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うさぎ

3ヵ月後の二人④

いきなり声をかけられて驚いたが、店の奥から出てきたのでどうやらこの店の主人のようだった。

だが思っていたより若い主人だった、アンドレより少し年上だろうか?と思えるくらいで、スマートで好感のもてる風貌の男性だった。

「ああ、勝手に読んでしまってすまない」立ち読みしていたから注意されたのかと思ってオスカルは謝った。

しかし、店の主人はニコニコして「かまいませんよ、気に入られたのなら光栄です、実はこれは私が書いた本なのですよ」

主人の話に驚いてしまいオスカルは

「これを貴方が!では貴方は作家なのですか?」

「作家と呼ばれるほど知名度はありませんが、一応何冊か書いています、そしてこの店の主人でもあるのです」

「それは失礼しました、貴方の作品を立ち読みなどして、興味がわきましたが、恥ずかしいことに、そんなに持ち合わせが無いのです」

オスカルは恥ずかしそうに言い訳をした、しかし彼は気にもせずに

「それは、それは私としては処女作である「身分違いの恋人」を気に入っていただけたならうれしい限りです、もしよろしければプレゼントさせてください」

いきなりの申し出にオスカルは驚いてしまい

「それはいけません!見ず知らずの貴方に、そんな贈り物をされては困ります」とはっきり断った。

その返答に店の主人は、少し考えてから「それはそうですね、いや、失礼しました、私としては自分が書いた作品を貴方のような人が興味を注がれたのがうれしかったのです」

「それでは、どうでしょう?この本屋は貸し出しも行っています、もしも気に入っていただけたなら貸す代金だけでも本を読むことが出来ます」

事実、本屋の壁に店の本貸し出し有り、と張り紙が張ってあった。

値段は買うよりかなり安い。

このくらいなら支障は無いだろう、と思え、オスカルは

「ではこの本をお貸しいただけますか?」と願い出た。

店の主人はそれを聞いてうれしそうに「もちろんです」と答えた。

オスカルはその本を手にして家に戻った。

早速、部屋に戻ってから、その本「身分違いの恋人」を読んでみた。

主人公の男性は、金持ちではあるが平民の男だ、だが貴族の娘と知り合い、愛し合うようになった。

娘の父親は平民との結婚など許さぬ、と怒り心頭で二人は引き離された。

だが、二人は父親の眼を盗んで駆け落ちをして結ばれる。

しかし、現実は厳しく、二人は男の生まれ故郷で暮らしたが、娘は華やかな貴族の生活が忘れられず、新しい暮らしになじまなかった。

彼のほうは最初は自分のために貴族の生活を捨ててくれた彼女を気遣って暮らしたが、いつになっても貴族としての自分を捨てようとはしない彼女に絶望するようになっていった。

最後には彼女は元の貴族の生活に戻っていった。

二人はけして互いが嫌になったのではない、だがそれまでの暮らしと価値観の違いから心が離れてしまったのだ。

オスカルはあまりにも自分とアンドレに似ている境遇な話に驚いてしまった。

この物語の男女も貴族と平民で結ばれぬ関係でありながらそれを超えて結ばれた、だが一緒に暮らし始めると二人の仲は破局に向かった。

私達の場合、最初はとても上手くいっていたはずだ、しかし、最近はアンドレは朝早く夜遅くに戻ってきてなかなか顔も見られない生活になってしまった。

これは、私達もいずれこうなるという予兆なのか!

そんなのいやだ!
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2015/08/12 (Wed) 05:24

うさぎ

Re: あらあら

F様、どうやらマドモアゼルって言葉が気になるようですね。

でもオスカル様はまだ婚姻前なので、マドモアゼルなのですよ一応。

しかし、妄想していただいてうれしいです、その後一波乱あるかは微妙~です。

2015/08/12 (Wed) 21:15