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うさぎ

カサノバな彼④

オスカルはアンドレと別れて自宅に戻ったその夜。

部屋に入り、一人になったとたんに、感動がこみ上げてきた。

「会えた・・・ようやく会えた!私のアンドレ・・・アンドレ・・・」

抑えていた感情があふれ出てくる。

彼女はずっと探していた前世の恋人に会えた喜びに涙した。

彼女はこの感動の再会を機に彼との思い出の記録をとっておこうと今日から日記を書くことにした。

「○月×日

ようやく彼と出会えた、いつか出会えると信じていた私のアンドレ

だが、彼は悲しいことに私のことを覚えていなかった。

私を覚えていないということは、私を愛していないのだ。

前世に私達がいかに愛し合ったかを彼に伝えても、無駄だった。

だが、そんなことでへこたれてはいられない、だって彼は私の運命の恋人なのだ。

だから、彼に提案をした。

私と付き合うところからはじめてほしい、と。

意外なことに彼はあっさりと私の提案を受け入れてくれた。

そしてにっこり笑って私の手に貴族のようなキスをしてくれた。

うれしかったが、今の彼は女性になれているのだな、とも感じた。

もしかして、今の彼には私以外にも付き合っている女性がいるのだろうか?



「アンドレ貴方パーティーから突然いなくなったと思ったら、お屋敷のお嬢様とアバンチュールとはさすがに名うてのプレイボーイね、手が早いこと!」

ここはエメの勤める出版社の中、昨日のパーティーから消えた俺をエメは怒っている、とはいえ、エメは大人の女性だ、皮肉を浴びせる程度で済ませてくれる、こういうところが付き合いやすい女性なのだ。

「別に俺が手を出したんではないよ、むしろあちらのほうからのお誘いなんだ」

「ということは、アンドレ、貴方ジャルジェ氏のお嬢様に見初められたわけ?」

「そうだな・・・愛しているって言われたし」

「えぇっ!ジャルジェ氏の娘といったら、どんなに両親が見合いを勧めてもうんと言わず、あまりに両親が結婚を進めるので家まで出て行ったっていうはねっかえりらしいわよ」

「それが何で貴方に?」

「どうも俺は前世の恋人だったらしい、彼女は俺と会えるのをひたすら信じてたから求婚者達から逃げ出したと言ってた」

「前世?それはロマンチックね、そんなのを信じている女性がいまどきいるの?」

そうなんだ、彼女オスカル・フランソワは見た目ゴージャスな美人なのに、話してみた彼女はまるで子供のようにまっすぐな人だった。

「アンドレ、貴方彼女と付き合うつもり?」

「実は、付き合うって約束したんだ」

「悪い人ね、純粋培養の彼女を手玉に取るつもり?」

エメはまた俺の悪い癖が出た、と笑っている。

「そんなつもりはないよ、俺は真剣だいつもね」

そういって俺は出版社を出て行った。

俺はどこかで、今度こそ愛せるかもしれない、と期待しつつ女性と付き合ってきた。

しかし、いつもその期待ははかなく失われる、何度こんな思いをしただろう。

だから、彼女だって期待はずれに終わるかもしれない。

そう覚悟していたんだ、それなのに。
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うさぎ
Posted byうさぎ

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