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うさぎ

クールな彼女⑦

数日前のことだった。

アンドレが病院から退院して、オスカルは仕事に忙しい日々を送っていた。

彼の怪我に付き添って秘書としての仕事が山積みになっていて目が回るくらいの忙しさだった。

だが、オスカルは忙しいほうが気がまぎれるくらい落ち込んでいた。

自分のためにアンドレが重症を負った、そのまま亡くなる可能性だってあったのだ。


そんなオスカルにジョゼフが会社に直接訪問して面会を申し入れた。

亜麻色の髪の美しい青年は、オスカルに自分の前世はフランス皇太子ルイ・ジョゼフだと名乗った。

「オスカル、会えてとてもうれしいです、僕は貴方をずっと探していたんだ、だから貴方が父の会社にいることを知り、父にお願いして縁談を申し込んでもらいました」

「断られても何度でも申し込むつもりだった、その間に貴方はアンドレと恋仲になってしまったけど・・・」

「それでも、あきらめられず、今度は直接申し込みにやってきました、どうか僕の気持ちにこたえてほしい」


「ジョゼフ、私は年上だし、アンドレとの仲を知っているのに何故?」


「僕は前世の記憶を持って生まれた、それは叶えたい望みがあったからだ、健康な身体で生まれ変わる、そして愛する人を妻にしたい、それが僕の望みだった」

「僕は望みどおり健康な身体で生まれ育った、そしてもうひとつの望みを叶えたい、貴方を妻にする望みを、そのためなら多少のリスクは厭いません」


ジョゼフは強い意志を持った青年だった。

前世で叶えられなかった夢を現実にするためならオスカルの過去に何があったとしてもかまわない、というのだ。

オスカルはアンドレのことで心に傷を負っていたところに、このジョゼフの申し入れはまるで運命のようにさえ思えた。


自分はアンドレと別れるべきなのだ・・・そう考えていたところの、ジョゼフの申し込みだった。


「オスカル、すぐに決めてくれ、とは言いません、実は今度わが社の新商品イベントがあるのは知っておられますね」

「そのイベントは僕が企画立案したものなんです、そのイベントにはパートナーが必要です、オスカルあなたが必要なんです」

「父に貴方をお借りするようお願いしました、イベントの相談相手とパートナーとして僕の家でしばらく暮らしてほしい、そして僕とのことを考えてほしいのです」

これを受けるということはジョゼフとの付き合いを了承したのと同じだ。

少し前なら当然断っていただろう、オスカルとしてはアンドレがいるのだから、たとえ前世が皇太子ルイ・ジョゼフでも。

しかし、今のオスカルは。

「わかりました、ジョゼフ、パートナーの件はお受けいたします、わが社にとって大事なイベントだ、それに・・・私もアンドレと別れる決意をしたところです」

「だからといって貴方といきなり結ばれるなど出来はしない、返事は時間を置いてからにしていただきたいのです。」

「だけど、アンドレには貴方と付き合っていくと伝えさせてほしいのです、私が他の男性と結ばれると知れば、彼も私をあきらめるでしょう」

「貴方の好意を利用して申し訳ないが、ジョゼフ私の願いを聞き届けてほしい」


ジョゼフはオスカルの申し出を受けた、アンドレと別れるための口実として利用してくれていい、と言って。

オスカルがアンドレ以外の男性を受け入れるなどありえない話だが、今のオスカルは必死だった、そして相手が前世のフランス皇太子ルイ・ジョゼフだったことが決意させた大きな理由だ。

オスカルはルイ・ジョゼフに深い思いいれを持っていた。

彼のたった7歳での死はオスカルの心に大きな傷を負わせた。

それが生まれ変わり、立派な若者に成長して、眼の前に現れて、自分に求婚してきた、彼は約束を守ったのだ。

そのことにオスカルは心を動かされた。

アンドレとは別れなければいけない、それならば私はジョゼフの気持ちを受け入れるべきではないのか?と考えてしまったのだ。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 1

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うさぎ

No title

MARU様ややこしい話でしょう。
今までオスカルだけが前世の記憶を持っていたのに、ジョゼフまでも持っていてしかもオスカルにぞっこんですから。

アンドレは苦難続きです。

2015/09/09 (Wed) 21:12