FC2ブログ
うさぎ

ショコラの涙⑱

クリスマス当日になった。

オスカルはクリスマスイブを再びロザリーとベルナールとディアンヌとの仲間で過ごそうと誘ってくれたが、体調を整えたいのでやめておくと返事した。

オスカルはクリスマスに向けて万全を期したのだ。

クリスマスの朝はいいお天気だった。

朝目覚めてオスカルは部屋のカーテンをさっと開いて朝の光を浴びた。

何てすがすがしいのだろう、多少の寒さはあるが、そんなことはどうってことはない。

だって、今日はようやくアンドレに会えるのだ。・・

オスカルはシャワーを浴びて朝食を済ませた。

その後、部屋に戻り、出かける支度を始めなければ。

いつもより髪を念入りに梳いて、彼からもらった指輪を取り出し、指にはめる。

クローゼットを開けて洋服を選ぶ。

動きやすいようにジャケットとパンツスタイルを選ぶ。

サングラスと帽子も用意した、目立たぬように。


オスカルは廊下や玄関までを誰にも見つからないように、そうっと屋敷を出て行った。

屋敷を出てその後の目的地は、アンドレのコンサート会場だ!


その頃アンドレはクリスマスコンサートを開くホールに来ていた。

まだ客も入っていないホールを一人眺めていた。

去年はまだセラヴィでピアノを弾いていた。

それがこんなホールでクリスマスコンサートとは思ってもみなかったよ、と考えていた。

確かにセラヴィとは比べ物にならない大きな箱だが・・・あの時はオスカルがいた。

彼女が俺のピアノを聴いていてくれた。

そこへアランがやってきて「もうそろそろ客を入れる時間になるぞ、楽屋に入って準備しておけ」といいに来た。

「ああ、わかってる」といって楽屋に戻った。


そしてコンサートホールが開かれる時間になり、観客が中にぞろぞろと入場しだした。

その中にオスカルもチケットを手にして会場に入っていった。

女優のオスカルを知ってるものにばれぬようにサングラスをかけて、帽子もかぶって。

チケットに書かれている席に着き、ほっとしてコンサートの始まりを待った。


開演のベルが鳴り、舞台の幕が開き、幕が開くと共に舞台の真ん中にあるピアノをアンドレが奏で、そして歌いだした。

曲目は「Angels We Have Heard On High」

クリスマスにはふさわしいフランスの伝統的な賛美歌でコンサートは始まった。

アンドレの歌いだしに観客は拍手で答える。

スポットライトが次々に彼に当たりだし、暗かったステージが一気に華やかになった。

アンドレは歌いながら考えていた。

コンサートホールは立派だし客の数も超満員、文句などあるはずが無い!

俺の音楽をこんなに多くの人が聴き入っている、これ以上の感動があるだろうか これ以上の快感があるのだろうか

歌い手にとっては最高の舞台、夢に描いていた通りの景色がそこにあった。


それなのに・・・どうしても一抹の空しさを感じざるを得ない。・・・

それは・・・彼女がいないからだ・・・

俺がプロを本気で目指すきっかけは彼女だった

ラブソングが歌えない俺を彼女は歌わせてくれた

彼女のために歌っていたいと思ったんだ

いつもいつも、その蒼い瞳を輝かせながら俺の歌う姿を見つめていたお前のために俺は歌ってた。

俺の歌とピアノとオスカルがいる、あの瞬間があれば良かったんだ、


一曲目が歌い終わり、アンドレはピアノの席から立ち上がり、客に挨拶をするために舞台の前に出た。

「今日はクリスマスコンサートにきてくださってありがとうございます」と礼を述べて観客を見渡した。

客席は薄暗いが前のほうの席ならばやや顔も見えるものだ。

一人ひとりの顔を見て笑顔を作るのももうお手の物だ。

アンドレは観客達の顔を眺めて回った。

観客のほとんどは女性だ、アンドレの端正なマスクと男らしい甘い歌声にひかれたファンばかり、皆アンドレに見惚れている表情だ。

しかし、沢山の客の顔を順番に眺めていくと懐かしい顔と輝くようなブロンドの髪とが一瞬見えた。

アンドレはまさか!と驚いて、今見たあたりを眼を凝らして見つめた。

そしてその人は青い宝石のような瞳でこちらを見て微笑んだ。・・・

それは、誰よりも会いたかった懐かしい瞳、誰よりも愛しい人の眼差しがそこにあった。

スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 5

There are no comments yet.

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/02/18 (Thu) 08:30

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/02/18 (Thu) 15:12

うさぎ

No title

T様お待たせしましたお二人の再会待ちかねていたんですね。

しかし、T様まるで私の考えをお見通しではないですか!その通りなんです!

T様できますれば今回の話はコンサートに来たお客様の気分で読んでくだされば最高にうれしいです♪

2016/02/18 (Thu) 15:39

うさぎ

Re: タイトルなし

P様ようやくお二人の再会です。

やはりこの後の展開読めてしまいますね、(わかりやすい展開ですもんね)

漫画だったら二人にスポットライトの演出素敵ですね~、そんなの描けたらなあ。・・・

アンドレの歌にオスカル様への愛を込めます。

これってアンドレだからこそ歌えるって描きたいです

P様できましたらコンサートに来たお客様になった気分で読んでいただきたいです。

2016/02/18 (Thu) 15:43

うさぎ

Re: No title

N様確かにアンドレそのまま駆け寄って抱きしめたいくらいの気持ちでしょうけど、ここはぐっとこらえて歌で愛を伝えます。

N様できましたら、コンサートのお客様になった気分で読んでいただきたいです。

2016/02/18 (Thu) 15:45