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うさぎ

愛しの婚約者殿25

「オスカルをあきらめてほしいのだ」

「伯爵・・貴方は、俺にオスカルへの求婚を許すとおっしゃいました」

伯爵の様子から嫌な予感はしていたが、それでもまさか、このような話をされるとは!

アンドレは信じられない思いで伯爵を問いただした。

「俺のオスカルへの求婚を認めてくれたのでは無いのですか!?」

「そうだ、アンドレ・・私は一度君にオスカルをやってもいいと返事をした」

「それが何故いまさら!」

「だが、あの時と事情が変わった」

「オスカルに新たな求婚者が現れたのだ」

求婚者?

「君も昨日会っただろう、アランだよ」

「アラン!彼が」

彼はもうすでに求婚していたのか!

「そうだ、アランだ、彼は士官学校の時代からオスカルに好意を持っていたと言う」

「あんな無骨な男だ、長いこと自分の気持ちを正直に告白など出来なかったようだ」

「それにソワソン家は子爵だ、それもアランの代でようやく宮廷にお目通り出来るようになった、うちと比べればあまり芳しくない家柄だった」

「しかし、彼は自分自身の力で成り上がった、軍人としての地位も、貴族の中での評判も、皆、彼はいずれ将軍になる器だと確信している」

「昇進を重ね、うちの家と肩を並べるほどの地位を持ってからオスカルに求婚しようと決めていたと言った」

「しかし、アンドレ、君に先を越されて焦った、そこで大佐任命の折に私にオスカルへの求婚を願い出たのだ」

「アンドレ・・私はもうオスカルには貴族の求婚者は現れないと考えていた・・だからこそ君の求婚を認めた」

「だが、アランという貴族の求婚者が現れた、だから君とオスカルとの縁談は白紙に戻すことにした」

伯爵は、オスカルと俺が一緒に戻ってきたか気づいていないのか!

「そんな!・・ではオスカルの・・オスカルの気持ちは・・」

「オスカルは、もう俺の求婚を受け入れてくれています!」

「伯爵!どうかオスカルとの結婚のお許しを!」

しかし伯爵はそれにも心を動かす様子はなかった。

「君とオスカルの様子でわかった」

「オスカルと君はもう心が通じ合ってるのだと」

知っていながらオスカルにアランを・・

「それでは何故?」

「アンドレ、あやつをどう思う?親の口からいうのも可笑しいが、あのように美しく生まれ、その上聡明で心根も優しいオスカルは選ばれた人間だった」

「私が跡継ぎにあいつを男として育てなければ、今頃宮廷一の美姫と賞賛されたはずだった」

「それが私の勝手な考えのために、あやつは男でもなく女でもない生き方しか出来ない、そんな不幸を背負わせてしまった」

「このまま私にもしものことがあれば、あいつは一人ぼっちだ、私はなんと言うことをしてしまったんだ、娘の人生を狂わせてしまった、悩みに悩んだよ」


「そんな時、君がオスカルに求婚してくれた、君は平民だが評判の良い若者だった、たとえ平民でも娘を幸せにしてくれるなら、その想いで君との結婚をオスカルに命じた」

「だが、娘を平民の妻にする、そのことは私の胸に重くのしかかっていた」

「アランが、オスカルを妻にと望んできたとき、私は、オスカルに本来の人生を取り戻させることが出来ると思った」

「将来を嘱望される貴族軍人の妻だ、いずれは将軍の地位を約束されているアランの妻になれば、オスカルはゆくゆくは将軍婦人、それもあの美しさと聡明さで誰もが憧れる貴婦人になるはずだ」

確かにオスカルがアランと結ばれれば伯爵のいうとおりになるだろう、だからといってオスカルをあきらめることなど出来るはずがない!


「俺はオスカルを、愛しています!」

アンドレは必死で懇願した。

「お願いです、オスカルを、オスカルを私にください!今以上に園を大きくしてオスカルに貴族のような暮らしだってさせてみせる」

「確かに俺は平民でオスカルは伯爵令嬢と身分が違う、だがオスカルへの愛なら誰にも負けない、アランよりもずっと彼女を愛している!」


俺は20年もオスカルだけを愛していたんだ、その想いは誰にも負けない


しかし伯爵は神妙な様子で話を進めた。

「君がオスカルを愛してくれる、その気持ちはありがたいと思う、だが、しかし」

「アランは、もしもオスカルを妻に出来るのなら、ソワソン家はディアンヌに婿を取るから、自分がジャルジェ家の婿として我が家を継ぐとまで言ってくれた」

婿に!アランはそこまでしてオスカルを・・

「アランのオスカルへの気持ちは本物だ、だから私はオスカルへの求婚を受け入れた」

「アンドレ・・君には本当に申し訳ない、その代わりといっては何だが、君のぶどう園をいくらでも応援し後押ししていこう」

「知り合いの貴族全てに君のワインとバラを紹介しよう、そうなれば君の家は一躍大金持ちだ、貴族のような暮らしも夢ではない」

「だから。すまないがオスカルを、娘をあきらめてくれ!」

頭を下げてわびる伯爵、だがアンドレの心は激しく傷ついた。

いつの間にかアンドレは伯爵に向かって叫んでいた。

「違う!」

「そんなものじゃない!」


「俺が欲しいのはオスカルだ!」


オスカルのためなら・・何でもする!


「オスカルのためなら、グランディエの名を捨ててもいい!」


「ロザリーに婿を取らせて全てを引き継がせましょう、このジャルジェの家を発展させるよう心を尽くします」


「俺はこれまで、ぶどう園に人生をかけてきた、それを失ってでもオスカルをいただきたい」


「たとえ、領民の信頼を裏切っても、祖母を落胆させたとしてもオスカルを手に入れたい!」


「何を失ってもいい、オスカルを俺にください!」



「オスカルを愛している、この世の何よりも・・どうかオスカルを私に」

「オスカルを私にください!お願いです、伯爵!」


追い詰められながらでもオスカルを望んだ。

だが伯爵は考えを変えることはなかった。


「無理だ、アンドレ」


「わがジャルジェ家に平民の血を入れるわけに行かない、跡継ぎには貴族の血を引くものでなければ認めるわけにいかないんだ」

「平民の君では婿として認めるわけにいかない・・」

「残念だよ、君が貴族であれば」



伯爵からの辛らつな言葉にアンドレに打ちのめされた。

大貴族の家名を継ぐものは純粋な貴族のものだけ、平民の血を混ぜるわけには行かない

あまりにも残酷な現実

何と彼女は遠い存在なのだろう?

昨日までこの手の中にいた、あれは夢?

何で彼女は貴族で、俺は平民なんだ?・・


「すまないアンドレ、オスカルを真実愛しているのならこらえてくれ」


呆然としながらも勝手に心のままに口が動いた。

「オスカルを・・愛している・・」


涙が零れ落ちた。

たったひとつの 俺の愛

オスカル・・

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 4

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2017/01/07 (Sat) 12:54

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2017/01/07 (Sat) 22:14

うさぎ

Re: 涙…。

MI様とうとう父上から「娘と別れてくれ」の言葉が来ました。(想像していたでしょうが)

貴族の父親としてはありうることだと思われますが、ひどい話・・・

アランも本気でオスカル様を愛しているから、またややこしいのです。

そりゃあ、アンドレ泣いちゃいますよね。

でも・・今回もまたMI様を悩ませそうです(汗)

2017/01/08 (Sun) 12:56

うさぎ

Re: 辛すぎます!

AM様大体想像してましたよね、この展開は。

アンドレあまりに辛い・・・

アラン好感度本当に高いですね~!パーティーの雰囲気で嫌なやつに見られるかと思って心配したけど

可哀想なのが似合う、アンドレ・・・何故だろう・・・否定できません。その姿が良いわ・・

まだ哀しいのが続くんですすみません。

2017/01/08 (Sun) 12:59