ショコラの誘惑⑳
そしてその奥の店の者の休憩室に二人は飛び込んだ。
幸い部屋には誰もおらず、アンドレは急いでドアを閉めて鍵をかけた。
そして次の瞬間思わずアンドレはオスカルを思い切り抱きしめてしまった。
「オスカル!」
「本当にオスカルなのか?俺はまた夢を見ているんじゃないだろうな」
「お前が現れる夢を俺は何度も見た、だが眼が覚めるとお前はいない・・」
オスカルはアンドレの不安をかき消すようにアンドレの両手を自分の顔にあてがった。
「アンドレ・・・私はここにいる・・お前の元に戻ってきたのだ」
「待っていてくれたのだろう?・・ずっと待っていてくれたのだな」
「そうだよ、待っていた・・・オスカルお前を待っていたんだ」
「みんなお前をあきらめろと言ったが俺はあきらめられなかった・・だってお前はどうしても俺の心から消えていかないんだ・・」
「どんなに不釣合いでも、お前が愛してくれなくても・・・それでもお前を愛してる」
彼がアンドレがどれだけ私を想ってくれたかがわかる・・この半年間どれだけ・・
涙があふれて止まらない・・・だが伝えなければ・・・私の心を胸のうちを・・・
「すまない・・・お前を不安にしたまま行ってしまって・・・」
「信じられなかったのだ・・・このような出会いが私に訪れるなど・・・私に・・・こんな人が現れるなど・・」
「私は・・・ずっとずっと一人ぼっちで寂しかった・・・」
「本の中のオスカルにはアンドレがいたから孤独ではなかった・・だが私には誰もいない・・・」
「こんな私にアンドレのような人が現れるとは思えなかったのだ・・・」
「お前は、あまりにも私の前に鮮やかに現れた・・・お前は男みたいな私には勿体無いほど素敵で優しくて・・」
「そんなお前が私を想ってくれるなど・・・信じられなかったのだ」
「離れてしまえば私のことなど忘れてしまうとあきらめていた・・」
「だが・・・だがお前はこんな私を真実想ってくれた・・・」
「ギルバート監督に言われた・・・恋すると女らしく綺麗になるって・・」
「す、すこしは私も女らしくなれただろうか?・・」
オスカルは照れたようにドレス姿の自分を俺に見せてきた。
そこで俺は「オスカル俺にはお前は世界一女らしくて可愛く見える」と答えてやった。
オスカルはほっとしたような顔をしたかと思うと再び緊張した顔になって
「アンドレ・・・お前が・・・好き・・・好きだ・・」
「アンドレ・・お前は私に・・」
オスカルはそこまで言うと大きく息を吐いて思い切って叫んだ。
「永遠に解けぬ恋の魔法をかけた!」
「愛している!」
オスカルは真っ赤になりながら俺に愛の告白してくれた。
純情なオスカルの死ぬ思いでの愛の告白に俺は感涙ものだった。
「俺もお前を愛してる!」
「オスカル愛してる・・もう・・・気が狂いそうなほど愛してる!」
俺はオスカルを改めて思い切り抱きしめた。
「もう離さないよ、もう二度と離さない、ずっと一緒だ」
オスカルはうんうんといいながら俺に抱きしめられていた。
だが、まだ彼女の恥ずかしい思いはこれからなんだ!
だって俺のうんと熱い口付けがこの後待っているのだから。
小説を読んで恋をして スクリーンを見てさらに恋をした
そして現実に出会ったお前に運命の恋をして
俺は身の程知らずな恋に夢中になって彼女を誘惑した
離れ離れになった期間が余計に恋心を募らせ、
俺は死にそうなくらい落ち込んだが、今度は彼女に誘惑された
これは・・・奇跡!
そして今眼の前にいる彼女を見て俺は・・・真実の愛を手に入れたと確信したんだ!
一見クールで冷めて見える彼女だが、実はシャイで純情でロマンチスト
しかも意外と甘党でショコラとスイーツが好きな俺のオスカル・フランソワ
彼女は ショコラの香りのする俺の恋人
the end
