半年後の二人④
翌日オスカルは早速クロエにクレマンソー侯爵の夜会にアンドレと共に出席することを報告した。
クロエは「それはいいことだ、オスカル、アンドレに恥を欠かせないようにおしとやかにするんだよ、そして出来るだけ侯爵に気に入られるよう頑張るんだよ」
「あたしは若い頃、貴族のお屋敷務めをしてたんだ、だから当日はあんたの準備の手伝いをやってあげるよ」と張り切って答えた。
「それは助かる、私一人では心もとなかったんだ」とオスカルはクロエの協力が心強く思った。
そしてその後オスカルは買い物に行くついでにマルセイユに来て初めて友達になった本屋の主人クリスチャンのところへ行った。
「いらっしゃい、オスカル」
「こんにちはクリスチャン、借りていた本を返しにきたんだ」
「それはどうも、」
「クリスチャン、少し聞きたいのだが貴方はクレマンソー侯爵って知ってるだろうか?」
「ああ、最近マルセイユに引っ越してきた侯爵ですね、彼が何か?」
「侯爵はアンドレの職場の客なんだ、侯爵は今度夜会を開くそうでアンドレと一緒に私も招待を受けた」
「そうですか、オスカル貴方も・・・実は私も招待を受けていましてね」
「クリスチャン、貴方も!」
考えてみれば彼は貴族ではないものの、ここら辺の名士なのだ。
「ええ、でも小説のほうが忙しくてねお断りしたんですよ」
「そうか、残念だないてくれれば心強かったのに」
「意外ですね、オスカルあなたが招待を受けるとは思わなかった」
「貴方は貴族の伯爵令嬢だったんでしょう、それが貴族の屋敷の夜会に出るなど複雑ではないのですか?」
「確かに複雑な心境だ、だけど、アンドレの仕事の役に立つことなんだ、私はマルセイユに来てからアンドレの世話になりっぱなしだ」
「彼一人に養ってもらうのは申し訳ないから、私も働こうと考えたんだが、どうしても彼が許してくれない」
「だから、せめて彼の仕事の役に立つことをしたいと考えたんだ」
「相変わらず、お熱いですね、貴方たちは」
「しかし、気をつけるように、クレマンソー侯爵のことはいささか知っていますが、彼は芸術家でね、悪い人ではないのですが、貴方のような神秘的な美しさには眼が無いはずだ、」
「芸術家らしく、浮名を流したことも何度かあって、しかもまだ独身ですよ」
「何で私が目をつけられるのだ、こんな色気の無い女に?それにアンドレの婚約者として呼ばれている、私達二人が結婚しているも同然だと知っているのだから大丈夫だ」
このように、オスカルはいつまでたっても男として生きた日々の価値観が消えていない、そのため、自分はもてない女だと決め付けている。
「オスカル貴方は本当に自分の美に関して知らなすぎる、しかし、そこが貴方の魅力でもあるのかもしれませんが」とクリスチャンは心配しながらも、いつまでも少女のようなオスカルをほほえましく感じていた。
「ともかく、何かあったときは、相談してください、貴方は私の小説のイマジネーションを膨らませてくれる存在なんですから」
クリスチャンは真剣に心配していてもオスカルを茶化すように言う、それが彼の安心させるテクニックでもあるのだ。
オスカルはその後クリスチャンにさよならして家に戻り、今日も夕食を作ってアンドレの帰りを待つ。
しかし、今日はその前に夜会に着るドレスを出しておかなければ。
しみじみ眺めてみたがばあやが持たせてくれたドレスだから、かなり豪華だ、これなら他の女性たちにも見劣りすることはないだろう。
○月×日
今日はアンドレが帰ってくる前に日記を書いた。
ドレスを見ていると書きたくなってきたのだ。
だって、これを着て夜会に出るのだ、アンドレと一緒に。
そう思うだけで興奮してきた。
これが女心というものなのか?
アンドレと夜会に行き、アンドレと踊る、アンドレは綺麗だといってくれるだろうか?
ああ、ロマンチックな夜になるといいのだけれど・・・
そんな気持ちの盛り上がりのままに日記を書いているとアンドレが戻ってきた音がした。
急いで日記を閉じて、アンドレのただいまの挨拶の口付けを受けるべく、扉に駆けていった。
アンドレが扉を開くと、オスカルがいつもより早く玄関に到達していることに一瞬驚いたが、オスカルのうれしそうな笑顔を見ると、自分の帰りを待ちかねてくれていたのだと愛しくなり、「ただいまオスカル」といってオスカルの望む口づけを交わしてくれた。
クロエは「それはいいことだ、オスカル、アンドレに恥を欠かせないようにおしとやかにするんだよ、そして出来るだけ侯爵に気に入られるよう頑張るんだよ」
「あたしは若い頃、貴族のお屋敷務めをしてたんだ、だから当日はあんたの準備の手伝いをやってあげるよ」と張り切って答えた。
「それは助かる、私一人では心もとなかったんだ」とオスカルはクロエの協力が心強く思った。
そしてその後オスカルは買い物に行くついでにマルセイユに来て初めて友達になった本屋の主人クリスチャンのところへ行った。
「いらっしゃい、オスカル」
「こんにちはクリスチャン、借りていた本を返しにきたんだ」
「それはどうも、」
「クリスチャン、少し聞きたいのだが貴方はクレマンソー侯爵って知ってるだろうか?」
「ああ、最近マルセイユに引っ越してきた侯爵ですね、彼が何か?」
「侯爵はアンドレの職場の客なんだ、侯爵は今度夜会を開くそうでアンドレと一緒に私も招待を受けた」
「そうですか、オスカル貴方も・・・実は私も招待を受けていましてね」
「クリスチャン、貴方も!」
考えてみれば彼は貴族ではないものの、ここら辺の名士なのだ。
「ええ、でも小説のほうが忙しくてねお断りしたんですよ」
「そうか、残念だないてくれれば心強かったのに」
「意外ですね、オスカルあなたが招待を受けるとは思わなかった」
「貴方は貴族の伯爵令嬢だったんでしょう、それが貴族の屋敷の夜会に出るなど複雑ではないのですか?」
「確かに複雑な心境だ、だけど、アンドレの仕事の役に立つことなんだ、私はマルセイユに来てからアンドレの世話になりっぱなしだ」
「彼一人に養ってもらうのは申し訳ないから、私も働こうと考えたんだが、どうしても彼が許してくれない」
「だから、せめて彼の仕事の役に立つことをしたいと考えたんだ」
「相変わらず、お熱いですね、貴方たちは」
「しかし、気をつけるように、クレマンソー侯爵のことはいささか知っていますが、彼は芸術家でね、悪い人ではないのですが、貴方のような神秘的な美しさには眼が無いはずだ、」
「芸術家らしく、浮名を流したことも何度かあって、しかもまだ独身ですよ」
「何で私が目をつけられるのだ、こんな色気の無い女に?それにアンドレの婚約者として呼ばれている、私達二人が結婚しているも同然だと知っているのだから大丈夫だ」
このように、オスカルはいつまでたっても男として生きた日々の価値観が消えていない、そのため、自分はもてない女だと決め付けている。
「オスカル貴方は本当に自分の美に関して知らなすぎる、しかし、そこが貴方の魅力でもあるのかもしれませんが」とクリスチャンは心配しながらも、いつまでも少女のようなオスカルをほほえましく感じていた。
「ともかく、何かあったときは、相談してください、貴方は私の小説のイマジネーションを膨らませてくれる存在なんですから」
クリスチャンは真剣に心配していてもオスカルを茶化すように言う、それが彼の安心させるテクニックでもあるのだ。
オスカルはその後クリスチャンにさよならして家に戻り、今日も夕食を作ってアンドレの帰りを待つ。
しかし、今日はその前に夜会に着るドレスを出しておかなければ。
しみじみ眺めてみたがばあやが持たせてくれたドレスだから、かなり豪華だ、これなら他の女性たちにも見劣りすることはないだろう。
○月×日
今日はアンドレが帰ってくる前に日記を書いた。
ドレスを見ていると書きたくなってきたのだ。
だって、これを着て夜会に出るのだ、アンドレと一緒に。
そう思うだけで興奮してきた。
これが女心というものなのか?
アンドレと夜会に行き、アンドレと踊る、アンドレは綺麗だといってくれるだろうか?
ああ、ロマンチックな夜になるといいのだけれど・・・
そんな気持ちの盛り上がりのままに日記を書いているとアンドレが戻ってきた音がした。
急いで日記を閉じて、アンドレのただいまの挨拶の口付けを受けるべく、扉に駆けていった。
アンドレが扉を開くと、オスカルがいつもより早く玄関に到達していることに一瞬驚いたが、オスカルのうれしそうな笑顔を見ると、自分の帰りを待ちかねてくれていたのだと愛しくなり、「ただいまオスカル」といってオスカルの望む口づけを交わしてくれた。
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