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うさぎ

オスカル最後の選択⑮

次の朝、アンドレは職場に行くとき、オスカルがいってらっしゃいと声をかけると、アンドレはオスカルに行ってくるといって口づけを交わしてきた。

久しぶりのいってきますの口づけ、それだけでもオスカルにはわかった、彼はアンドレは私を愛すと決めたのだ。

私と人生を生きようと決意したのだ。

これから新しい人生が始まる

私と彼との未来をこれから一緒に築いていくのだ

オスカルはうれしくてしばし口付けの余韻に浸ってしまった。。

その後オスカルはいつものように朝食の後片付け、掃除、を済ませていった。

そして出かける準備をしてクリスチャンの店に出かけていくのだった。

クリスチャンはいつものように店の奥にいた。

「こんにちはクリスチャン」

「やあ、オスカル、本を借りに来たんですか?」

「うん、子供たちの本もだが、アンドレが読む分も借りていこうと思う」

「アンドレが記憶をなくしてから二人で学んでるなんて、貴方たちらしい考えだ」

「貴方たち二人ならこれまでのことを思い出せなくともやっていけますよ」

「そのことなんだけどクリスチャン・・私とアンドレは、上手くいきそうなんだ・・」

オスカルはアンドレとのことを相談に乗ってくれたクリスチャンに喜んでもらいたくて話した。

「では、再び結婚の申し込みをされたんですか?」

「そ、それはまだだ!だけど店の客に私を婚約者だといってくれたし、アンドレが記憶をなくした自分でもまだ想ってくれるかって聞いてきたんだ、それで私の気持ちはとうに決まっていると返事したら」

「ありがとう、うれしいよって・・」

さすがに口付けのことはいえなかったがオスカルが頬を染めたのでクリスチャンは気づいた。

「そうですか、おめでとうオスカル、貴方の想いが届いたんですよ」

オスカルはうれしい反面まだアンドレにいってない事実について悩んでいた。

「そうだといいな・・でもひとつ心配なことがあるんだ・・」

「まだ心配なことがあるんですか?」

「私が貴族の生まれで彼が私の従僕だったことをまだ伝えてはいない・・」

アンドレはオスカルを平民の金持ちの娘だと思い込んでいる、まさか貴族の娘が平民の自分と想いあって暮らしていたなど思いもしていないのだ。

「それはまたどうして?」

「彼は私が資産家の娘で自分は使用人だと思ってるんだ、私は財産を放棄して屋敷を飛び出したのに、自分は記憶を無くして私に苦労をかけていると思い、彼はさんざん悩んだ」

「記憶を無くしても私を何とか必死で養おうとした彼のがんばりを見ると、どれだけ私に対して申し訳ないと考えているのかがわかった」

「ただの資産家の娘なだけでも彼はこれだけ深く思い悩んだ、これが私が貴族の生まれで、それも将軍の娘だと知れば彼はどれだけ苦悩するだろう」

クリスチャンはオスカルの気持ちが理解できた、オスカルが貴族だったことは、一部の人にしか知らせてはいない。

そしてベルサイユに出入りできる大貴族で将軍の令嬢であったことを知らせたのはクリスチャンとクロエくらいなものだ。

将軍令嬢で准将の位までいただいたオスカル、そしてアンドレは彼女に付き従う従僕だったのだ。

彼女と愛し合うなど殺されても文句は言えないほどの身分の差が彼らにはあった。

しかし彼らには身分を越える二人だけの歴史があった、だからこそ主人と召使の関係でありながら愛し合う恋人同士となったのだ。

だが、今のアンドレにはオスカルとの過去の思い出がない、そんな彼に突きつけるには厳しすぎる現実だ

「オスカル、貴方は真実を彼に伝えないつもりですか?」

オスカルは考え込んでしまった、はしめはアンドレの記憶が戻るまで黙っておこうとしたのだ、しかしアンドレの記憶が戻る兆しはいまだない。

もしかして一生このまま記憶が戻らない可能性もあると思い始めていたのだ。

「私はいっそこのままアンドレに告げないでいられればと考えてしまうんだ」

「もともとアンドレは私が貴族の身分も財産もすべて捨ててしまったのを申し訳ないと考えていた」

「それに今の彼が私を平民の娘だと思ってくれるなら、何の遠慮もなく彼と私はただの男と女として愛し合うことができる」

「クリスチャン、これはいけないことだろうか?」

しかしクリスチャンの返答はオスカルの心に沿うものではなかった。

「オスカル一時の安易な誘惑に駆られてはいけない」

「確かにあなたの言うとおり、アンドレにはつらい現実でしょう、けれどいつかは知ることになる、それに後になるほどアンドレは傷つくんですよ」

「夫婦になるのなら隠し事はいけない、ましてやあなた達のように真実愛し合っている二人には似合わない」

クリスチャンの言葉は事実を物語っている、彼に一生隠して生きるなど出来はしない、いつかは知ることになるなら早いほうがいい。

オスカルはクリスチャンの意見に納得せざるを得なかった。

「そうだな、クリスチャンあなたの言うとおりだよ」

「私たちは主人と召使の関係だった、これは紛れもなく事実だ、だけどこの歴史があったからこそ私たちは愛し合えたのだから」

オスカルはクリスチャンの言葉に従おうと決意した。



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Posted byうさぎ

Comments 3

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2016/08/13 (Sat) 21:45

うさぎ

No title

T様過去の記憶がないとお二人の身分の差はアンドレにとってかなり大きな出来事です。

いつも先読みがすごいから、わかってらっしゃるかもと思いましたが意外と盲点なのかな?

でも伝え方とタイミング、まさにそうです。

アンドレは今、二人の未来を描いていて気持ちが高揚していますので、ここで伝えるとどうなるでしょう!

T様ドキドキしながら見守っていてください(笑)

2016/08/14 (Sun) 10:18

うさぎ

Re: No title

N様最初から資産家の娘だと思い、贖罪の意味でも自分を養おうと働く彼を見て、これでまた貴族だなんていえば、どうなるか?

それがオスカル様の心配事でした。

アンドレはオスカル様への愛を確信してますから、タイミング的にはよけい辛いかも・・・

N様の必死さが伝わってくるだけにこちらもドキドキします。

2016/08/14 (Sun) 10:29