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3ヵ月後の二人⑥

「もし興味をもたれたのなら、他に客もいないことですし、お茶でも飲みながらお話ししていきませんか?」

「私の名はクリスチャンです、」

「私の名は、オスカル・フランソワ」

オスカルは突然の誘いに戸惑ったが、主人の話を聞いてみたかった、だから了承してしまった。

「本の中では別名にしてありますが、別れた彼女の名はセシリア、彼女は伯爵令嬢で私は商人の息子で平民の生まれです、私達は身分の差を越えて愛し合った」

「私達は運命の恋だと信じ、彼女は親の反対を押し切って私の元に来てくれました」

「彼女は全てを捨てて私を選んでくれた、だから私は彼女の選択を後悔させまいと必死で働きました」

「だが、彼女は、華やかな昔の暮らしが恋しくなり、何度もパリに足を運ぶようになり家を開けるようになりました」

「どんどんと心が離れていくのがわかった、やはり彼女は貴族だ、もはや貴族以外の何者にもなれない、そう思って私から別れを切り出し彼女を貴族社会に戻したんだ」

「彼女の最後の言葉は、結局私は貴方のお人形だったのね、といわれました、」

「その時点ではその場しのぎの言い訳だと思っていたが、別れて数年たった今、ようやくその意味がわかってきたんです」

「私は自分ひとりがやっきになって働き、彼女の寂しさや孤独を考えていなかった」

「苦労させたくないばかりに、何もさせず、もっと彼女との時間を大切にするべきだった」

「そして彼女に甘えるべきだったんだ」

「甘える?」それまで黙って聞いていたオスカルは初めて疑問を感じた言葉だった。

「貴族で何も出来ない彼女よりもずっと世間慣れしている貴方が甘えるのですか?」

「オスカル、男というものは実に情けない生き物なんですよ」

「愛する女性を生涯守っていく決意をしていても、内心は女性に支えてもらいたい、心を癒してほしいのです」

「セシリアとしては私が家事など一切しなくてもいい、と言ったからその通りにしただけなんでしょう」

「だが、セシリアから一杯のお茶でも私のために入れてくれたとしたら、それだけで心が癒されたはずだ」

「彼女はそんなことを思いもよらない人だった、そして私も強制もせず、ただ彼女の自由にさせてしまった」

「身分が低い男にはコンプレックスが付きまとうものなのです、彼女が自分のために捨ててくれたものを思うと特に金の苦労はさせたくない、だから彼女の側にいる時間まで割いて必死で働いた」

オスカルは、アンドレもそうなのだろうか?私が何もかもを捨てたことをいまだに悪いと思って朝も夜も無理して働いているのか?

「私はそのときのことを人生の教訓にしようと小説として残しました、私自身の人生の大切な一ページでもあるのですから」

「悲しい恋をなさったのですね」

「もしかして私とアンドレも貴方とセシリアと同じなのかもしれない」

「クリスチャン実は私も貴族でした」

オスカルからそういわれてもクリスチャンは驚かなかった。

「何となくそうではないかと思っていたんですよ、それもかなり位の高い貴族の雰囲気が貴方にはある、」

「私は従僕であったアンドレと愛し合い、何もかもを捨てて、彼の元に来ました、彼は私を受け入れてくれて幸せに暮らしていたのに最近の彼はおかしいのです、最近の彼は貴方の言うようにやっきになって働き出した」

「本当に仕事のようだし、私への思いやりも感じられる、けれど何か隠している気がしてならないのです」

「彼も貴方と同じで、私への申し訳なさで無理をしているのかもしれない、だとすれば私はどうすればいい・・・」

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 4

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2015/08/14 (Fri) 10:32

ちえ

はじめまして

はじめまして。うさぎさんの小説と出会い拝読させていただいてます。私は、《アンドレの願い》と《オスカルの選択》がものすごくお気に入りです。何度も読み返し毎回涙が止まりません。特にアンドレの願いの中のオスカルの手紙は、オスカルの気持ちが表れていて電車の中で読んでいた時、涙がポトリとおちてしまい焦りました(笑)
今も、3年後の二人もこの先どうなるのだろうと毎回のUPを心待ちにしています。これからも頑張って下さい。又、イラストも楽しみにしています。

2015/08/14 (Fri) 11:17

うさぎ

Re: No title

こんにちはM様リゾート中だというのにコメントありがとうございます!

カサノバハッピーエンドで満足できましたでしょうか。

次の「3ヵ月後の二人」はまったりとした内容ですので落ち着いて読んでもらえればうれしいです。

今日時間がありましたので、戯言を書いて見ました。

オスカル様を平民として生きさせる私なりの考えってやつを、考え方は人それぞれですから強制は出来ませんが、お二人を幸せにするにはこれしかない、との考えなんです。

本当に変なお天気ばかりですね、ご心配ありがとうございます、これからもよろしくです。

2015/08/14 (Fri) 16:23

うさぎ

Re: はじめまして

はじめまして、ちえ様、うさぎです!

おお!「アンドレの願い」と「オスカルの選択」お好みになってくれましたか!

どちらもすっごい気合が入った作品です、それらを好んでくれなんてとってもうれしいです。

オスカルの手紙は最初、これだけ独立してタイトル「オスカルの手紙」で短編か詩のようにアップしようと思っていたんです。

しかし、これはアンドレの願いで使える、と思ってアンドレに愛を伝える手紙にしたんです。

アンドレの願いではオスカル様は十分にアンドレへの気持ちを伝えきっていないで亡くなってしまいましたから。

そのように深く感銘していただいて本当にうれしいです、ありがとうございます。

イラストはねえ、たまにサボろうかと思って短編のショコラでサボったところ、なんだか物足りないんですよね。

やっぱり、イラストあったほうがカッコいいんじゃないかと思われ、上手くも無いのに自己満足で続けています。

出来るだけいいのを書けるよう努力いたします、ありがとうございました。

2015/08/14 (Fri) 16:35