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オスカル最後の選択21

二人は家に戻り部屋の中にいた。

再び求婚されてオスカルは幸せな気持ちだった。

戻ってきて夕食にしたが食事中もオスカルはうれしそうにアンドレに話しかけるのだ

「今日はロスさんの養鶏所でくれた鶏肉がメインのスープだ、いっぱい食べてくれ!」

「明日はライナックさんの畑にいく予定だからまた芋やキャベツがもらえるぞ」

オスカルは働いて食べ物をもらえる活動にすっかりはまっているようだ。

「確かに君が手伝いに行って食べ物をもらってくるようになってから、以前より夕食のメニューが豪勢になってるけど」

今日のスープもイモやたまねぎや鶏肉が入ってかなり豪快なスープだ。

「それはありがたいことだけど、こうしょっちゅうだと疲れるだろう?」

アンドレは慣れない畑でのオスカルの働きぶりを心配した。

「そこで、どうだろう?以前言っていたクリスチャンの本屋で働く件だけど、まだあそこで働いてみたいか?」

「え?いいのか!」

今まで散々反対してきたアンドレなのにどういう風の吹き回しだ。

「君が働くことに関して反対してきたけど、今だって働いてるみたいなものだし、同じ働くなら君がやってみたいクリスチャンの店で働くほうがいいだろう」

「そうか!承知してくれる気になったのか!」

アンドレとしては、オスカルが芋ほりなどで怪我や手あれするのを心配するより、クリスチャンの店で働いてくれるほうが安心そうだと考えたのだ。

「だけどクリスチャンは確かにいいやつのようだが、あまり親しくするなよ、多分彼は君に気がある」

それを聞いたオスカルは、そういえば以前もアンドレは同じことを言ったっけ、クリスチャンと親しくなって、私がアンドレに悪いから会わないでおこうとしたが、アンドレは私にも友達が必要だって許してくれたんだ。

そのときもお前は同じようなことを言ってたな、クリスチャンには指一本触れさせるなって。

やっぱりお前は私のアンドレだな、記憶があろうと無かろうと、私のことを一番に考えてくれるところもその嫉妬心も変わらないんだ。・・・

「それと結婚式の話だが、以前ためていたという結婚資金はかなり減ってるんだろう?」

「そうだな、だが半分以上は残っているから大丈夫だ」

「結婚資金の使い道は式を挙げる分とその後、この下宿を出て新しく家を借りるのに使う予定だったはずだ、でもそれにはとても足りない」

「俺は以前の俺の考えがよくわかるよ、貴族の結婚式とはいかなくとも、せめて人並みに結婚式を挙げて新しく住まいを構えてから君を妻に迎えたかったんだ」

アンドレは結婚式を延ばそうとでも言うのだろうか?

オスカルは不安でいたがアンドレの意見は意外なものだった。


「オスカル、式を挙げるだけで家のほうはしばらくお預けになってしまってもいいだろうか?」

「俺は早く式を挙げて君を妻に迎えたいと思ってる」

「これまでと同じここでしばらく暮らして、また金がたまった時点で家を準備するよ、いずれ君のための家も建てたいと思ってる」

アンドレの言葉はオスカルに対する思いやりに満ちたものだ、その気持ちだけでうれしい。

「またクロエと暮らせるのだからうれしいくらいだ、ここにも住み慣れていて愛着がわいた」

「それに、夫婦になって二人で築いていきたいのだ、何をするのでも二人で力を合わせて、お前と私で家族を作りたい」

オスカルの言葉にアンドレは心を動かされた。

オスカルは俺に家族を作ろうとしてくれている、いや俺の家族になろうとしてくれているんだ。

「では、明日にでも教会に行って神父さんに結婚式をお願いしに行こう!」

話し合いが終わり寝る時間となってからオスカルは急に不安になった。

立ち上がったアンドレの背中から声をかけた。


「アンドレ・・・今日もソファーで寝るつもりか?」

アンドレは驚いてオスカルのほうに向き直った。

すると思いつめたような顔をしたオスカルがそこにいた。

「今夜からは、そばにいてほしい、私を愛していると確信したなら、もういいだろう!」


オスカルの気持ちを考えるともっともな話だ。

彼女は俺の記憶が戻るまで、と我慢していてくれたのだから・・・

「私がどんなに寂しい思いをしたかお前にわからないのか!」

「お前に触れることさえかなわない、お前から愛が感じられない毎日がどれほど辛かったか!」

オスカルの恥ずかしそうに愛をねだる姿はなんともいえなくいじらしかった。

いつまでも聞いていたいくらいいとおしさを感じた。

「俺もだよ、俺も君に触れたかった、出来れば君を抱きしめて口付けして俺のものにしたかったんだ」

「だけど、記憶の無い俺が君にそんなことをしたら、君を欲望のはけ口にしたようで、それは嫌だった」

「でも、もう我慢なんてしない」

そういったかと思うとアンドレはオスカルを抱き上げてベッドへ連れて行った。

そのまま二人は抱きしめあいベッドの中に倒れていった。

長い長い口付けの後アンドレが耳元で囁いた。

「記憶を無くす前の俺は何度も君を抱いたのだろうけど、今の俺は初めてだ」

「君を何度も抱いたなんて以前の俺自身に嫉妬しそうだ、だから優しくなんて出来ない」

アンドレの言葉通り、彼はやや荒々しくオスカルを抱いていった。

自分に嫉妬するなんておかしいじゃないかアンドレ・・・オスカルは心の中で笑ってしまった。

けれどそれは愛情の印なのだ

久しぶりに私を抱きしめて愛しているの言葉と口付けの雨を降らす彼

私はようやくほしいものを手に入れた

私のほしいものとは、それはアンドレお前のすべてだ、その身も心も全部全部私のものにしておきたい

お前はこんなにも私を強欲にさせてしまう

なぜ私はこんなに彼を求めてしまうのだろう

なぜ私はこんなにも彼に愛されたいのだろう

それは、きっと・・・私の幸せは彼の腕の中にしかないのだから・・・



翌日オスカルはアンドレより先に眼が覚めた。

アンドレが横で眠っている。

その様子を見るだけで懐かしくてうれしくて、なんだかにやついてしまう。

彼の唇に触れるようにそっと口付けしたが、アンドレは起きなかった。

今日は教会に行く約束だ。

早く起きて準備をしなければ。

「アンドレ、起きてくれ!」

しかしアンドレはなかなか起きない。

「アンドレいい加減に起きろ!今日は教会に行く日なのだから!」

大事な約束だというのに、オスカルは大きな声を張り上げた。

するとアンドレはようやく頭が痛そうにして起き出してきた。

「何だか頭が痛いんだ・・」

頭が痛い!となると病気だろうか!オスカルは今度は心配になった。

「大丈夫か!怪我が悪化したのではないだろうな!」


「いや・・・少しずつだが収まってきたよ」

「そうか、だが安心はできない、後で医者のところへ行こう」

「大丈夫だ、気分は悪くない、不思議なんだが長い間夢を見ていた気がする」

そしてアンドレは楽しそうに夢の中身を口にした。

「それもいい夢なんだ、オスカルお前がいて俺がいて、その間に子供が生まれてるんだ、俺たちは家を買ってそこで暮らしている」

「俺が仕事から戻るとお前と子供が迎えてくれる、俺は子供を抱き上げてお前にただいまの口付けをする」

「俺たちは深く愛し合っていつまでも仲良く暮らすんだ」

アンドレ、お前・・・

笑顔で語るアンドレの顔を見ながらオスカルはすべてを悟った。

「そうか・・アンドレ幸せな夢だな」

「そうだ、幸せな夢だ、だがそれは現実のものになる、お前は俺の妻になってくれるんだろう?」

アンドレはオスカルに手を差し伸べてきた。

「ああ、そうだお前の妻に、そして家族になる」

オスカルは差し出された腕の中に滑り込むように入り込み、彼に胸の中に抱きとめられた。

何から話そう、お前がいなかった間のことを、お前は私を忘れても愛は消えなかったこと、私たちは何があっても離れられないと確信したこと

でも、今お前に言っておきたいことは

「おかえり、アンドレ」

オスカルはアンドレに迎えの口付けをした。
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Posted byうさぎ

Comments 5

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2016/08/19 (Fri) 18:39

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2016/08/20 (Sat) 09:49

うさぎ

No title

T様無事アンドレの記憶は戻りました。

記憶が戻る瞬間って表現するのが難しいですね、大体は何かしらショックを受けて戻るなどの表現が多いものですが、それはしたくなかったので、夢から覚めたら記憶が戻っていたになりました。

記憶がない間の問題点はオスカルがその後詳しく語るでしょう。

今回もちょっと長めです。

2016/08/20 (Sat) 12:06

うさぎ

Re: No title

N様、アンドレの記憶は戻りました。

オスカル様はすぐに気がついたんです、(お前っていったし)

愛し合ったことも記憶が戻る一因ですね、だって彼女を抱いた記憶は彼には何より大事な想いですから。

N様また涙をありがとうございます。(私も涙が・・・)

今回のアンドレの記憶戻るの良かったですか!(うれしい)

今日もがんばったので楽しんでくれればいいのですが。

2016/08/20 (Sat) 12:11

うさぎ

Re: よかった!

TM様もやはりお二人の「お前」には思いいれがあるんですね!(あれって愛を感じますものね)

TM様、そのまま結婚してその後の話まで想像してくれるなんて、そうとう真剣に読んでくれたんだなあって感激です。

いや~、TM様までウェディングドレスのイラストを!期待しないでください、他の人と比べると相当下手なのがわかって落ち込んでるんですから。

君と呼んだアンドレもそういえば嫉妬してましたね、お前と呼ぶアンドレも複雑な心境でしょう♪

2016/08/20 (Sat) 12:19