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うさぎ

ショコラのハネムーン⑦

「オルガの涙」

時は未来、地球は異星人とコンタクトが取れるまでに科学は進化し、今では銀河系の星に住む住人達と行き来できるようにまで進歩していた。

そして銀河系に住む全ての人類が協力し合って宇宙ステーションも完成している世界

そこには地球人、そのほかフレイア テルス イシス ニュクス ガネーシャ ティニア セドナなどの数々の惑星に住む選ばれた人間達が住んでいた。

宇宙ステーションの存在する目的は、新たなる星を探索する最新鋭の宇宙ロケット開発のため、そしてここから宇宙ロケットが発射されて宇宙への旅を見届けるために作られたのだ。

主役の一人は宇宙船の乗組員候補の地球人のアダム。

そしてもう一人の主役は惑星フレイアから乗組員候補に選ばれて宇宙ステーションに派遣されたオルガ。

オルガの母星フレイアは地球との親交を計るのは最近のことで、オルガは初めてフレイアから選ばれた乗組員だった。

だから、ステーション内で乗組員候補生達がオルガを最初に見たときは注目の的だった。

オルガは金色の髪に金色の瞳、白い肌にすらりとした手足と息を呑むように美しい容姿だった。

こんな美しい人が来るなんて、と乗組員候補生達は教官にオルガを紹介された後、オルガを取り巻き、いろんな質問をぶつけた。

「オルガ、君の星であるフレイアはどんなところ?」

「オルガ君は独身?恋人はいるの?」

「地球の男性に興味はある?よければ今度一緒に出かけないか?」

美しいオルガに皆は特に男性人は関心を惹こうとするのだが、彼女は顔色一つ変えず

「フレイアは、ここと変わらぬ普通に人が住める惑星だ」

「恋人など無意味なものは存在しない」

「男性に興味などあるはずがない」とそっけない返答をするばかりだった。

オルガは口数も少なく、感情を表に出さないいつも無表情だった。

乗組員の訓練や勉強以外のときは、いつもオルガは一人で、人とかかわりを持とうとせず、一人で本を読んだり散歩して過ごすことが多かった。

無愛想で無口なオルガに、いつしか回りの候補生は興味を失っていった。

そんなオルガに唯一話しかけるのがアダムだった。

アダムは黒い髪に黒い瞳の地球人で、誰とでも友達になれる明るく優しい男性だった。

アダムはまわりが言うようにオルガは冷たい人ではないと感じていたのだ。

それを知ったのはアダムが宿舎の庭でバラの花を世話をしていたときだ。

ステーションでは薔薇の栽培は行われていないので、バラが咲いているのはここだけだった。

アダムがいつものように好きなバラの世話をしているとオルガがこの庭に散歩にきて、バラの花をじっと眺めて、側にいたアダムに「これは何だ?」と聞いてきた。

アダムは「ああ、これはバラの花だよ、薔薇を知らないのか?」と答えた。

オルガはじっと魅入るようにバラの花を見つめながら

「このような花は初めて見る、興味深い形だ」

あまりじっと見つめているのでアダムは綺麗に咲いている大きなバラを一本はさみで切って、オルガに渡してやった。

「気に入ったのなら一本あげるよ、花瓶にさして飾るといい」

オルガは驚きながらもバラを受け取った。

その時アダムはオルガの表情がやわらかくなったのを見て思った

彼女は他人と関わりを持つのがヘタなだけで、慣れれば自分たちとも交流出来るのではないかと。

それからオルガはアダムが栽培するバラ園を散歩コースに加えた。

オルガはバラをいたく気に入ったと見えて、毎日熱心に眺めに訪れるのだ。

アダムもそのたびにオルガに声をかけたりバラの花の話をしたりした。

最初はアダムの話にそっけないオルガだったが、そのうちに挨拶を返すようになり、興味のあるバラの話に聞き入るようになっていった。

いつの間にかオルガはアダムの花の世話の手伝いをするようにまでなった。

そして次第にバラ以外の会話も少しずつではあるが、話すようになっていった。

オルガの話では惑星フレイアはあまり人と人が関わる習慣はなく、協力関係が必要なとき以外は個人だけで過ごす人種だった。

そのためかあまり心を動かされることがなく、いつも冷静でいることが優れた判断能力を養うと教育された人種だった。

アダムはオルガがこのようになった原因を知り、よけいに彼女を支えてやりたいと思うようになり、それまで以上にオルガに親しく接するようになっていくのだった。

それにアダムはオルガの内面が徐々に分かってきた。

はじめはとっつきにくいオルガだったが、心は子供のごとく好奇心に満ち溢れていていろんな知識を習得することが好きであった。

特に地球には興味を持っていた、地球とは緑の惑星らしいな、そこはどんな風景なのだ、太陽は毎日見えるのか?雪という白い物体が空からふるのは本当か?

そんな質問に答えてやるたびに、無表情だった彼女の顔がわずかにほころんだ。

アダムはそんなオルガの顔をみるたびに、彼女のうちに潜む感情をもっと引き出してやりたくなっていった。

彼女が自分に心を開いて笑顔を向けてくれたら、どれだけ素敵だろう・・

何故だろう?彼女の側にいるとこんなに心が弾むんだ。

アダムはオルガに恋していたのだ。

オルガが宇宙ステーションに来て3ヶ月目にアダムが次の宇宙船の乗組員に選ばれた。

何万光年の向こうに旅立つのだ、ワープ航法が可能になったこの時代であっても半年以上ステーションを離れることになる。

いつものようにオルガがアダムのバラの世話を手伝いに来たときにアダムが宇宙への旅立ちの話を告げた。

そして、オルガへの愛を告げたのだ。

「オルガ、君を愛している、一生君を守ってあげたい、宇宙から戻ってきたら結婚しよう」

しかしオルガは

「自分はフレイア人だ、フレイアでは結婚する相手は国が決める、お互いどの相手と婚姻を果たせば有益かで決められるのだ、だからお前とは出来ない」

アダムはショックをうけたものの、自分のオルガへの気持ちは揺るがなかった。

「俺の君への気持ちは何があっても変わらない、きっと返させてみせる、」

「私はフレイアの教えに従うだけだ、お前の行動は無意味だ」とオルガは冷たく拒否したがアダムは

「宇宙から戻ってきたらもう一度君に申し込むよ、それまでここで待っていてくれ」

そういってアダムは宇宙船の搭乗員としてステーションを旅立っていったのだ、オルガに半年で戻ると告げて


オルガはアダムがいない間、バラの世話を一人でやっていた。

美しいバラに囲まれて手入れをするのは楽しい作業ではあったが、何故かここにアダムがいないことに一抹の寂しさを感じていた。

いつも自分の側で優しく微笑んでくれた彼がいない・・

一人でいるのは慣れているはずなのに。

アダムが宇宙に旅立って3ヶ月経った。

ある日ステーションの管制塔と宇宙船との通信が途切れてしまった。

その日からステーション側からどんなに通信しても宇宙船からは返答が戻ってこなかった。

宇宙船が戻ってくる予定の半年間の間、通信が途切れた場所も特定して調べつくしてみたが、何かの原因で宇宙船が事故にあったとしか考えられない結果となった。

宇宙での事故は死を意味する。

アダムは戻ってこなかったのだ。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 5

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2016/03/26 (Sat) 19:14

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2016/03/27 (Sun) 10:26

うさぎ

No title

AN様オルガはオスカル様っぽいですか?

感情を殺して冷たく見せるってあたりが、そう見えたんですね。

実はこれ二次創作で使おうかなと思ってた話でして。・・・

2016/03/27 (Sun) 14:31

うさぎ

Re: タイトルなし

F様なかなか鋭い指摘です。

結構当たってるといえます。

やはりオスカル様が演じるにふさわしい話に思えましたか?

二次創作で使おうかな、と思っていた話でしたから(笑)

2016/03/27 (Sun) 14:33

うさぎ

Re: No title

N様っていつも何気ないシーンまで見ていてくれて感謝です。

お嬢様育ちでもオスカル様って庶民でも貴族でも同じだと思えた方ですからね、心が清らかなんです。

映画実は二次創作で使おうかな、と思ってた話でして。

だから結構真面目に作りました。

N様、まだ前半なのに涙してもらって感激です。

2016/03/27 (Sun) 14:39