FC2ブログ
うさぎ

3ヵ月後の二人⑩

翌日アンドレはある目的があるため、仕事を早々に切り上げて帰った。

その目的とはクリスチャンが経営する本屋に向かうためだった。

クロエに聞いたとおり、自宅までつながる道を横に曲がったところにその店はあった。

店内は豊富な種類の本が並んでいて、本好きなオスカルには楽しくてたまらない店だろう。

アンドレが店を眺めていると奥からクリスチャンが出てきた。

「何かお探しですか?」

アンドレはクリスチャンを見て思った、なるほどクロエが言ったように女性から関心を引きそうな男だ。

「いや、店の主人のクリスチャンさんを尋ねてきたのだが、それは貴方でしょうか?」

「いかにも私がクリスチャンです、もしかして貴方がオスカルの恋人のアンドレ?」

「どうしてわかるんですか?」初対面なのに何故?とアンドレは不思議だった。

「オスカルから貴方のことを聞いていたら、何となくイメージがわいてね、作家のためか想像力だけは人より持っているんですよ、想像通りの方でしたよ貴方は」

クリスチャンは気さくに話すタイプだ、上品な物腰、知性も高いのだろう。

こんな魅力的な男とオスカルが会っていたのかと思うと嫉妬心が渦巻く。

「私に何か御用ですか?」

「オスカルが貴方にお世話になっているようで、一度お会いしてみたかったんです」

クリスチャンはその言葉に笑ってしまった。

「そうではないでしょう?貴方はただ私に会いに来たのではない、恋人を誘惑しているかもしれない男の顔を見にきたのでしょう」

「驚く必要はありません、先ほども言ったでしょう、想像力だけはあると、」

「オスカルのような魅力的な女性が私のような独身男と親しげにしていると知れば、恋人の貴方が黙っていられないのは当然だ

私がオスカルを貴方から奪おうとしていないか真意を確かめに来たのでしょう」

「そこまでわかっておられるなら話は早い、失礼ですがお聞きします、貴方はオスカルをどう思っていますか?」

「なるほど、直球型ですね、わかりやすくて良い、お答えしましょう、もちろん好意を持っています」

「当然じゃないですか、あのような女性はめったにいるものではない、貴族でありながら何もかも捨て、貴方についてきた、そして愛する人のために今の暮らしを受け入れようとするあの姿に私は感動さえ覚えました」

「その感情は友人としての好意だけとは俺には思えないのですが」

「そうですね、貴方の言うとおり、私はオスカルに惹かれている」

「私も貴族の娘と恋仲になり一時は結ばれたが、彼女はオスカルのように平民の暮らしになじもうとしなかった、彼女は私を愛してはくれたが、貴族としての誇りを捨てようとはしてくれなかったんですよ」

「それなのにオスカルは貴方といる今の生活が幸せだと言う、あの意志の強さと愛情深さに感動し私は惹かれた、彼女とならもう一度女性を信じられるのにと思えたのです」


「そうですか・・・それならクリスチャン、もうオスカルには会わないでいただきたい。」

「オスカルは誰にも渡さない、彼女を我が物にしたい貴方と今後もあわせるわけには行かない!」


「お待ちください、私はオスカルを不幸にはする気は無い、彼女は貴方を何者にも変えがたく愛している、そんな彼女を私がくどいたとしたら、傷つくのは彼女だ」

「私とオスカルはとてもいい友人関係でいるつもりですよ、彼女が嫌がることを絶対にしない、ただ、彼女が悩んだとき力になってやりたい、今回だって本気で貴方と上手くいくように助言したつもりだ」

「貴方はオスカルに惹かれながらも友人としての自分で満足できるというのか?そんなことが出来るはずがない!」

だがクリスチャンは落ち着いた様子で

「出来ますよ、彼女の人生のひとつに組み込まれた、それだけでも満足です、私は彼女が自分の愛をどのように昇華させるのか見てみたい、失礼ですが貴方達の愛は何処か刹那的なものを感じます、だからこそ美しい、そして限りなく深い」

「私がオスカルに自らの気持ちを告白するとすれば、貴方と彼女の愛が壊れたときだ、しかし可笑しいことに私はその日が来ることを誰よりも望んでいないのですよ」

「こんな屈折した愛情が貴方のオスカルへの愛に勝てるわけが無い、果たして愛情と呼べるのかも疑わしい、だから私はあくまでこの気持ちを押しとどめながら彼女のよき友人に徹しようとしたのですよ」


クリスチャンという男はオスカルに実に複雑な愛情を持ったのかもしれない、自分がかつて愛した女性と同じ境遇でありながら、違う道を選ぼうとするオスカルに興味を抱くのは当然だし惹かれるのもわかる、しかし本当にこのような男をオスカルの友人として認めてしまってよいのだろうか?

しかし、オスカルは親しい友が出来て喜んでいる、実際彼のおかげでオスカルは前向きになれた。

「悩んでいるようですね、しかし本当は悩む必要などもう無いんです、だってオスカルは先ほど私に別れを告げに来ました」
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 1

There are no comments yet.

うさぎ

No title

Y様こんばんは、アンドレギャルソン姿ですか?確かに似合いそう!

けど、18世紀にギャルソン姿てどのようなのですかね?

美男美女だとモテますからねえ。

寂しいって結構いえないですよ、オスカル様のキャラなら余計に。

アハハ、Y様とこは、なかなか厳しいのですね!

2015/08/18 (Tue) 20:55