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うさぎ

ショコラの誘惑⑬

オスカルが去った後の俺は、また元の暮らしに戻った。

普通の大学生に戻りアルバイトでピアノを弾き歌を歌う生活に。

彼女と再び会える日は来るのだろうか?

俺はいつまでも待つといったが、彼女が戻ってくるという保証は無い。

それでも俺は待つ、だって彼女は運命の人だから。・・・


ある日ベルナールが聞いてきた。

「アンドレお前が以前大学に連れてきたのは「マドモアゼルオスカル」のオスカルだったんだな!後になって気がついたよ、お前どうやって知り合いになったんだ?」

「オスカルのことか、彼女はスクリーンの中から出てきたんだ」

俺はオスカルとの出会いをベルナールに説明した。

彼は、俺が小説のオスカルに思いを寄せていたのも知っている。

やつは、実らぬ恋をしている俺を心配してくれていた。

だから俺がオスカルを大学へ連れてきたときは面食らってもしかして彼女か?と聞いてきたのだ。

「そうか、彼女と知り合って恋したのか、しかしお前も運の悪いやつだな」

「小説の中の主人公に恋したかと思えば今度は主人公を演じた女優に恋するなんて・・」

「あきらめるんだな、普通の大学生には手の届かない存在だ」

その後ロザリーもオスカルが女優だと知り、俺を心配して来てくれた。

「オスカルは女優だったんですってね、特別なオーラを持ってる方だとは思ったけど、・・」

「残念だわ、またお会いできる日を楽しみにしていたのに・・映画女優だなんて早々会えないものね」

「アンドレも辛いでしょうけど・・オスカルと私達では住む世界が違うわ・・」

アランやディアンヌも同じことを俺に言いに来た、誰もが女優であるオスカルは別世界の人間だと言って俺にあきらめろと言う。

確かに普通の大学生には彼女は手の届かない人だ。

だが俺はそのためにもある決心をした。


今日も俺は「セラヴィ」にやってきた。

店のグランドピアノを眺めながら俺は改めて強く決意した。

俺は彼女が現れるまでは歌とピアノが人生の喜びだった、しかし俺にはラブソングが上手く歌えない悩みがあった。

俺は女性を愛したことが無かった。

ラブソングは愛する人に捧げる歌、愛する人を思い浮かべて歌うからこそ素晴らしく歌えるんだ、それが彼女が現れて俺は初めて心からのラブソングを歌えた。オスカルを愛したからこそラブソングが歌えたんだ。

男が一人の女性によって人生の選択を決めるなど滑稽に見えるかもしれないが、彼女が現れたからこそ俺は新たな道が切り開けたんだ。


アンドレはイスに座りピアノの蓋を開けて曲を奏でだした。

曲目はショパンのエチュード、アンドレには珍しく激しい曲だが、今の彼の心境にはふさわしい気がしたからだ

ショパンを奏でながらアンドレはオスカルとのことを考えていた。


きっかけはたった一冊の小説本、何気なく読んだ小説本に俺は不思議なくらいのめりこんでしまった。

たった一冊の小説本が俺の人生を変えた。

多分あの本は俺とお前が出会うための運命の一冊。

あの本に導かれて俺達は出あったんだ。

そしてわずかな期間だったが俺はお前と触れ合うひと時を過ごせた。

あの2週間に俺はお前への愛を全て注いだ。

オスカルお前は言ったね、たった2週間で恋など出来ないと・・

それは違うよ・・・俺はお前に出会った瞬間、わかったんだ!

俺はお前に運命の恋をしてしまうことを!

俺が生涯の愛を捧げる女性に出会えたんだと、わかったんだよ!


お前は言ったね、俺はすぐにお前のことを忘れてしまうと・・

違う・・・違うよ・・・

愛はここにある! あるんだよ!

お前を想う気持ちは今でもこの胸の奥深くに住み着いたままだ。

お前と語らい、並んで歩き、口付けした、あの時の感動は、あの時の胸の震えは、今でもこの胸の奥に刻み込まれたままだ。

オスカル俺はお前に会いたい、会いたくてたまらない!

だけど俺がお前に会うにはお前にふさわしくならなければいけないんだ!

そのために俺はお前が言った人々に感動を与えるミュージシャンになるよ。

そして、オスカルいつかお前に近づいてみせる。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2015/12/14 (Mon) 23:14

うさぎ

Re: タイトルなし

L様そうなんですよね、身分の差に近いくらい二人の距離は離れているんです。

友達にあきらめろといわれるのはきついと思います。

ショックのことはもちろんアンドレの悲しい現状のことです。

今までオスカル様と楽しく過ごした後ですから、別れの後は悲しくなります、特にアンドレが。

しかし、そうでしたねショコラの場合幸福な未来を描いているから、そんなに落ち込まみませんよね。

いつも励ましありがとうございますL様

2015/12/15 (Tue) 16:34