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うさぎ

愛しの婚約者殿⑭


口付けの後、オスカルはアンドレにずっと聞きたいと思っていたことを聞いた。

アンドレの胸に手を置いて彼の暖かさが伝わるこの瞬間に聞いてみたくなった。

「アンドレ?」

「何だ?」

「お前に聞きたいと思っていた、何故お前は私に求婚したのだ?」

「何をいまさら?」

「教えてほしいんだ、お前は会ったこともないのに、まるで良く見知っているように私を呼び、私に好意を見せてくれた」

「何故お前は私などに求婚したのだ、お前なら貴族の娘で、もっと気立ての良い女性が手に入れられただろうに」

ずっと疑問だったこと。

アンドレが何故自分に求婚したのか、彼ならば誰だって気に入るだろう。

それがこんな男みたいな私に。

その理由をいつもオスカルは大貴族の令嬢だから求婚したんだ・・そう考えていた。

だけど今は聞きたい。

だってアンドレはオスカルを大貴族の令嬢扱いしたことは無い。

下にもおかぬ扱いをするのではなく、いつも普通の恋人のように扱ってくれた。

そんな彼だから、聞いてみたくなった。


「わかった、では話すよ、何故俺がお前を妻に望んだのかを」


アンドレはオスカルの疑問に答えてくれた。


「俺が8歳の頃だった、祖父が将来あとを継ぐのだから都会を見ておくべきだといって俺を連れて街に出てきたんだ」

「俺に街を見物させてやろうとしたが、良い商談話があって祖父はそちらに忙しくなって俺を知り合いに預けたんだ」

「その知り合いはおばあちゃんの友達で貴族のお屋敷のばあやさんをしていた」

「俺はばあやさんからお屋敷で伯爵様やその家族がいる場所にはいかないように言われてたんだ、しかし幼い俺は好奇心には勝てず使用人部屋から出て、屋敷を探索して回った。」

「まるで宮殿か城のような豪華な屋敷をもの珍しげに探索していると、館の主人の子に見つかってしまった」

「俺はしまった見つかったと焦ったよ、けどその子は落ち着いて俺の名前を聞いてきた。

「君、名前は?」

「アンドレ、グランディエ」

「ああ、ばあやから知り合いの孫を預かっていると聞いたよ、君のことだったんだな」

「丁度いい!剣の相手をしてくれ!」

そして俺を庭に引っ張っていき、剣の相手をさせたんだ。

俺は剣など扱ったことがないのに、その子は手を抜かないでやるもんだからこっちはボロ負けだ。

なんて乱暴なやつだと最初は憤慨したが次第にその子はいいやつだとわかってきた。


「まあ、アンドレ!使用人部屋から出てはいけないって言ったでしょう!」

ばあやさんが俺とその子と一緒にいるのを見つけて急いで飛んできた。

俺は叱られるのを覚悟したが、その子が助けてくれたんだ。

「ばあや、僕がアンドレを見かけて剣の相手を命じた」

「お嬢様いけません、アンドレは私の知り合いの孫、勝手にお屋敷の中をうろついては旦那様に叱られてしまいます」

「それなら僕のほうから父上にお願いしておくよ、アンドレを僕の遊び相手として屋敷の中を自由に行き来出来るように」

俺は驚いてばあやさんに聞いた。

「お嬢様?」

「そうですよ、オスカル様はれっきとしたご令嬢なんだから、アンドレ貴方、お嬢様に怪我をさせてはいけないのよ」

俺が男の子だと思ってたその子は女の子だった。

見た目女の子みたいに綺麗な子だと思ったが、本当に女の子とは驚いた。


「まさか・・・それは・・」

オスカルは思わず声が出た

「そうだよ、オスカルその子はお前だった」


アンドレは話を続けた。


それから俺達二人は毎日一緒に遊ぶようになった。

剣の相手はもちろんだけど、木登りやかけっこしたりブランコにのったりして遊んだ。

お前は俺が気に入ったと見えて、食事中でも俺と一緒にいたがった。

けどばあやさんが駄目です、アンドレは使用人部屋で食べるんです、と言われたんでお前は、それなら自分も使用人部屋で食べると言って俺についてきた。

「アンドレと一緒に食べると美味しい」

お前は普段食べてるものより質素な料理を上手そうに俺の横で食べるんだ。

あるときなんて、お茶の時間から戻ってきたと思えば、ハンカチいっぱいにお菓子を詰め込んできた。

「アンドレ、一緒に食べよう」

お前は俺と食べるために、こっそりお菓子を持ってきたんだ。

一緒にお菓子を食べながらお前は俺が来てくれて毎日が楽しいといった。

俺にずっとここにいろと言うのだがそうはいかない、俺は祖父の用事が終わったら村に帰らなければいけないことを伝えた。

するとお前はひざを抱えてすねるように言った。

「用事が終わらなければいいのに」

お前は男として育てられ、いずれ跡継ぎになるのだと教えられて、その頃にはもう既にその意識が備わってたと見えていつも虚勢を張って生きていた。

だが、俺と出会って親しくなるごとにその虚勢がはがれていくようだった。

俺に対しては正直に甘えたり泣き言を言うお前は、俺にとって紛れも無く普通の女の子だった。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 4

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2016/12/27 (Tue) 23:32

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2016/12/28 (Wed) 00:13

うさぎ

Re: No title

N様、年末のお忙しいときにきてくださってありがとうございます♪

全部読むのはもったいなくて二日に分けて読破とは身に余る光栄です~♪(泣)

偽の婚約者とはいえ、気が合う二人だからいつの間にかいい感じになっていくんです。

N様はじめからアンドレが男装のオスカル様を受け入れてるのが疑問だったんですね。

オスカル様の男装は幼い頃からですから、その時にあってるから、アンドレわかっていたんです、それも含めて受け入れた彼です。

気に入ってもらえて良かった、しかし今後がどう思われるか心配なのですが。

2016/12/28 (Wed) 12:56

うさぎ

Re: 思い出してあげて~(^ー^;)

MI様いよいよアンドレの口から二人の思い出が語られます。

そうですね、最高のタイミングといえるでしょう。

自分達の絆がわかる、これは女性には深く胸に刻まれる。

アンドレ天然の策士でしょうか?(笑)


足長おじさん、MI様の言葉で鮮明に思い出されました。

ジュディが足長おじさんへ書いた手紙に、ジャービスが足長おじさんだってわかったくだりが説明されてあって「貴方のジュディより」だったかな?

人って忘れてた記憶が誰かの言葉や何かで思い出されるんですよ、この物語もややその傾向があるかな?



2016/12/28 (Wed) 13:03