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うさぎ

ショコラの誘惑⑭

オスカルはドイツに渡り映画撮影の演技に投じる日々を送っていた。

今回はオスカルが悩んでいた黒い騎士と令嬢のラブシーンだ。

オスカルは令嬢の衣装に身を包み緊張していた。

果たして自分に恋する女性を演じられるのだろうか?

ここで私が演じ切れなければ映画のクライマックスが駄目になる。・・・

そこへ黒い騎士役のアンソニーがやってきた。

彼は今若い女性の中で人気上昇中の若手俳優だ。

「オスカル、緊張しているようだね、しかしそれは僕も同じだ、だからリラックスして行こう」

「アンソニー、私が女性らしさを演じ切れなくて貴方には迷惑をかけました」

「いや、とんでもないよ!こちらに来てからの君は目を見張る上達振りだ、スタッフとも言ってるんだ、オスカル君が本物の令嬢にさえ見えると」

オスカルは驚いてアンソニーを見た。

彼はうなずいて優しく微笑んだ。

「よければ後でお茶でも一緒に」アンソニーはそういってその場から去って言った。

そして問題のラブシーンの撮影が「シーンxxx用意スタート」の掛け声で始まった。

屋敷の自分の部屋で愛する人と結ばれぬわが身を嘆く令嬢の前に黒い騎士がバルコニーから現れる。

驚く令嬢に黒い騎士は手を差し伸べて言う。

「姫、俺と一緒に来るか?」

「俺は愛以外は何も無い!地位も名誉も財産もお前を全てのものから守る術も持たぬ男だ、それでも付いてくるか?」

「黒い騎士、私に迷いは無い!連れて行って!それが天国でも地獄でも貴方と一緒であればかまわない・・」

「苦労かけるぞ」

「貴方と一緒なら後悔などしない、私は黒い騎士、貴方だけがほしい・・」

「俺もだよ」

そして二人は見つめあい口付けを交わす。

オスカルは黒いマスクをしたアンソニーの黒い瞳を見つめた。

アンドレと同じ黒い瞳に黒い髪、あの時お前は私に口付けした。

初めてあったときも、その次に会ったときも、いつもいつもお前はその黒い眼で優しく私を見つめてくれた。

観覧車で夜景を眺めながらお前はどんな想いで私の手に口付けしたのだろう?

サプライズで私のために歌ってくれたときお前はどんな想いで歌ってくれたのだろう?

そしてはじめての口付けにお前は愛を私に伝えてくれた。・・・

あの時も・・・そしてあの時も・・・私の胸は震えたんだ!

この想いは何だろう?切なくて苦しくて、ただいとおしいこの想いは

たった2週間の出会い、たった2週間の恋。

だけどお前はその2週間で私に精一杯の愛を伝えてくれた。

会いたい・・・アンドレお前に会いたい・・・会いたくて・・たまらない!


やがて二人は口付け終えて抱きしめあう。

「カット」監督の言葉でオスカルは現実に戻った。

「オスカル、迫真の演技だったな、泣いてるじゃないか」

ギルバート監督に言われオスカルははじめて自分が泣いているのに気がついた。

「オスカル、私は君を始めてみたとき、その神秘的な美しさは伯爵令嬢の役にピッタリだと思い抜擢した。」

「だが、撮影を始めてみて君には恋する女性の表現が足りないのがわかって、焦ったよ」

「しかし、君はここに来て変わった、切ない恋をする令嬢になりきっている」

「ギルバート監督・・・ありがとうございます」

「オスカル、君は恋をしてるんだね」

「私が・・・恋を・・」

「そうでないとあんな顔は出来ないよ、恋人を想う切ない感情が見ている人に伝わってくる」

ギルバート監督はさらに続けて言った。

「それに・・・綺麗になった」

「監督、それはお世辞でしょう」

「いや、それも君が恋をしている証拠だ、知っているかい、恋をすると女性は女らしく綺麗になるんだ」

女らしく綺麗になれる?私でも?

私は今までの人生を全て父に決められてきた、いずれ家督を継ぐのだからと男子のように育てられてきた、そしていずれ父の決めた相手と婚姻を結ぶのだと教えられてきた・・だけど。

誰も教えてはくれなかった・・・これが恋する気持ち・・・

恋する気持ちなど・・・恋とは何かを、誰も・・

アンドレ、お前以外は誰も私に教えてはくれなかったんだ。・・・


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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

There are no comments yet.

ローズマリー

ドキドキものです

これから、どうなるのでしょう!?
ふたりの愛の行方…
勿論、ハッピーエンドでしょうね!?

2015/12/15 (Tue) 16:50

うさぎ

Re: ドキドキものです

R様離れてしまうとやはり不安は募ります。

待っている側のアンドレは特に。

果たしてショコラの幸福までたどり着けますかどうか。・・・


2015/12/16 (Wed) 16:09