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うさぎ

再会の物語②

次にオスカルとの出会いは、アンドレが8歳のとき、母は父を失ってから仕事で夜遅くなることが多くて、夕食は一人でとることが多かった。

学校から戻って宿題をする、夕食は母さんが作っておいてくれるから一人でそれを食べる、母さんの仕事が忙しい時期はそんなことが続いた。


寂しいかといわれればそうだが、幼いころから当たり前になっていた僕は寂しいということも忘れていた。

いつもは、一人の夕食も気にならないでいたのだが、その日はとてもうれしいことがあったので母に早く聞かせてやりたい気持ちでいっぱいだった。

それは授業の一環で物語を書くのだが、生徒が作った物語を人気投票した結果、なんと僕の作品が1位になったのだ。

先生や友達に褒められてうれしくはあったが、やはり一番褒められたいのは母だ。

家に戻り、夕食を食べて母の帰りを待った。

だが、母の帰りは遅くて、僕は物語を書いた用紙をテーブルの上においたままいつの間にか突っ伏して眠ってしまっていた。

どれくらい眠っていただろう。

僕を呼ぶ声で目が覚めた。

「アンドレ、風邪を引くよ、アンドレ・・」

母さんかな?でも声が違う。・・・

僕は眠い目をこすりながら目を覚ました。

そして僕を呼んだ声の主は!

「オスカル!」俺は驚いて声に出た。

「私を覚えていてくれたんだね、うれしいよ」

そこには父さんがなくなった日に、僕に会いにきたという麗人のオスカルがいるではないか!

「オスカル、どうしてここに?」

驚く僕にオスカルは笑顔で答えた。

「お前に会いたくて来てしまった」

僕としてはどうして家に入ってきたのかを聞いたのだが、オスカルは気にせずテーブルの上にある物語の用紙を見つめた。

「これはお前が書いた物語なのか?」

用紙にタイトルの「オスカルとアンドレの冒険」と書いてあるのを見つけてオスカルはそれを物語りだとわかったらしい。

「うん、学校の授業で物語を書いたんだ、そこで僕の書いたのが投票で一等に選ばれたんだ」

「それはすごい!そういえばお前は私と同じ読書家でロマンチストでもあったから、物語を書くには向いているかもしれないな」

「僕が読書家でロマンチスト?」

確かに本を読むのは好きだけど、ロマンチストなほうかはまだわからなかった。

「ああ、すまない、私の大事な人のことだ、彼は詩を読んだり歌も好きだった、私への愛にあふれた詩を最後まで歌ってくれたんだ・・・」

「そして彼の名前もアンドレという・・」

そこまで言うとオスカルは泣きそうな顔になった。

そしてじっと僕の顔を見つめて「アンドレ・・」と悲しそうに僕の名前を呼んだ。


僕と同じ名前を持つアンドレは、彼はきっと亡くなってしまったに違いない。

そしてアンドレと僕とは名前が同じだけでなく顔もよく似ているのだろう。

オスカルは僕を通してアンドレを見ているのか?


「よければ、この物語を読んでみてもいいだろうか?」

「お前が書いた作品を読んでみたいのだ」

オスカルは僕の書いた物語に興味を覚えたようだった。

母さんに読んでもらいたいと思って待っていたが、母さんはまだ当分帰ってこないだろう。

僕としては誰かに物語を読んでもらいたい気分だったので「いいよ」と答えた。

オスカルはまるで自分の思い出を見るように懐かしい目で熱心に読んでいた。


主役のオスカルは女ながら軍隊の指揮官をしている、アンドレはその部下で屋敷では召使だ。

しかし二人は一緒に育ち、ともに学んだ親友でもあるのだ。

オスカルは正義感が強くていつも事件に首を突っ込む。

アンドレはそんなオスカルが心配で、彼女を守るナイトの役目なのだ。


金持ちの家にある絵画や宝石の盗難事件に子供の誘拐や時には殺人事件の捜査にも二人は活躍していく。

オスカルは行動派でアンドレは慎重派だ、オスカルがすぐに行動に移し、それを後ろで補佐するのがアンドレの役目なのだ。

二人はとてもよいコンビでいろんな難事件を次々解決していく。

読み終わってオスカルはとてもいい、と褒めてくれた。

「軍人のオスカルと部下のアンドレがコンビを組んで捜査に乗り出すってのが面白い、二人のデコボコぶりがいい味を出しているよ」

オスカルは本気で僕の物語を楽しんでくれたようだ。

「もしかして、この主役のオスカルは、私の名前からつけたのか?」

アンドレは内心ばれてしまったと思った。

「そうなんだ、上手い名前が思いつかなくって、悩んで考えていたら墓場で出会った君のことが思い出された」

そうなのだ、墓場で出会ったオスカルが忘れられなくて、物語を書くときにオスカルの名前が浮かんだ、そしてなぜか相棒にはアンドレの名前がふさわしいような気がした

「そうか、私のことをお前は覚えていてくれたんだね」

オスカルはうれしそうだった。

「でも、本当に良くできてる、お前作家になってはどうだ?」

「作家って小説を書く職業だよね」

「ああ、そうだよ、作家という職業は人々に喜びや感銘を与えたり、作品の如何によっては他人の生き方を左右するくらい大事な職業だ。」

「そんな大事な職業に僕はなれるかなあ?」

「お前がなりたいと思って努力すればきっとなれるよ、いつかお前が本を出すときは、私も読んでみたいな」

オスカルにそういわれるとなんだかいずれ僕は作家になる気がした。

今まで何になりたいなんて考えたことが無いが、作家になる、この考えを僕は気に入ってしまった。

将来の目標ができるって、こんな気持ちだろうか?

心に希望の光がともったみたいだった。

「オスカル、おかしいかな?君に言われて僕も今作家になりたいって思ったよ」

オスカルに物語をほめられたくらいで作家になりたいだなんて単純だとは思ったが、作品を認めてくれた彼女には正直な僕の気持ちを言いたかった。

「ちっともおかしくなんかないよ、私にはお前が物語を生み出す景色が見えるようだ」

「でも、作家になるにはどうすればいいのかわからないよ」

「それはやはり、いろいろ勉強することだな、お前がどのような作品を描いていくのかはわからないが、どんな分野であろうと知識を習得しないと作品は書けない」

「そうか、やっぱり難しいんだね、」

「どんな夢でも叶えるには学ぶことからはじめるしかない、今は努力すれば大抵の夢は叶えられる、それに勉強は無駄にはならない」

「お前の人生はこれからだ、作家でなくともお前が希望する職業についてほしい」

オスカルは真剣に僕の将来を語った。

よく考えてみれば、オスカルは僕よりかなり年上だ。

母さんよりは年下に見えるが、それでもこんなに年上の女性が小さな僕を真剣に相手するなんて

じっとオスカルの話を聞き入っている僕の顔にオスカルが気づいて急いで話を止めた。

「あ、すまない、私はすぐに夢中になって語る癖があって、お前がじっと聞いてくれるから、こんな話お前には退屈だな」

「いや、オスカルがいいたいことは伝わったよ、僕はもっといろんなことを勉強しなくちゃいけないんだ、」

僕はオスカルが真剣に僕のために言ってくれたのがわかった。

「アンドレ・・・お前はやはり私なんかより優れた人間だ、人生で何が大事かお前はすでにわかっている、忘れないでほしい、私はお前を尊敬している」

僕は驚いてしまった大人のオスカルが子供の僕に尊敬の念を感じるなんて。

澄み切った蒼い眼で僕を見つめて笑顔を向けるオスカル。

彼女はこのときから僕にとって忘れられない人となった。

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 7

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2016/09/21 (Wed) 23:11

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2016/09/22 (Thu) 03:36

うさぎ

No title

T様文字をろくに見ずに打っていました。

そうです、現代です、でも少し昔ではあります。

今回のオスカルは謎の人です。

だから良くわからないっていわれるほうがこちらとしてはありがたいです。

もう少し待っていてくださいね、出来ればまた連絡いたします。

T様本当にオスカルが好きなのですね。

印象に残る名前ではありますものね。

もう、女性の名前でもいいんじゃないですか、オスカルって名前の男の人がいてもたぶんピンとこないですし(笑)

2016/09/22 (Thu) 13:30

うさぎ

Re: わぁ、すみません;

MI様、そうなんです現代です、でも少し昔ではありますね。

だけど、2話をアップしたけど、果たして現代だとわかるんだろうか?って内容でしたね。

生みの苦しみはありますね、調子よく書けるってほとんどなくて、それならやめればいいじゃない、なんですが。

けど、思い浮かんだ物語を完成させたいってどうしても考えてしまう。

楽しんでくださればこちらもうれしいです。

だって人の妄想につきあってもらえるなんて早々無いことです、ありがたいと思っています。

2016/09/22 (Thu) 13:39

うさぎ

Re: No title

M5様お久しぶりです!

今回の話はいささかややこしいと思います。

だってアンドレは子供でオスカル様大人で現れて突然消えるし、部屋にも来るし。

オスカル様は今回謎の人なのです。

だから、物語を作るのも難しいです・・・

でもM5様の中でどうやら想像できているような・・・?

オスカル最後の選択は、そうですねおっしゃるとおり、オスカル様の心理描写に確かに力を入れました。

アンドレが記憶喪失になって、オスカル様がどう頑張っていくかを詳しく伝えたかったので。

イラスト感動したといってくれてこちらこそ、報われた気持ちでいっぱいです。(でも、もっとうまくなりたいな)

2016/09/22 (Thu) 13:47

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2016/09/23 (Fri) 00:08

うさぎ

Re: No title

N様こんにちは、再会の物語です。

今回不思議な話で始まります。

アンドレが子供でオスカル様大人で謎の人っぽい、

N様さすが、オスカル様、アンドレの前にしか現れてないのを早くも気づいたんですね。

今回のようなのは初めての試みなので、すごい悩んで作成しました。

もう少しお待ちくださいね、いつもありがとうございます。

2016/09/23 (Fri) 17:08