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うさぎ

再会の物語⑩

俺が大学に進学するころに、母が病気で亡くなった。・・・

死ぬ前に俺はもう一人でやっていける年だから大丈夫よね、と母は笑って逝った。

父さんに会える日を待ち望んでいた母さんにとって死は終わりではなく再会の時だった。

綺麗で安らかな死に顔だった、きっと父さんが迎えにきたんだ。

母さん良かったね、あれほど会いたかった人に会えたのだから。・・・

俺はたった一人の家族である母を亡くした。


一人で暮らすには一軒家は広すぎる、家は売り払い、大学近くのアパルトマンを借りて住むことにした。

両親が残してくれたいくらかの資産とアルバイトで学費を稼ぎ俺は大学生活をすごした。

大学へ行った目的は、作家になるために勉強がしたかったからだ。

作家になりたい、これはいつも俺の頭の片隅にあった夢だ。

そのためにはいろんなことを知る必要がある。

大学でフランス史を学んだとき、教授から歴史に隠された人物でオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェの名前を聞かされた。

俺はその名前を知っていた。

それは俺が幼いころ初めて書いた物語のタイトルにある。

「オスカルとアンドレの冒険」。

この物語の主役もオスカル。・・・

俺は自分自身が書いた作品なのにも係わらず、なぜオスカルという名前をつけたのかわからないでいた。

だが、きっと幼い俺はどこかでこのオスカル・フランソワの名前を聞いたのだろう、そう納得させていた。

しかし、それがきっかけでオスカル・フランソワの生涯を知りたいと思った。

将軍家に生まれ、女性でありながら軍人になるよう育てられ、准将の位までいただくが、自由、平等、博愛の精神を持ち、最後は革命に身を投じる。

調べていけばオスカル・フランソワの生涯は、なんとも興味深いものだったのだと知り、俺は彼女の人生を自らの手で書いてみたいと願うようになった。

彼女に関する詳しい資料はほとんど残ってはいないが、それでも教授や知り合いのつてで、いくつかの資料と、そして彼女の肖像画を見る機会を得た。

それはある美術館の奥深くに収められていた。

蒼い瞳に金髪の美しい軍人姿の彼女

その姿を見た瞬間俺は衝撃を受けた。



何度も見た夢・・・


たそがれの光を浴びた金色の髪が美しくなびき、まるで森の女神のように美しい人

森の中を彼女と手をつないで歩き、彼女は俺にやさしく微笑みかける

その笑顔は俺に愛を伝えてくれた。

その瞬間が俺にはこれ以上ない喜びだった。

だけど、目覚めたとき、これは夢だったんだと、辛くなる。・・・

うれしくて哀しくて切ない夢

俺を見つめた蒼い瞳

あれは・・・オスカル、君だったんだ・・・


自然と涙が頬を伝った。


あれは夢なのに

俺は・・・馬鹿だ・・・

もうこの世にいない人に恋焦がれるなんて・・・

俺は馬鹿だ・・・

一生に一度の恋を夢の相手に捧げるなんて・・・


・・・オスカル・・・君はここにいたんだね・・



俺はオスカルの姿を眼にしてからオスカルの生涯を自分の手で描く決意を高めた。

そのためには一人前の作家になる必要がある。

だから出来るだけの努力を始めることにした。

俺は出版社が主催する小説部門の新人賞に応募したり、出版社に顔出しし知り合いを増やすなどして、作家への道を歩んだ。

雑誌の記事文やエッセイも書いて一人前の作家を目指すように努力した。

そしてその甲斐あって友人のベルナールが児童出版社を立ち上げて俺に物語を打診してきた。

俺はいくつかの作品を世に出した、その中で人気の出たのが「オスカルとアンドレの冒険」だった。

俺がオスカル・フランソワを知るきっかけを作ったこの作品が俺の作家人生を作ったのだ。

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 7

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2016/10/02 (Sun) 12:41

ソレイユのママ

No title

いつも作品を楽しみに読ませていただいています。
輪廻転生しても、愛し合うO&A様。
今回は、いつもに増してロマンティックな展開で
続きが楽しみです。
大好きな映画の一つである、「いつかどこかで」(ぜひ、ご覧になってください!)を感じさせるテイストでとても好きです。
アンドレは、常にオスカルにひかれてしまうのですよね。
そんなアンドレが大好きです♡

2016/10/02 (Sun) 19:11

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2016/10/03 (Mon) 07:39

うさぎ

No title

T様夢って思ったまま見られるかといえばそうでもなくて、現実と同じで見たい夢はなかなか見れないですね。

たまに見れると、夢から覚めたら、あれは夢だったんだ、て空しくなることもしばしばあります。(もちろんいい夢みたなって気分が良くなることもありですが)

だけど夢はその人の記憶や考えの一部です、アンドレの中に残ったオスカル様との思い出は記憶がなくなっても染み付いて離れない。

しかし、今回展開が変わります。

出来ればお楽しみを。

2016/10/03 (Mon) 13:48

うさぎ

Re: タイトルなし

MY様お久しぶりです、見に来てくれていたんですね!

やはりわかりますよね、ようやくいえます。

話の中にいくつもキーワードがあるからみなさんにはばれてるだろうなとは思っていましたが。

あの子が戻ってきました(笑)

2016/10/03 (Mon) 13:51

うさぎ

Re: No title

SO様お久しぶりです!

いつも見に来てくれていたんですね、うれしい!

今回オスカル様がこの世の人ではないことでロマンティックに見れたんでしょうか?

絶対に結ばれない二人ってとこが萌えますね。(哀しいけど)

映画はもしかして「ある日どこかで」では?

検索してみると、本当に不思議なロマンティックなお話なんですね。

機会があれば是非。

アンドレの一番の魅力ってオスカル様を一途に想い続ける姿だと信じています。(あの姿がたまらない)

2016/10/03 (Mon) 13:58

うさぎ

Re: No title

N様アンドレあれからも夢でオスカル様に会ってたんです。

それは彼の何より大事なで出来事だから、どこかに残っている。

アンドレ作家になり、本を出します。

その本がきっかけであの子がいよいよ登場します。

オスカルとアンドレの冒険のお話が二人の運命を結び付けました。

いつも泣いてくれてありがとうございます。(私もよく泣きます)

2016/10/03 (Mon) 14:06