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うさぎ

ショコラの涙④

オスカルの父ジャルジェ氏への挨拶はアンドレがレッスンに集中できるようにライブコンサートが終わった後にすることにした。

不安はぬぐえないものの少しでも夢に向かって進んでいこうと二人は強く決意したのだ。

アンドレのライブコンサート会場となる場所は、繁華街のはずれに建つ一棟のビルだった。

ビルの中にはいくつものミニホールがあり、劇団やアーティストがコンサートを開くのにはうってつけの建物だ。

オスカルはコンサートの当日、早めに屋敷を出てコンサート会場へと向かった。

ビルの前までたどり着くとビルの入り口でアンドレがオスカルを待っていた。

「オスカル、コンサート会場は2階だ」といってホールがある階まで連れて行ってくれた。

確かに2階にある裏口らしき扉を開くと小さいがちゃんと客席がある会場になっている。

せいぜい入って100人くらいだろうか?それでもアンドレのライブコンサートをここで開くのだと思えば感動する。

アンドレはオスカルに一番前の席に座らせた。

「まだ一般客は入れてないんだ、この席が一番舞台が見れる場所だ、ここで俺が歌うところを見守っていてほしい」

「わかった、ずっと見ているからな、穴が開くほど見ていてやるぞ」

「そうだ・・・見ていてくれ、お前は俺の歌の女神アオイデなんだから」

「私がお前の歌の女神ならば、お前は私の吟遊詩人だアンドレ」

「では、吟遊詩人が女神のために歌いますのでとくとごらんあれ」

ふざけたようにアンドレは言ったが顔は真剣そのもので座っているオスカルにひざまずき彼女の手を取りその手に口付けした。

内心は緊張しているのだろう、けれど私が父のことで不安がってるだろうと和ませてくれているのだ。

「アンドレ・・・お前は私の吟遊詩人・・私がお前のアオイデならばお前を素晴らしく歌わせるよ・・」

オスカルはアンドレの額に唇を当て、どうか素晴らしい演奏が出来ますように、と心の中で祈った。


「そろそろ控え室に戻らなければ、じゃあまた後で」といってアンドレは控え室に戻って行き、オスカルは一人客席に座ったままでコンサートの始まりを待った。

そうしているとコンサートを見るために訪れた客を入れる時間になった。

ぞろぞろとホールに入ってくる客の顔を見ながらオスカルは、この人たちはみんなアンドレの歌を聴きに来てくれたのだ、と一人ひとりを愛しくさえ感じてしまった。

アンドレはセラヴィの客しか知られていないので、そんなに多くのファンは持っていないが、それでも半数以上の席が埋まった。

それは新人としてはかなり多いほうだろう、それは彼の写真入のチラシが効果を生んだと思われた。

隣の席の二人づれで来た女子高生が話しをしていた。

「アンドレ・グランディエってアーティストは知らないんだけど、先日配っていたチラシで彼の写真が載っていてね、それがすごくステキだったから、つい来てしまったわ」

「確かにカッコいいわよね、歌がどんなのか知らないけど、写真どおりのマスクなら一見の価値がある、と思ってあたしも来てみたの!」

初めてライブコンサートを開くのだからこのように彼の甘いマスク目当ての客が多いのだな・・・けど、彼の歌の素晴らしさを知ればもっと彼に夢中になってしまうに違いない

私のように・・・オスカルはそう確信していた。

そして、開演時間だ。

舞台の幕が開きグランドピアノの椅子に座ってアンドレがピアノを奏ではじめる。

始まりの歌は「パリの空の下」

アンドレにお似合いな優しい曲だ、やがて彼は歌い始める。

アンドレの明るく伸びやかな歌声、歌うのを楽しんでいるかのように彼は歌う、小さなコンサートホールにまるで青空が見えるようだ。

スポットライトを浴びて歌う彼の姿は輝いている。

アンドレの歌う姿にみんな息を呑んで魅入っている、やはり彼の歌は素晴らしい、そして歌っている彼はもっと素敵・・・

一曲目が終わり、そして次は彼のオリジナル曲「永遠のラブストーリー」「異世界の恋人」「夢であえたら」「カサノバな彼」「クールな彼女」「夢のラストダンス」と次々に歌っていく。

バックのバンドに後押しされてはいるが彼のピアノは間違いなく光輝いている、これがアンドレの作り出す音楽の世界!

そして、最後に彼が歌ったのはオスカルに捧げた「ショコラの恋人」を彼は歌った。

出会いは街の映画館

エンディングで泣いてしまった僕を君は慰めてくれたんだ
、と歌っていく。

これはオスカルの歌、オスカルのためだけの歌、そして二人だけにわかる思い出を歌にしたのだ、だからこの歌を歌うときは二人の心は重なり合いやがてひとつになっていく。

オスカル、俺はお前のために歌う、この曲を歌うときは、観客の誰よりも聴いてほしいお前のために。

お前への愛を込めて歌うんだ。

アンドレは大事なコンサートのラストにこの曲を選んでくれた、彼の私への想いが伝わってくる、アンドレお前はどれだけ私を愛してくれるのだろう

私はアンドレに愛されている・・・そして私も彼を愛している

歌っているときが二人の世界、俺達は二人で音楽をつむいでいくんだ・・・

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

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2016/02/03 (Wed) 17:44

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2016/02/04 (Thu) 14:57

うさぎ

No title

S様見に来てくれていたんですね♪

アンドレの歌声はもちろん素敵です♪

そうですね、女優とアーティストの二人が結婚なんて芸能欄の一面を飾るでしょう!

2016/02/04 (Thu) 15:58

うさぎ

Re: タイトルなし

P様歌のタイトル何にしようかと悩んでたら、そうだ今までの物語のタイトルでいけるじゃないかと気がつき採用しました。

一応私のオリジナルですからね~。

しかしP様タイトルで過去に作品に改めて興味を持ってもらえたなんて感激!

2016/02/04 (Thu) 16:01

うさぎ

Re: No title

N様こんなコンサートの様子でも楽しんでくれたみたいで良かったです!

オリジナル曲、恥ずかしいですが、過去に作ったタイトルを再利用しました。

これならアンドレのオリジナルといってもおかしくないかなって思って。

ジャルパパとの対決?まだですが、どうなりますことかお楽しみに。

2016/02/04 (Thu) 16:12

うさぎ

No title

こんにちはM様毎回楽しみにしていただけてうれしいです♪

オリジナル曲のタイトル笑ってしまったでしょう、恥かしかったけどオリジナルには違いないし、タイトルとしておかしくなさそうなの選んでみました。

私もアンドレの歌う曲お聴かせしたいです~♪

2016/02/06 (Sat) 21:25