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うさぎ

カサノバな彼②


その日俺は、金持ちのパーティーに出席していた。

俺のコラムを出してくれている出版社の女編集長エメと同伴で。

エメは、俺のよき理解者だ。

ベルナールが俺をエメに紹介してくれて、俺はエメの出版社が発行している雑誌「モン ラパン」に恋愛コラムを書くようになった。

エメはかなりやり手の編集者で、長い金髪と蒼い眼を持つ美人編集長だ、有名作家とも交流があり、以前俺の担当を受け持ってくれていた。

アドバイスは的確だし、執筆者のやる気を起こさせてくれるありがたい存在だ。

一時付き合ったこともあった、3年くらいだったな、俺の女性遍歴からしたら最も長い。

エメはさっぱりした性格だし、俺が女性を深く愛せないのを見抜いてもいた。

だが、やはりエメも女だったんだな、別れたいと、彼女のほうから切り出された。

俺はすまない、としかいえなかった、だってエメが望むように愛せないのだから。・・・

その後、俺達は出会った頃のように友人同士に戻った。

今回のパーティーはエメのパートナーとしてだ。

エメは社交界でのニュースを探すべく、会場を探索してくるといって俺をおいて有名人著名人がいるパーティー会場に向かって行った。

残された俺は一人でバルコニーで静かに酒を飲んでエメを待つことにした。

ずいぶんと広い屋敷だ、聞くところによると、現在の将軍宅で、それも革命の時代は伯爵の称号を持っていた格式あるお屋敷らしい。

今日の祝いは将軍の娘の誕生パーティーだそうだ。

娘の誕生日をこんな大げさなパーティーで祝うとは上流階級の者のやることはわからん。

しかし、何故だろう、この屋敷を懐かしい、とどこかで感ずるのは、貴族のお屋敷など縁もゆかりも無いはずだ。

そう考えていると・・・こちらに走ってくる女性の姿が見えた。

スラックススタイルで、金髪の長い髪、蒼く輝く瞳が印象的なすごい麗人だ。

その麗人の走ってくる目的は・・・驚いたことに俺だった。

彼女は俺にたどり着いたか、と思えば、いきなり「アンドレ!」といって俺に抱きついてきた!

「アンドレ アンドレ ようやく会えた」

そういってきつく俺に抱きついて離さない!

興奮冷めやらぬ彼女は涙まで流して感動していた。

俺は何とか彼女を落ち着けようと声をかけた。

「俺を知っているんですか?」

そう聞く俺に彼女は

「何を言ってるのだアンドレ、わからないのか私だオスカルだ!」

オスカル?

どこかで聞いたことがあるような?

そうだ!このジャルジェ家の娘、そして今回のパーティーの主役がオスカル・フランソワとエメが言ってた。

「ということは、君はここのお嬢さん?」

「アンドレ・・・、そうかお前は私のことを覚えていないのだな・・・」

彼女は突如寂しそうな顔をした。

「私はオスカル・フランソワ確かにこの屋敷の主人ジャルジェ将軍の娘だ、そして今回のパーティーの主役」

彼女がようやく落ち着いて話し出したときに、年いった女中さんの姿がちらっと見えた。

「お嬢様、何処ですか! 求婚者の皆さん方もお待ちになってるんですよ! お嬢様、オスカル様!」

どうやら、彼女を探しているらしい。

しかし、彼女は突然俺の腕をとって、「やばい、アンドレ逃げるぞ!」そういって走り出した。

庭に続く階段がすぐ側にあり、彼女は俺の腕をつかんだまま降りて行った。

俺といえば、「何処へ行くんだ! メイドさんが呼んでるぞ!」といいながらも彼女の後に続いて走った。

「いいんだ!今回私の誕生パーティなどといって呼び出しといて実は婿選びのパーティーだったのだから!」

婿選び?そうだったのか、どうりでエメが瞳を輝かせていたわけだ、将軍の娘が今回のパーティーで婿を選んだとしたら社交界記事のトップだ。

彼女オスカルは屋敷の門までつくと門番に敬礼し、「見張りご苦労!」といってあっけにとられた顔の門番を尻目に再び俺の腕をつかんで駆け出して行った。

屋敷近くに公園があった、俺達はそこの噴水前につくと、ようやく走り終えた。

お互いズボンスタイルとはいえ、俺はタキシード、彼女はドレスではないものの、正式な場所でもおかしくない質の良いスラックススタイルだ、走るには適してない格好でこんな長い距離を走ったのだからへとへとだ。

二人ともハアハアとしばらく口も聞けないくらい疲れ果てて、座り込んでしまった。

何とか落ち着いてきた時、彼女のほうから俺に声をかけた。

「アンドレ・・・会いたかった・・・お前は私の恋人で夫なのだよ・・・」

突然の告白に俺は驚愕し、彼女の顔を見た!

すると碧眼の瞳から涙があふれ出ていた。

公園の薄暗い明かりの下でもはっきりわかる、彼女の真剣なまなざし、その表情を俺は美しい、と思った。

「アンドレ・・・愛している・・・」

彼女は俺を抱きしめていきなり口付けてきた。

俺はどうしていいかわからず、されるがままだった。

今までいろんな女性とつきあってきたが、このような迫られ方は初めてだ。

だが・・・どうしたことか、今まで感じたことが無い、胸の高まりをその時感じたんだ。・・・
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うさぎ
Posted byうさぎ

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