FC2ブログ
うさぎ

リトルレディの恋④

「私は眠ってしまってたのか?」

オスカルが目を覚ました。

「ああ、お前疲れていたんだよ」

アンドレはふと気がついた。

「オスカル、馬にのってどこかいきたいところがあったのか?」

「何のことだ?」

「だってお前は俺と遠乗りしたかったんだろう?どこか良い行き先があったんじゃないのか?」

オスカルは秘密がばれた顔になり、観念して話し出した。

「実は・・以前このジュベルの森を馬で散歩していたところ、茂みの中に獣道を発見したんだ、その道をたどっていくと池があって野いちごがいっぱい生ってた」

「すぐ傍に池もあって良い景色の場所だから、時々そこに行ってたんだ、そこをお前にも見せてやりたかった・・」

「そうか、それなら是非俺も馬が乗れるようにならねばな」

「いや、いいんだ、そのことは、それより医者がお前をもう動かしてもいいといってたから明日は車椅子を用意するよ」

その言葉通りに翌日アンドレの部屋には立派な車椅子が準備された。

「おじい様が使っていた車椅子なんだ、良い品だから乗り心地はいいはずだ」

どうやら移動の際はこれに乗れと言う。

オスカルの手を借りて車椅子に乗ってみると意外と乗り心地はいい。

「本当だ、なかなか快適だな」

「そうだろう!では庭を散歩してみないか?外はいい天気だぞ」

「そうだな、では少し出てみるか」

オスカルは車椅子を押して屋敷の庭に出て行った。

行き先は庭の奥にあるバラ園だった。

そこは、オスカルが車椅子を押して、祖父とよくきた場所だ。

美しいバラが咲いているのを祖父は何より好きで毎年バラが咲く景色を楽しんだものだ。

色とりどりの美しいバラは誰が見ても心を和ませる。

あまりの美しさにアンドレも見惚れてしまった。

「美しい景色だな」

「庭師のクロードが抜かりなく世話をしてくれているからな、ここはおじい様自慢の庭なんだ」

「あの薄紫のはシャルルドゴールだ、ピンクのはピエ-ルドロンサール、あの大輪のはロココという、」

「白いのはアイスバーグ、あの色も形も華やかなのがマダムポンパドゥールだ」

「よく知っているな!」

アンドレはオスカルがバラの名前をたくさん知ってることに感心してしまった。

「おじい様に教えられているうちに覚えてしまった、」

祖父との思い出はいつも私を通り越して父レナードを求め、どこか寂しそうな祖父の顔だった。

だけどこのバラ園に来たときだけは、祖父は多弁になり、私にいろいろと教えてくれたものだ。

、「これがイングリッシュローズだよ、オールドローズとモダンローズの美しさを併せ持ったバラだ、バラっていうのはもともとこのように美しかったわけではない、いろんな種類を交配させていき、良いところだけを残し、美しいバラとなったんだよ、レナード」

そのときだけは楽しそうだった・・息子との楽しい思い出だったのだろう。

「私も久々だが、やはり美しいな・・」

オスカルにとってここはおじいさんとの思い出の場所、亡くなった後一人で来る気にはなれなかったのだろう。・・

オスカルは車椅子を固定してからアンドレの真正面に立ち、後ろに手を組みながら照れるように語り始めた。

「おじい様がお亡くなりになって、私は一人になったが・・・今はお前がいる」

「わ、私は子供だが、おじい様がお倒れになった後のお世話もしてきたし、こうして車椅子を押すくらいはできる、」

「だから・・・お前が倒れたときは私が世話してやるから、・・・安心しろ」

恥ずかしそうに自分の心のうちを明かすオスカルの言葉。

俺はこのとき、この世で一番愛しいものをこの手にした気がした。


「それはありがたいな、では俺が年取ってもお前が車椅子を押して世話してくれるのだな」

「いいぞ!まかせておけ!」

はしゃぐように答えるオスカル。

バラが咲き乱れる庭でうれしそうに走っていったかと思えば、すぐに戻ってきて、その手には一輪のバラが持たれていた。

「アンドレ、バラはロマンチックな名前が多いのだぞ、これなどシンデレラという名前だ、可憐な姿なのに病気にかかりにくい強いバラなんだ、だから継母にいじめられても強くけなげに生きるシンデレラの名をなずけられたのだろう」

俺はそのバラがまるでオスカルのように思えた。

誰よりも美しく聡明でありながら、肉親の愛情に恵まれず、このジュベルの森からも出られないで生きてきた。

だが、そんな境遇でありながら、死を前にした祖父をいたわり、この俺にも限りない愛で答えてくれるやさしい子だ。

これまでの運命に翻弄された日々を恨むでもなく。

しかし、いつかオスカルはシンデレラのように花開く日がきっと来る。

美しく成長して輝くようなレディになったオスカルが、俺には見えるようだ。

俺はシンデレラを受け取り、オスカルの髪に飾ってやった。

「やはりお前は女の子だな、こうして花を飾ればとても女の子らしく愛らしい」

オスカルは突然のことに驚き、頬を赤らめて横を向いてしまったが、気に入ったのか飾られた花はそのままにしていた。

アンドレはオスカルを見つめ物寂しい思いを感じた。

いつかオスカルはこの森を出てすべての人にこの美しさを見せつけるだろう。

その日が来るまで、今は俺だけのオスカルでいてほしい、せめてその日がくるまでは・・・

リトルレディ恋
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 5

There are no comments yet.

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/10/22 (Sat) 01:09

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2016/10/22 (Sat) 09:26

うさぎ

No title

T様まだ幼いリトルオスカルに恋という感情を持つには早くて、今は妹か娘のようにいとおしいのが近いでしょう。

これほどに自分を慕ってくれる子に愛情を持たないはずがないです。

けれどリトルオスカルにはアンドレはずっと憧れた存在で、しかもかっこいい大人の男性として現れたわけですから自分だけのものにしたい独占欲をすでに持っています。

この恋は年の差があるだけに微妙な関係になってしまいます。

2016/10/22 (Sat) 14:32

うさぎ

Re: わ~♪

MI様絵は色づけが難しいですね、考えながらやってるのに、どうも上手くいかない、けどがんばった一枚です。

そうです、よくよく考えてみると「リトルレディの恋」が先だとおかしいのです。

だから、途中まで書いていたので、少し早めにアップできました。

アンドレはリトルオスカルを溺愛してるから、少し甘いかも、まあ本人は十分反省していたしね。

バラ園いいですね~、旅先でバラ園が途中にあったのでお金出して入ってみたけど季節柄あんまり咲いてなかった苦い経験ありです。

たまたまバラが咲いている景色に出くわすくらいでバラ園に満開に咲いている景色はお目にかかったことはないのですが、幼いころから百科事典でいろんなバラを見るのは好きでした。

そのとき、バラってこんなに種類があるんだ、名前も素敵なのがいっぱいあるのを知りました。





2016/10/22 (Sat) 14:45

うさぎ

Re: No title

N様オスカルちゃん、自分の気持ちを伝えるために、精一杯の告白でした。

こんな子供に「私が面倒見てやる」って言われたら感動です、しかも実際やってるし。

ともかく年齢のわりに知識が豊富なオスカルちゃんです。

だからこそ、アンドレはこの子はもっと広い世界に出て行くべき子なんだって思うんです。

イラスト思いあう二人の様子が伝わったでしょうか。

年が離れていても通じ合っていて一緒にいるだけで楽しいんです。

2016/10/22 (Sat) 14:54