、そして自らも彼を愛していると知り、恋人になったが主人と召使、軍では上官と部下として二重に許されぬ関係であったこと、周りを欺きつつもお互いの愛情を貫いたが将軍である父にばれて、引き裂かれた。
しかし心は離れなかった、軍での心残りがなくなった後、こうしてアンドレの元に来た、そこまでの話をオスカルはクロエに告白した。
オスカルの話はクロエには驚愕するべき話で、感動するばかりであった。
クロエはオスカルの話に深く感動しながら言った。
「オスカル、あんた偉いねえ、自分より身分の低い男を選んだだけでも驚きの事実なのに、その上男と育てられて軍人にされて、そこでも部下にできるだけのことをやった上でようやく好きな男の元に行くなんて泣かせる話しじゃないか」
クロエは本当に目元にハンカチを当ててそういった。
「わかったよ、あたしはあんた達の味方だからね安心おしよ!困ったことがあればなんなというんだよ」
クロエという女性はなかなか器の大きい女性のようで、体つきもマロンよりも大きい、そのせいか頼れる気持ちにさせるのだ。
「ならば、クロエ、ひとつ聞いていいかな?」
オスカルは早速質問した。
「なんだね、何でもお聞きよあたしにわかることならね」
「平民の妻とは夫にどんなことをするものなのだ?」
「まだ結婚もしてないのに家事の心配かい?」
「今まで召使がやってくれていたからな、しかも男としての教育しか受けていない、アンドレの妻になれば、私も家事が出来るようにならなければ、ばあやとも努力すると約束したんだ」
「ますます、けなげだねえ、オスカルあんたは、家事とは食事作りと洗濯と掃除なんかがそうさ、でもちょっとやそっとで覚えられるわけじゃない、根気よく学ぶ姿勢が大事なんだ」
「わかった!家事のことはあたしがあんたに教えるよ!明日から特訓だ」
「それは助かる!クロエお願いする!」
ここにいるのはアンドレ・グランディエの妻オスカル・フランソワ・グランディエ
と盛り上がったものの、まだ私たちは世間で認められた夫婦ではない。
世に言う、まだ恋人同士の仲なのだ。
オスカルとアンドレ、ようやく結ばれた二人はアンドレの住んでいるマルセイユの下宿に向かっていた。
アンドレはまだ仕事を抜け出した状態なので、オスカルを下宿先に預けようとしていた。
オスカルはアンドレに手を引かれながら歩いていたが、胸はドキドキしていた。
だって、アンドレは私の手を握って歩いている。
今まで彼は私の後ろを歩く従僕だったのだ。
それが堂々と街中で私の手を握り共に歩けるなど、まるで夢のようだ。
しかし・・・何故かみんな私たちを振り返って見ている気がする?
もしかして・・・私の女の格好がおかしいのだろうか?
あまりにお似合いのカップルだと見られているとも知らずに、自己評価の低いオスカルは悩みながらアンドレと共に急ぎ足で下宿先に向かっていた。
「アンドレ、ここがお前の住んでいる屋敷か?」
「屋敷というか、家だ、ここで下宿してるんだ、仮の住まいだから、おかみさんにお前も一緒に住めるよう頼んでおかなくちゃ」
二人は家の中に入り、おかみさんの姿をアンドレは探した。
オスカルはきょろきょろとあたりを伺ってみれば、ジャルジェ家のような豪華なつくりではないけれど、なかなか広いし掃除も行き届いていい屋敷ではないか、と考えた。
アンドレはおかみさんを連れて戻ってきた。
おかみさんは、60歳にはなっている女性のようだ、少しばあやのマロンに似ている人のよさそうな人だ。
「オスカル、こちらが俺がお世話になっている下宿のおかみさんのクロエだ、クロエこちらは俺の婚約者のオスカル・フランソワ」
ここへくる途中アンドレはオスカルに、自分たちはまだ正式な夫婦ではないのだから、他の人には婚約者だといって紹介するといわれたのだ。
婚約者といわれてオスカルは緊張した、そうか、私はアンドレの婚約者なんだ、何だか恥ずかしいが。・・・
「おや!アンドレあんた婚約者なんていたの?そんな人いるって何で今まで言わなかったのさ、しかもすごい美人だね」
「なかなかの美人だろう!クロエ申し訳ないが、彼女も今日からここで暮らせないかな?」
「今日からとは突然だね、大荷物を持って・・・いいところのお嬢様風で・・・もしかしてあんた達駆け落ちしたんじゃないの!」
駆け落ちを口にしたクロエは眼をらんらんと輝かして二人に詰め寄った。
アンドレは少し考えてからクロエに言った。
「実は・・・そうなんだ・・・オスカル、クロエは信用できる人だ、彼女になら本当のことをいってもいいと思う」
「クロエ、これは誰にも内緒にしてほしいのだが、彼女は貴族のお嬢様で俺はそこで働いていた従僕だ、いつの間にか俺はお嬢様であるオスカルと愛し合うようになったが、身分の差でどうしても結婚は出来ず、旦那様に見つかり、俺が先に屋敷を出て、後で迎えに行こうと思っていたがオスカルがその前に来てしまったんだ」
「ええ!アンドレあんた貴族でしかもこんな美人にそれだけ想われるなんてやるじゃないか!」
「好きな男と手に手を取って駆け落ちなんてあんたオスカルっていったっけ、気に入ったよ、いい度胸じゃないか!わかったよ、今日からアンドレと一緒にうちで暮らすがいいよ!」
クロエはどんと胸をたたいてそういった。
「それはありがたい!ありがとう、クロエ感謝する!」オスカルはうれしくてクロエに抱きついた。
「抱きつくのはあたしじゃなくてアンドレにだろ、それにしてもあんた男みたいな話方だね」
「いろいろとワケがあるんだ、オスカル悪いが俺の部屋で待っていてくれないか?仕事の途中で出てきてしまったから戻らないと、出来るだけ早く戻るようにするから」
「ああ、わかった」
「心配しなくても、あたしがオスカルの面倒を見ておくよ」
「ありがとう、クロエ助かるよ」アンドレはそういってローラン商会に戻っていった。
「さて、オスカルあんた遠いところからみたいだから疲れただろう、お茶でも飲むかね」
「ああ、ありがたい」
クロエはオスカルにお茶を入れながら次々と質問をした。
「オスカル、あんた貴族の娘で駆け落ちなんてして本当に良かったのかい?」
「もちろんだ、クロエどういう意味だ?」
「言っちゃ悪いけど、アンドレはあのとおりいい男だけど平民であんたのように身分も財産も持ってない、一緒になれば、あんたも平民として暮らすんだよ」
「わかった上で私はアンドレを選んだんだ、彼じゃないと駄目なんだ」
「何でアンドレなんだい?一時の気の迷いじゃないのかい?」
「そんなことはない!クロエは私とアンドレの愛情の深さをわかっていない!」
「私たちがどんな辛い思いをしてきたか、どれだけ悲しい日々をすごしたか・・・私たちはお互いが必要なんだ」
オスカルはアンドレと幼馴染で召使と主人であったこと、自分が男として育てられ軍人になったこと、ずっと彼は自分を見守って愛してくれていたこと、彼からの愛の告白、そして自らも彼を愛していると知り、恋人になったが主人と召使、軍では上官と部下として二重に許されぬ関係であったこと、周りを欺きつつもお互いの愛情を貫いたが将軍である父にばれて、引き裂かれた。
しかし心は離れなかった、軍での心残りがなくなった後、こうしてアンドレの元に来た、そこまでの話をオスカルはクロエに告白した。
オスカルの話はクロエには驚愕するべき話で、感動するばかりであった。
クロエはオスカルの話に深く感動しながら言った。
「オスカル、あんた偉いねえ、自分より身分の低い男を選んだだけでも驚きの事実なのに、その上男と育てられて軍人にされて、そこでも部下にできるだけのことをやった上でようやく好きな男の元に行くなんて泣かせる話しじゃないか」
クロエは本当に目元にハンカチを当ててそういった。
「わかったよ、あたしはあんた達の味方だからね安心おしよ!困ったことがあればなんなというんだよ」
クロエという女性はなかなか器の大きい女性のようで、体つきもマロンよりも大きい、そのせいか頼れる気持ちにさせるのだ。
「ならば、クロエ、ひとつ聞いていいかな?」
オスカルは早速質問した。
「なんだね、何でもお聞きよあたしにわかることならね」
「平民の妻とは夫にどんなことをするものなのだ?」
「まだ結婚もしてないのに家事の心配かい?」
「今まで召使がやってくれていたからな、しかも男としての教育しか受けていない、アンドレの妻になれば、私も家事が出来るようにならなければ、ばあやとも努力すると約束したんだ」
「ますます、けなげだねえ、オスカルあんたは、家事とは食事作りと洗濯と掃除なんかがそうさ、でもちょっとやそっとで覚えられるわけじゃない、根気よく学ぶ姿勢が大事なんだ」
「わかった!家事のことはあたしがあんたに教えるよ!明日から特訓だ」
「それは助かる!クロエお願いする!」
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