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うさぎ

ショコラの涙⑦

オスカルの父親ジャルジェ卿に会う日が来た。

アンドレは緊張しながらもオスカルの住んでいるジャルジェ低に向かった。

あの話の後すぐにアランは大学をやめて、シェアハウスも出て行った。

去るときに「アンドレ、また連絡する、今度会うときはお前はプロ歌手で俺はお前のマネージャーだ」と言って。


ジャルジェ低は相変わらず大きな屋敷だ、まるで宮殿のように。

こんなところでオスカルは長年住んでいたんだ。

呼び鈴を鳴らすとメイドさんらしき人の声がした。

「アンドレ・グランディエと言うものですが」と伝えると「今門をお開けします」と答えた。

自動で門は開き、メイドさんらしき人が迎えてくれた。

玄関の大きなドアが重々しく開くとシャンデリアと螺旋階段が眼に入った。

玄関ホールだけでも驚くほど広い。

オスカルはこんな豪邸のお嬢様なのだと改めて実感した。

すると螺旋階段の上にオスカルがいて「アンドレ!」と俺の名前を呼んだかと思えば、急いで階段を下りて駆け寄ってきた。

「よく来たな!」

俺の緊張した雰囲気を察したのだろうオスカルは

「ここは警察ではない、緊張を解け」と冗談を言った。

「もちろん緊張している、外から見るだけでも立派な豪邸だと思っていたが中は想像以上だ」

「確かに大きな屋敷かもしれない、けど私にとっては冷たいガラスの城だ」

オスカルは一瞬顔を曇らせた。

だがすぐに気を取り直して俺をジャルジェ卿の書斎に案内すると言った。

ジャルジェ卿の書斎は二階の奥にあった。

オスカルが書斎へと案内してたどり着くと、オスカルはドアをノックして「父上、アンドレがご挨拶にやってきました」と声をかけた。

中から「入れ」と返答する声がした。

ドアを開けるとオスカルの父親らしい人物が書斎の机を前に椅子に重々しく座っていた。

そして立ち上がり「よく来てくれた、君がアンドレ・グランディエ君かね?私がオスカルの父だ」と言って手を差し出した。

俺は緊張しながらも片手を差し出して握手に応じた。

そして「アンドレ・グランディエです、今日はお会いできて光栄ですジャルジェ卿」と答えた。

ジャルジェ卿はオスカルのほうに向いて、「オスカル私はアンドレ君と二人きりで話がしたい、お前は部屋に戻っていろ」と声をかけた。

オスカルは「私も同席してはいけないのですか?」と問うたが、ジャルジェ卿は「私は彼と二人きりで話したいといっている」と冷たく答えた。

オスカルは俺のほうをちらと観たが俺はオスカルを不安にさせたくなくて「オスカル後で部屋を訪ねていっていいか」と声をかけると「わかった、後できてくれ」と言って振り向きながら部屋を出て行った。

オスカルがいなくなった部屋でジャルジェ卿は、「失礼した、どうかかけてくれたまえ」と部屋にある椅子に腰掛けるように言った。

「ありがとうございます、では失礼して」とアンドレは腰掛けた

そしてジャルジェ卿も向かい合わせの椅子に腰掛けるとアンドレは早速オスカルとの付き合いを願い出ることにした。

「今日は、お嬢さんとのお付き合いを認めてもらいたいと思い、参上しました・・・どうか二人の交際を認めていただけませんでしょうか?」

ジャルジェ卿はアンドレの言葉を聴いていないのか勝手に語り始めた。

「なるほど・・・オスカルが好むはずだ・・・」

何を言ってるのか?と思えば続けて語りだした。

「背が高くてハンサムだ、優しそうな面立ちだから人受けもするだろう、オスカルと並ぶとさぞや似合いの二人だ」

「だが・・・惜しいかな君は財産と呼べるものは無い、家柄が良いわけでもない、・・・そして・・・家族もいない・・」

まだ何も言っていないのに何故それを?とアンドレが聞こうとしたら、ジャルジェ卿は机の上にあった書類らしきものを取り出した。

それをテーブルの上で中身を取り出してアンドレに見せて言った。

「君のことは探偵を雇って調べさせた、これは身元調査書類だ」

「君は幼いうちに父親を亡くし、その後母親も亡くした、兄妹もおらず家族はいない」

ジャルジェ卿は書類に眼を通しながらアンドレの境遇を言葉にした。

「悪いがそんな君とオスカルとの付き合いを認めるわけにはいかない、オスカルはこのジャルジェ家を継ぐ娘だ」

「あやつにはこの家にふさわしい男性と添わせる」

アンドレとしてはまさかジャルジェ卿がここまでするとは思ってはいなかった、探偵を雇って娘にふさわしくないと判断した上で俺にあって直接あきらめさせようとしたのか。

「オスカルには大学を卒業した後で婿を取らせるつもりだった、良家の娘は大学を卒業すればまもなく良縁を見つけるのが慣わしだ」

「私もオスカルの母親とそうやって知り合ったのだ、上流階級同士で婚姻を結ぶそれが互いの家の利益につながるのだ」

「どうかあきらめてくれ」

「それは・・・出来ません」

アンドレはジャルジェ卿のやり方に衝撃を受けたが、オスカルと結ばれるには、耐えて願うしかない。

「俺はオスカルと約束したんだ、いずれこの屋敷に迎えに行くと、そして結ばれようと」

「俺達は本気で付き合っているんです、何ももっていない俺だけど、オスカルを思う気持ちは誰にも負けない、オスカルのためなら何でもする決意です」

だが、ジャルジェ卿の答えは辛らつだった。

「甘いな君は・・・」

「君に何が出来る?オスカルはお嬢様で温室育ちだ、君のような何も無い若者が連れ出したところで苦労するのは眼に見えている」

「これまで、豪邸で執事やメイドにかしずかれて育った、何不自由なく暮らしてきていきなり貧しい生活をさせるつもりか?」

「そしてオスカルが贅沢に暮らしてこれたのはジャルジェ家の資産があるからこそだ、この家を守るのがオスカルの使命だ」

アンドレはジャルジェ卿から次々に言い渡される辛い現実に胸を痛めた。

だが、それは確信に満ちたものばかりなのだ

「そういえば、君はアルバイトで酒場のピアノ弾きをやってるそうだね、そして今度プロとしてデビューが決まっている」

「そちらの方面を頑張っていけばどうかね、そうすれば名声も金も手に入る」

「オスカルと結ばれなくとも、綺麗な女性を手に入れるのも容易に出来る」

ジャルジェ卿の言葉にアンドレは思わずかっとなり、

「オスカル以外の女性を手に入れたいとは思ってはいない!」と怒鳴ってしまった。

「オスカルが俺の唯一愛せる女性なんだ!彼女が手に入るなら他には何もいらない!一生彼女だけを守っていく!」

しかし、ジャルジェ卿はアンドレの言葉に意外な言葉を返した。

「君はどうやら本気なんだな・・・気に入ったよ、娘を思う気持ちに嘘偽りが無いように見受ける」

「だが・・・その言葉は君が一流のプロ歌手になってから聞きたい!名声と金を手に入れ、オスカルを立派に迎えられるようになってから!」

「そのときこそ、私は君をオスカルの求婚者と認めよう」

ジャルジェ卿の言葉は事実を物語っていた。

そうだ、オスカルは世が世なら伯爵令嬢の身分だった、そして身分制度がなくなった今でも大富豪の令嬢だ、彼女をどんなに愛しているといっても今の俺には貧しい生活しか与えられない・・

アランは俺には時間が無いといった。

この言葉の意味をジャルジェ卿の話を聞くことで知ることになるとは。

俺が彼女のために出来ることはおれ自身が成り上がっていく他は無い!アランの言った言葉通りなんだ!
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 3

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うさぎ

No title

S様まったくです!アンドレが歌で成功すればビッグカップル誕生なんです!(今でもビッグだけど)

それまでの道のりが大変なんですが。・・・

2016/02/07 (Sun) 15:43

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2016/02/07 (Sun) 21:27

うさぎ

Re: No title

N様アンドレこれからが正念場です。

ジャルパパはねえ・・・わかったというか、とりあえずというか。・・・

やれるものならやってみなさい!て気持ちですよきっと。・・・

これからどうやって一流アーティストになるのか見守ってくださいね~。

N様優しいからジャルパパの気持ちまで考えてくれるんですね。(考えてみれば確かにそうです、納得)

まだまだ二人が前途多難なんです。・・・

2016/02/07 (Sun) 23:09