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うさぎ

ショコラのクリスマス⑥

オスカルはその後気を取り直してロザリーと楽しく会話するように勤めた。

女友達とクリスマスを過ごすなど今までの私にはありえなかったのだから、これも楽しいではないか、と気持ちを切り替えるようにした。

ロザリーも家族の話、特にジャンヌという双子の姉がいて、これがいつも問題を起こす名人なのだと楽しい話を聞かせてくれた。

オスカルは華やかな社交界の話を聞きたがるロザリーに、あそこは家にふさわしいお相手を探す場所だと詳しく説明して聞かせたりして、それはそれで二人は盛り上がった。

オスカルとロザリーの二人は対照的な魅力だ、ロザリーは可愛らしさを振りまき、誰にでも好かれる、オスカルはというと何処にも無い神秘的なだれもが見惚れてしまう美しさを持つ。

そんな目立つ二人が隠れた場所にいても他の男性の目に付くのは当然のことだった。

ウェイターが二人のテーブルに寄ってきて「あちらの席の方からお二人にシャンペンをプレゼントだそうです」といってシャンペンのボトルが入った氷入りのワインクーラーを持ってきた。

二人は言われた席の客を探すと、そこには若い男性二人が手を振ってこちらを見ていた。

そして二人の男性は近寄ってきて「女性二人でいらしたんですか、良ければ同席してもよろしいでしょうか?」と話しかけてきたのだ。

オスカルはこんな誘いは初めてのことでどう対応していいかわからず、悩んでしまったが。

ロザリーとしては、オスカルがきているのに当のアンドレは他の女性客ばかりに相手をしている。

それがどうしても面白くなくて、ここは少しばかりアンドレを焦らせようと思いついてしまった。

「よろしいですよ、私達二人も女同士で退屈していたところなんです、楽しませてくれるならうれしいですわ」といって男性達に席を勧めた。

「それは、うれしいな、こんな可愛いくて美しいマドモアゼルが二人も」

「本当に謎だな、こんな美しいお二人をほうっておくなんて世の中の男性は何処を見ているんだろう、僕達は最高にラッキーだ」

「僕はガストン」

「僕はグレン」と二人の若者はそれぞれ名乗った。

彼ら二人は魅力的な女性二人がお相手の男性もいないようなので思い切って声をかけてきたのだが、まさかこんなに上手くいくとは、と興奮気味に話してきた。

「君達二人は大学生?中がよさそうだけど二人は同じ大学なの?」

「いいえ、オスカル様と私の通ってる大学とでは格が違うわ、でも偶然に出会ってとても仲良くなったの」といってロザリーはうれしそうにオスカルに会釈した。

「そうなんだ、ロザリーとはまるで親友のように仲良くなれて、今までこういった友達がいなかったからとてもうれしいよ」オスカルとしても普通の大学生はこういった付き合いもあるものなのかとロザリーに合わせた。

「そうか、偶然の出会いによって結ばれた友情なんだな、では偶然によって誕生した友情に乾杯!」とグレンが声を出した。

そして4人で乾杯と言い合ってシャンパンのグラスを軽く当てて酒を飲んだ。

それから若者二人を含めた会話が始まり、隠れた場所がにぎやかになった。

「僕達は二人で会社経営しているんだ、IT関係でね、今は10人ほどの少規模でやってるけど、そのうちもっと従業員を増やして大きくしていくつもりだ」

「すぐそこのビルの3階にオフィスを構えている、良ければ訪ねてきてくれ」と名刺まで出してきた。

それまで女性客の相手や客のリクエストに答えていたアンドレだが、オスカルがいる席から男性の声がするのに驚き、そちらに目を向けた。

するとオスカルとロザリーがいるテーブル席に若者二人が同席しているではないか!

アンドレとしては、どういうことなのか?10時になればすぐにオスカルと出て行けるようにロザリーとネルに頼んでおいたのに、男性と同席しているなんて予定外だ。

しかも、この女性客のしつこいこと、しかしネルに「アンドレ、あんたの彼女を思う気持ちもわかるけど、あんたはプロになるんだろう、そしたらファンは大事にしないと」

「彼女の前だからと言って、女性客につれなくしてはいけないよ」と苦言をさされていたのだ。

オスカルが気になりつつも、後2時間ほどの我慢だとアンドレは自分に言い聞かせながらピアノを弾き続けた。

しかしオスカル達と同席したガストン、グレンの若者はこの美しいマドモアゼルとの出会いに夢中でいろいろと話しかけていた。

「オスカル君は伯爵令嬢と黒い騎士のヒロインに似ているね、僕は彼女のファンなんだ、だから君みたいな人はタイプでね」

「ああ!オスカル様は彼女に似ているって評判なのよ、だから良く間違えられるわ」と急いでロザリーが答えた。

「そうそう!他人のそら似ってやつかな、おかげで苦労するんだ」とオスカルも焦って答えた。

「そうか、しかし彼女いきなり女優業を休業するって聞いて、かなりがっかりしたんだ、これからってとこなのに」

そんな風ににぎやかなオスカルのいる席をアンドレは気になってしようがない。

何でようやく愛する人が戻ってきてはじめてのクリスマス件彼女の誕生日をこうして離れた場所で過ごさなければいけないんだ。

あの離れていた時間の辛さを取り戻すように本当は彼女といたいのに、当の彼女は他の男と楽しく酒を飲んでいる。

そして俺はというと、こうして女性客に取り囲まれながらピアノを弾いている、こんなのあんまりじゃないか!
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うさぎ
Posted byうさぎ

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うさぎ

No title

あけましておめでとうございますH・R様!

多分お忙しいのだろうと思ってました、来てくれてうれしいです♪

思ったより早めに掃除が終わったので時間が出来たのです。

そこで時期遅れだけど書きかけのクリスマスが出来ました。

さて、美貌のお二人ですから、何もしなくてもお邪魔虫は寄って来ます。

しかも、アンドレは将来唄を本業とする身、人気商売ですから、ファンを獲得していかねばならないのです。

お二人のやきもきするクリスマスを見守っていてください。

いつもH・R様のコメントは私にさらなる想像を与えてくれます。

2016/01/05 (Tue) 13:50