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うさぎ

オスカル最後の選択⑳

オスカルはいつも子供たちに本を読んであげる広場の池のほとりにいた。

ここは先日アンドレに口付けされた場所だ。

アンドレにジャルジェ家に戻るよう促されて、腹が立って飛び出したものの、心のどこかでは彼が追いかけてきてくれないだろうかと思ってしまった。

だからここに来てしまった。

しかしアンドレは来ない、やはり私のことなど、もう愛してないのだろうか?


アンドレのバカ!


いつまでも身分なんかに縛られやがって!

主人を召使の妻になどできない、ジャルジェ家に戻れ、だなんて。・・・

冷血漢、意気地なし!・・・


愛しているって、いってくれたその後にすぐ別れの話だなんて、あんまりじゃないか。・・


記憶がなくなると愛まで消えてしまうのか・・


自然と涙が零れ落ちていく。


・・・それでも・・・それでも、まだこんなに・・愛しているのに・・・


アンドレ アンドレ 愛しているっていってくれた、結婚しようって、言ってくれたのに・・・


いつも彼は私のもので、いつも私を愛で満たしてくれた。

まさかアンドレに愛されない日が来るとは思わなかった。


どんなに求めても今の彼の心は砂のように私の手の中から零れ落ちていき、つかめない。・・・

望んでも望んでも想ってもらえないのはこんなに辛いものだとは・・・


アンドレも、・・・こんな気持ちだったのだろうか?

こんな苦しみを私はアンドレにさせていたのだろうか?

長い長い年月私を想ってくれた彼・・・

それなのに私は彼を一人の男性として見ずに側で仕えさせてきた。

彼の気持ちはわかっていたのに。


アンドレは届かないと思いつつも私をひたすら愛してくれた・・・私は彼のそんな辛さを考えてみたことも無かった・・

私は、何て残酷なことをしてたんだろう・・・

私は・・・こんな想いをアンドレにさせていたんだ、・・・

今度は私がお前を待つ番なのだな・・・


その時、オスカルの後ろに誰かが近寄ってくる気配がした。

オスカルは驚いて振り向いた。

そこにアンドレがいてオスカルを見つけた。

「オスカル、やはりここにいたのか!」

ほっと安心したようにアンドレがオスカルに声をかけた。

「アンドレ!」

・・来てくれたんだ、・・う、うれしい、先ほどの言葉を忘れるほどうれしい!

そういえば、子供のころもかくれんぼして遊んだが、お前はいつも私を見つけたな。

かくれんぼってかくれきったほうが勝ちなのに見つけてくれないと寂しくなる

私もそうだった、アンドレがなかなか見つけてくれないとあいついったい何をしてるんだって考えるんだ。

でも、最後にはお前は私をみつけてくれた手を差し伸べながら「オスカルみつけた、出てこいよ」って

やはりいつも私を見つけるのはお前の役目なんだな、アンドレ・・・


「さっきはすまないお前を傷つけてしまって・・」

「君が大貴族の令嬢だと聞いて驚いてしまったんだ」


まさかアンドレは、私を伯爵家に帰そうと説得するつもりではないだろうな!


オスカルは興奮気味に急いで語りだした。


「アンドレ!私は絶対ジャルジェ家には戻らないからな!」

「お前がなんと言おうと絶対出て行かない!」


「オスカル、そうじゃなくて・・」

だが、アンドレの止めようとする声も今のオスカルには聞こえていなかった。


「アンドレ・・もう愛してくれなんて言わない・・お前が再び私を愛してくれるまで待つよ、お前が私に心を開いてくれるまで、いつまでも待っている」


「ただ、・・ただ去れとは言わないで、お前の側にいさせてほしい」

「だって・・私のいるべきところは・・お前がいる場所しかないんだ」

「お前が身分を気にするなら、私が、お前の心を溶かしてみせる!身分の差なんて気にならないくらいそばにいてお前の心を変えて見せるから」

「もし・・もしもお前が私を愛せないといっても、大丈夫だ」

「私が・・・お前の分も、二人分愛するから・・・」


「だから・・・大丈夫なんだよ、アンドレ!・・・」


ぜんぜん・・・大丈夫じゃないじゃないか、大粒の涙を溢れさせながらそんなに取り乱して、俺に言われて傷ついたのは君のほうなのに

まるで自分自身に納得させるように俺が心を開くのを待つと言い放つ君

それでも離れないといってくれる

信じられないほど一途で純粋なオスカル・・・


アンドレはオスカルの側に近寄り、そのまま強く抱きしめてきた。

オスカルはいきなり抱きしめられたことに驚いたがアンドレはそのまま告白をした。


「すまなかった、あんなひどいことを言ってしまって、許してほしい」

「俺たちは離れてはいけないんだ!それがようやくわかった!」


オスカルは驚きアンドレの顔を見た、彼の真剣な眼差しを見れば本心だとわかる

そして強い口調で伝えてきた。


「オスカル・・俺はもう君を愛することをためらわない・・」


「どんなに身分が離れていても・・どんなに不釣合いでも・・身の程知らずだといわれようとも」

「俺は、もう君のこの手を離さない」


「たとえ、君が、人ならざるこの世のものでなく・・天からの使いが来たとしても」

「もう二度と離しはしない」


「オスカル、結婚してほしい!」

「俺を生涯の夫に選んでほしい、地位も名誉も財産も何も無い俺だが、君を愛する心だけは誰にも負けない」

「俺のすべてを懸けて、君だけを愛し守ることを誓う」



これは・・夢・・?

あれほど望んだアンドレからの愛、それが今ここに・・・

目の前に・・・

呆然とするオスカルを前にアンドレはさらに言葉を続けた。

「愛している・・・以前も愛していたけど、今はもっと愛している」

「どんな出会いをしても君を愛した、そして・・何度記憶を失ったとしてもまた君を愛するよ」


「オスカル・・お願いだから、俺の妻になってくれ・・」


オスカルは再び涙が止まらなくなった。

彼がアンドレが記憶を失っても愛してくれた

もう二度と私を離さないって・・言ってくれた。

「貴方の・・・アンドレ貴方の・・・妻にして・・・」

「アンドレ・・・アンドレ・・・もう・・・離さないで」


アンドレはオスカルを再び強く抱きしめていた。

「オスカル・・ありがとう・・・」

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 7

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2016/08/18 (Thu) 18:52

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2016/08/18 (Thu) 19:45

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2016/08/18 (Thu) 23:57

うさぎ

No title

T様オスカル様の喜びの様子が伝わって何よりです。

たとえ記憶をなくしても愛してしまうのが今回の物語の一番大事なところでした。

T様はアンドレの記憶が気になって仕方なかったようですが、今回解消されるのではないでしょうか?

2016/08/19 (Fri) 16:06

うさぎ

Re: お久しぶりです。

CHIさまお久しぶりです!

やはりアンドレの記憶喪失は誰しもがショックなのですね、そりゃ、オスカル様への愛も忘れるわけですから無理もありませんが。

今回アンドレに愛されるための努力と、アンドレが以前と同じようには働けないため、生活苦もいささかありました。

選択後の中ではかなり苦労のオスカル様でした。

CHI様ウェディングドレス希望なのですね、う~ん、大丈夫かなあ・・

2016/08/19 (Fri) 16:10

うさぎ

Re: No title

N様やっと心が通じ合えたお二人です。

どんなに腹がたってもやっぱり好きなんです、だから相手の痛みがわかったとき、心が広くできる。

このお二人は愛し合ってるからこそお互いのことを一番に考えてしまう、アンドレだってオスカル様に苦労させてるのが悩みなんです。

N様に物語パワーアップしたって言われ、はしゃいでいます♪

う、うれしい!苦労の甲斐がありました!

2016/08/19 (Fri) 16:20

うさぎ

Re: タイトルなし

L様久しぶりではありませんか!

今回の20話でテンションあげてくれましたか!やはり結ばれる二人っていいんですね。

確かに今回は皆さん一喜一憂されたとお思います。

何せプロポーズの直後に記憶喪失です、上がり下がりが激しすぎる。

しかもオスカル様がアンドレを支えつつ愛してもらうよう努力してようやくアンドレの心が動いた!と思ったら拒否されて。

オスカル最後の選択は、今後も物語が作れない可能性も考慮して、これで完結でもおかしくない話にしたかったんです。

だから、選択後の中では少しスケールを大きくしたつもりでした。

アンドレの記憶喪失だけでなく、オスカル様のその後の活動とつつましい暮らしで起こる生活苦もいささか含ませて。

L様物語の中のせりふは、頭にアニメか漫画みたいなのを考えて考えて書いてます。

現実では絶対恥ずかしいせりふですが、ベルばらには、これが最高に合うんです~。

アップするとき「うわ~、恥ずかしい、何これ~?て思われたらどうしよう」と思いながらも度胸を決めてのアップです。

だからL様のすごいほめてくれるコメント来ると感動物です!(涙)

L様のコメントはどれだけ心に響いたかを綴ってくれてすごい伝わってくるので好きです。(こっちもテンションあがるし)

L様、まだ最終回ではありません、もう少しだけありますよ、待っててね。

L様もイラスト希望ですか、ドキドキ。

2016/08/19 (Fri) 16:39