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うさぎ

オスカル最後の選択⑱

初めてみたときから惹かれるものがあった。

彼女を知るたびに俺の心の中に熱いものが沸きあがってくるのがわかった。

それが愛だと知るのにそう時間はかからなかった。

彼女を、オスカルを俺の手で幸せにしたいと思ったんだ。・・・


考え込んでいるとといつの間にか時間がたっていた。

もう外は暗い。

アンドレはオスカルが心配になってきた。

何処にいったんだろう?

アンドレは上着を着てオスカルを探しに外に出た。

もうすっかり日は沈んでいる。

こんな時間にオスカルの行き先で考えられるところは・・・

アンドレの脳裏にクリスチャンが浮かんだ。

オスカルがマルセイユにきてはじめての友達だといっていた。まさか彼のところに・・・

アンドレはクリスチャンの店に出向いていった。

オスカルを見つけたいと思うものの、その思いとは裏腹にクリスチャンのもとにいてほしくないとも思ってしまう。

彼女を拒否しておきながら勝手なものだ、彼女をあきらめきれない・・・


クリスチャンは店を閉めようとしていたところだった。

そこに訪れたアンドレにクリスチャンは気づき、声をかけてきた。

「やあ、アンドレじゃないですか、久しぶりですね」

しかしアンドレは記憶をなくして以来だ、だから気まずい挨拶になってしまった

「あなたは・・クリスチャンなんですよね、俺を知っていますか?」

「ああ、そうだ、あなたは記憶をなくしてしまったんでしたね、これは失礼」

「オスカルから聞いていますよ、今回の事故のことは、」

「あの、オスカルはここに来てはいませんか?」

クリスチャンはアンドレの様子でオスカルがアンドレに真実を告げたのだと感づいた。

「いえ、オスカルはここへは来ていませんよ」

「そうですか、では失礼します」

アンドレが急いで立ち去ろうとしたときクリスチャンは言葉をかけた。

「アンドレ、オスカルが貴族だということを貴方に告げるように進めたのは私です、」

「貴方が?」

「そうです、だからそのことでオスカルが出て行ったとしたら、私にもいささか責任がある、よければ中に入って話していきませんか?」

「しかし、オスカルを探さなければ」

戸惑うアンドレにクリスチャンはきっぱりとした口調で言い放った。

「時間は取らせません、多分貴方達にとって大事なことです」

アンドレはクリスチャンが何を話そうとしているのかわからなかったが、彼はオスカルについて話をしようとしている、そんな気がして誘われるまま店の中に入っていった。

「どうぞおかけください」

クリスチャンはアンドレに椅子を勧め、そして自分も椅子に腰掛けた。

「オスカルが大貴族の出で将軍令嬢だと告白したのですね」

「ええ、そして俺は彼女の従僕だったことも・・」

「貴方は彼女を平民の資産家の娘だと思っていたようですね、しかし彼女は貴族のそれも将軍の娘だった、それにショックを受け、彼女に別れを切り出した、そんなところではないんですか?」
アンドレはクリスチャンは不思議な人だと思った、彼は実に察しがよく、すぐに相手の気持ちがわかるらしい、オスカルが悩みを打ち明ける気持ちになるのもうなずける気がする。

「そうです・・オスカルは俺のために地位も身分も財産も捨ててくれたのに、俺は記憶をなくしオスカルを十分に養うことも出来ず、彼女に畑仕事までさせて苦労させてしまった」

「多くの使用人にかしずかれて暮らしていた彼女が今は侍女たちよりも貧しい暮らしをしている、俺と暮らしているために・・」

「だから、彼女のために俺が出来ることは、オスカルを貴族の生活に戻してやることだけ、それだけしかない・・」

どうやらアンドレは再びオスカルを愛したのだ、だからこそ彼女を幸せに出来ない自分に嫌気がさしたのだ。

「俺では彼女にふさわしくない・・」

「果たしてそうでしょうか?」

「え・・」

「私は本屋を営む傍らで作家をしてましてね、オスカルと貴方の話を小説にしたことがあるんです、だからオスカルからこれまでの道のりを聞いて、貴方たち二人のことは誰よりも知っているつもりだ」

「アンドレ、貴方が記憶を失い、彼女を幸せに出来ない自分に自信をも失った気持ちはわかります」

「でもオスカルと貴方は離れてはいけない関係なんだ、オスカルには貴方が必要だ、それは貴方だって同じでしょう?」

クリスチャンの鋭い指摘にアンドレは気持ちが揺らいだ。

オスカルと別れるなど口にしたものの、果たして自分に出来るのか?あの女神を手放すなど本当に・・・

そしてクリスチャンはアンドレにさらに心を揺るがす告白をしていった。


「オスカルにとって貴族の暮らしはむしろ幸せではなかったんです、女でありながら将軍家の跡継ぎとしての責務を負わされ、貴族としての誇りを感じれず、そして愛する人と結ばれぬ運命を化せられた場所でしかなかった」




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Posted byうさぎ

Comments 3

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2016/08/16 (Tue) 17:29

うさぎ

No title

T様オスカル様がアンドレに拒否されたのが相当トラウマになっていますね。

あれだけ尽くして尽くして(だと思う)愛しているといい続けてやっと振り向いてくれたと思ったら、あれですもんね。

結構尺があったつもりなんだけど、あっという間でしたか!

T様今回は長いから読み応えがある、と思います、内容が満足できるかは別として。

2016/08/17 (Wed) 15:45

うさぎ

Re: No title

Nさまクリスチャンは自分の過去と似た二人に興味もあり、その後を見つめたいとも思っています。

オスカル様がこの愛を成就できるか見届けたいと。

N様今回アンドレはオスカル様と自分との過去をクリスチャンによって知らされます。

お二人の悲しい恋を、それを聞いてアンドレは本来の自分を取り戻せるのか、どう選択するのか。

物語はクライマックスです。

2016/08/17 (Wed) 15:56