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うさぎ

ショコラの誘惑⑰

オスカルはフランスに戻りようやく完成した映画が上映されてからも忙しい日々を送っていた。

「エステル、今日の予定は映画のスポンサーが開くパーティーに出席するだけなのだな?」

「そうだけど、何か他に用事でもあるの?」

「行きたいところがある、だから早めに切り上げてもいいだろうか?」

スポンサーの主催するパーティーだから最後までいたほうが覚えが良いに決まっているからエステルとしては返事に悩む。

だがオスカルは珍しく反抗した。

「私は今回の映画のために一切のプライベートは無しにした、それは映画を完成させようとするスタッフの期待に答えようとしたからだ、だから必死でこの映画に取り組んだ、そしてもう映画は完成した、だからもういいだろう!」

「会いたい人がいるのだ、どうしても会いたい人がいる!お願いだエステル!」

「オスカル・・・わかったわ、それほど言うなら少し早めに切り上げましょう」エステルはオスカルの真剣な様子に逆らえなかった。

こんなオスカルははじめて・・・

スポンサーの主催するパーティーは「伯爵令嬢と黒い騎士」の出演者の多くが出席していた。

映画の人気が高いので主役のオスカルとアンソニーはあちらこちらで握手を求められたり写真を求められたりして引っ張りだこだった。

バラの花束まで用意して渡してくるファンもいた。

だがオスカルはパーティーでは落ち着かず時間ばかり気にしていた。

パーティーには監督のギルバートも出席していてオスカルに声をかけてきた。

「やあ、オスカル、映画の評判がいいとスポンサーもご機嫌だ、どうやら次回の映画も出資してもらえそうだ、今度の映画にも君にオファーしたいんだが、どうかな?」

だがオスカルは神妙な顔で答えた。

「ギルバート監督、貴方の映画に出していただいて素晴らしい経験をさせていただきました、けどしばらく女優業は休みたいと思っています、他にやりたいことがあるのです」

「そうか残念だな、君は素晴らしい素材の持ち主なのに、またいつか私の作品に出てくれよ」

「ありがとうございます、監督いつかまた」

側で聞いていたエステルは、オスカルに驚いて詰め寄った。

「オスカル何を言い出すの!ギルバート監督の映画を断るなんて、せっかく続けて主演を演じるチャンスなのに!今回の成功をお父上もお喜びになってるのよ」

「エステルすまないが、今回は私の好きにさせてほしい!、今まで仕事の管理してくれた貴方に勝手なこと言ってると思うが、この半年間私は映画に全ての時間を費やした」

「もう!もういいだろう!自由にさせて!父には私から言う!」

「だって・・・ようやく会えるんだ・・・彼にようやく・・・」

オスカルの言葉にエステルは驚き

「オスカル、貴方まさか好きな人が出来ていたの?女優としてこれからなのに、ジャルジェ氏は知っているの?」

「父は関係ない、もう私は大人だ自分の意思で決めたんだ」

そういってオスカルはエステルを振り切ってパーティー会場から出て行こうとした。

この時間なら彼は「セラヴィ」でバイト中のはずだ。

彼は待っていてくれる、きっと待っていてくれる。

だって私は忘れられなかった・・いつものようにすぐに消える夢だとあきらめようともしたがお前は私の胸の中に住み続けていた。

初めて私は自分で決めた、それはアンドレお前に会えたからこそ出来たんだ。

会うんだ!絶対会うんだ!

そして私の気持ちを聞いてほしい!

そこへアンソニーが声をかけてきた。

「オスカル、もう帰るのかい?良ければお供しようか?」

オスカルはアンソニーに首を横に振って答えた。

「アンソニー私は本当の私の騎士の元に行くよ、スクリーンの中なんかじゃない現実に生きている本物の私だけの騎士に会いに行くんだ」
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2015/12/20 (Sun) 09:08

うさぎ

Re: No title

N様カゼひいてるのに視聴ありがとうございます。

もてる男は大変なんです、お酒もおちおち飲んでられない。

やはり、そこはヒロインが登場しなくてはね。

2015/12/20 (Sun) 17:54