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うさぎ

マイリトルレディ⑩

オスカルの誕生日のクリスマスの日がやってきた。

俺はいつものようにオスカルに特別注文の「オスカルとアンドレの冒険」の本とドレスをプレゼントした。

オスカルは俺の用意したドレスを着て、「アンドレ、どうだ!」と言って登場した。

文句無く美しいオスカルのドレス姿。

その姿を見ると大人の女性に近づいているのがいっそうわかった。

俺は「オスカル最高に綺麗だ、まるで女神様みたいだ」とやや大げさに褒めてやる。

そして彼女の美しい姿を見つめていた。

この眼に焼き付けておくために

見た目だけでなく、オスカルは中身も大人になってきたのを痛感した俺は、ある決意をしていた。


俺は昨日マクシミリアンの弁護士事務所に出向いて彼と話をした。

彼とは定期的にオスカルの今後のことで相談はしていた。

オスカルは森にあるジュベルの屋敷で暮らしてきたが、この先もずっとここでだけ暮らすなどオスカルの将来のためにはならない。

オスカルには限りない可能性がある、でもここにいたのではその可能性を消してしまう

オスカルにはここから飛び出していくことが必要なんだ。

だから俺は決意した、オスカルを全寮制の学園へ行かせることに。

「ここは名門です、資産家の子ばかりで、この学園に行く利点はいずれ社会に出たときや、社交界にデビューするときに学園でつながりを深くしておけば受け入れられ安くなる、その後の人生にも有益でしょう」

「アンドレ、本当にいいんですね?」

「ええ、オスカルはジュベルの屋敷でずっと暮らしていてはいけないんです」

「オスカルは聡明で心優しい素晴らしい子です、あの子の人生はこれからなのに、こんなところで埋もれていちゃいけない」

「私もいずれオスカルは外の世界に出ていくべきだと考えていました、しかしあなたと暮らしてからオスカルがあまりに幸せそうなので、つい言い出せなかった・・」

「あいつはもう大人になりかけているもう一人でも歩いていけます、」

「だけどオスカルは納得するでしょうか?」

「オスカルには俺が納得させます」

「アンドレ、貴方には辛い決断だったでしょう、まだ年若い貴方なのにオスカルをまるで妹か娘のように愛してたのですから・・」


俺は誕生日パーティーの間、いつもの自分を演じた。

オスカルと話をしたり笑いあったり、ふざけあったりいつものオスカルとのふれあいをいつもどおり演じきったんだ。

そして何度も「オスカル、綺麗だよ」と言ってやった。

だって本当に綺麗なんだ、毎日どんどん美しくなるお前、その姿を見るたびに俺は見惚れていた。

毎日どんなに見つめても足りないほど可愛くて美しいオスカル。


俺はパーティーが終わった後いつものようにオスカルをチェスに誘った。

オスカルはもう咳をしなくなっていたし、流石にもう一緒に寝てくれとは言わなくなっていた。

だからチェスでの賭けは、今日は何をして過ごすのかを決める権利くらいなものだった。


オスカルは以前より格段チェスが上手くなっている。

俺はかなり強いほうだが、その俺を相手に3回に1回は勝つようになっていた。

だが、負けるわけには行かない。

無駄話もせず、真剣にチェスを指す俺にオスカルは何かしら気づいたのか、俺と同じように真剣に勝負にのめりこんだ。

しかし長期戦となれば経験が物を言う、俺としかチェスをしたことのないオスカルと比べるとチェス歴が長い俺のほうが有利になるのは当然なんだ。

勝負は俺の勝ちだった。

「チェックメイト、俺の勝ちだな・・」

「あ~あ、負けた、負けた、今日の賭けの要求は何だ?」

「俺の要求は・・・」

「オスカル・・お前は来年から寄宿学校へ行け!」

「!!」


「以前から考えていたんだ、お前はここから外の世界に出て俺やマロンさん以外の人とも関わって生きていかなくてはいけないと」

「そうでないとお前はいつまでも一人で生きていけない、お前は幼い頃に両親を亡くし、そのせいで寂しい幼年期だっただろうが、これからはそれを埋めるように多くの人と関わっていくんだ」

「アンドレ・・・私にこの屋敷から出て行けと・・?」

オスカルは俺の言った言葉が理解できないような唖然とした顔で言った。

だが俺はさらに説得を続けた。

「そうだ、不安だろうが、これは誰もがやってきたことだ、人は沢山の人とつながって成長していく、だから俺はお前に寄宿学校へ行くことを進める」

「嘘だろう?だって、ここを出たら私はお前と離れて暮らすことになる!」

「私達は離れ離れになってしまうんだぞ!」

オスカルは悲しげに俺との別れを拒否してきた、だけどどんなに辛くても耐えなくてはいけない。

「それは仕方ないことだ、それにもう俺はお前から離れなくちゃいけない・・」

「何で、どうして離れなくてはいけない?」

「俺はお前の亡くなった両親のかわりにお前に出来うる限りの愛情を注ごうと決めて、そのように生きてきた」

「後見人だからではない、お前が愛しかったからだ、妹か娘かのように」

「それで今まで寂しい思いをしてきたお前の心の傷が癒せるなら・・何でもしてやりたかった・・」

「お前が喜ぶなら、お前が幸せなら・・俺は何でもする」

「そう思っていたんだ、お前が喜ぶ顔が見れるなら、お前が幸せを感じるなら・・俺は喜んで人生を捧げようと・・」

「だけど、もうそんなことはやっちゃいけない、お前はもう女の子ではなく女性に変わろうとしている時期だ」

「お前くらいの年齢の女性は学校へ行って友達を作り、一緒に勉強をして、そしてボーイフレンドが出来て、恋をする、それが当たり前だ」

「お前は今まで当たり前の人生を送れなかった、だが、これからは誰もがうらやむような人生を送るだろう、お前にはその資質がある」

「オスカル、ここを飛び出して自由に、そして幸せをつかみ取るんだ」

オスカルは俺の説得に耳を傾けながらも涙を流しながら訴えてきた。

「私は・・私は、お前と離れたくないんだ・・」

「行くんだ!お前のなりたかった大人の女性になるために・・もうお前は一人でも生きていける!」

心が引き裂かれるような痛みに堪えながら俺は必至になって叫んでいた。

俺だってお前と離れたくは無い、お前をずっと自分だけのものにしておきたい、そういってやりたかった。

だが、それは言ってはいけない言葉なんだ。

オスカルはきっと上手くやる、友達を作って勉強してやがて社交界の華となり大勢の求婚者に囲まれる、誰もが憧れるレディーに、オスカルはなるんだ。

きっと・・・

俺への思いも忘れて・・
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

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2016/05/03 (Tue) 14:55

あんぴか

No title

「辛い展開」とはこういうことだったのですね・・・
確かに今の状態でいれば、オスカルは幸せでしょうけど、それは彼女のためにならない。15歳の差があればこその、大人の決断ですね。
でも彼女はそれをどう受け止めるのか・・・?
オスカルの成長とともに、その後を見守り続けたいです!
いつもありがとうございます!(^^)/

2016/05/03 (Tue) 17:11

うさぎ

No title

T様物語の展開に同意してもらえてうれしいです。

あまりに突然の別れなので、心配でした。

そうですね大人の女性になってきましたから、ここからどんな青春するかで彼女の将来は決まってきます。

物語は確かに後半戦に入りました。

もう少し細かく年齢を上げていくかどうか悩んだんですが、私の精神力が持ちませんでした。(笑)

2016/05/04 (Wed) 09:36

うさぎ

No title

mo様楽しく読んでもらえてうれしいです♪

マイリトルレディを好きだといってもらえる方がいて安心しました。

これだけ年の差があると萌えにくいかとも思えますので心配でしたから。

物語はまだ進むのでご安心を、温かい励ましをありがとうございます!

2016/05/04 (Wed) 09:37

うさぎ

Re: No title

N様やはり連休のお出かけだったんですね、勝手にそうではないかと想像してました、すみません(笑)

渋滞の中の帰省お疲れ様でした。

オスカルちゃん、アンドレの教育の成果でなかなかステキに育ったように見えませんか。

寄宿学校はお金持ちのレディ教育には欠かせないですし、オスカルちゃんも世間を知って生きるべきとのアンドレの愛情からです。

ドレス姿ステキでしたか、気に入ってもらえて頑張った甲斐がありました!

2016/05/04 (Wed) 09:43

うさぎ

Re: No title

AN様「辛い選択」はこういうことでした。

AN様含めてみなさん大人でいらっしゃるから、いつまでもひきこもる生活ではなく広い世界に出るべきに同意してくれるのですね。

このアンドレの決断に同意してもらえてほっとしました。

今回オスカルがどう受け止めるかです。

そして悲しい別れ編です。

2016/05/04 (Wed) 09:47