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その後の婚約者殿③

オスカルはグランディエの屋敷に戻ってから毎日ロザリーの畑仕事を手伝っている。

今日もクワを持って畑を耕す作業だ。

土を良くするには土を掘り起こして太陽や風にさらすこと。

だからこの作業は結構大事なのだ。

使用していない畑は、こうしていつでも使えるように準備しておけば役立つ。

「オスカル様、今日はこれくらいにしましょう」

ロザリーが声をかけてきた。

「わかった、では道具を片付けて屋敷に戻るか」

オスカルはロザリーと屋敷に戻る。

「では一休みしてお茶でも飲みましょうか?」

庭のテーブルでロザリーが作ったお菓子とお茶を飲みながら話を始めた。

「今日はビスキュイを焼いてみたんです、クッキーのようなお菓子ですが、ババロアやシャルロットを作る時にも使えるので便利なんですよ」


ロザリーはお菓子つくりが得意だ、料理が出来ないオスカルを指導してくれる。

「うん、美味しい!これって私でも作れるだろうか?」

「そうですね、では今度一緒に作りましょう、泡立てる手間が大変ですがそのほかは簡単だからオスカル様も出来ますよ」

「そうか、それではよろしく頼む」

オスカルは少しずつでも料理が出来るよう努力しようとしている。

もちろん、屋敷には料理人がいて食事つくりに不便は無いのだが、それでもいずれアンドレの妻になるのだから、たまには彼に自分の手作りを食べさせてあげたい。

そのために内緒でロザリーにお願いしているのだ。

すると、そこへウィリーやドロレスたちがオスカルに会いに来た。

「オスカル!」

オスカルを呼ぶ声に驚き返事をした。

「ウィリー、ドロレスそれにみんな、会いに来てくれたか?」

「当たり前じゃないか!」

ウィリーはオスカルに抱きつきながら答えた。

「オスカルが街に戻ってから、みんなは、もう戻ってこないってうわさしてたけど俺達は絶対戻ってくるって信じてたよ!」

「あたしたちもよ、だってオスカルは絶対にアンドレ様の奥方になる人だもの」

アシルやグレンやエルザもみんなオスカルが戻って来ていないかとたまに様子を見に来ていたようだ。

オスカルは子供達の気持ちに感激してしまった。

ジャルジェ家を出て、何も無い私だが、子供達は待っていてくれた、この子達のためにも私はアンドレを支えられる立派な奥方にならなければ。・・

オスカルがかわるがわる子供達を抱きしめている間にロザリーが子供達の席も準備してくれた。

「丁度お菓子もあるから召し上がっていってね、」

子供達は喜んで席に着き久しぶりのオスカルとの再会をはしゃいでいた。

「これ美味しいね」

アシルがビスキュイを気に入ったようだ。

「本当だ!、これってオスカルが作ったの?」

グレンに痛いところをつかれてしまった。

「いや・・これはロザリーの手作りだ」

「オスカルがお菓子を作るなんて想像できないよ」

ウィリーに言われてオスカルはむっとした。

「悪かったな、私だってそのうち美味しいのを作ってみせるぞ」

そしてお皿におかれていたりんごに眼がいった。

りんごはロザリーに先日むき方を教わったところだ。

りんごを手にして

「お菓子は作れないが、りんごの皮むきは出来るようになったのだぞ」


オスカルはナイフを手にしてりんごの皮をむき出した。

あぶなっかしい手つきでりんごの皮を分厚くむいていく。

ロザリーも子供達もはらはらしながら見守っていた。

「オスカル気をつけて」

「手を切らないでね」

「わかっている、大丈夫だ」

自分でもいつ指を切らないか心配しながら向いていく。

だが、何とか最後までりんごをむき終わり、6等分してみんなに分配した。

みんなに配り終えてオスカルはほっと安心して心の中で、よ・・良かった・・と安堵するのだった。

それは子供達も同じ想いで「オスカルりんご美味しいよ」「上手く向けたね」「これなら料理が上手くなるのもすぐだよ」

さんざんほめて気を使ってくれた。

ともかく少しずつでも前進しているのだから喜ぶべきであろう。

久しぶりの子供達との交流で楽しい時間が過ごせた。

そして子供達はかえって行き、もう夕方だ。

もうすぐアンドレが仕事から帰ってくる。

今日はバラ園に用事があるといっていたな。

「最近アンドレはバラ園に足しげく通うのですね、」

「ああ、新しい品種を作りたいといっていた、他と同じ種類のバラばかりではなく、ここでしか手に入らないバラを作るんだそうだ」

「新しいバラ・・それは楽しみですね」

「そうだな、早く見たいものだ」


「旦那様がお帰りになりました」

そこへメイドがアンドレの帰りを伝えにきたのでオスカルが出迎えに行った。

最近ロザリーは気を利かせてアンドレの出迎えはオスカル一人に任せるようにしているのだ。

「おかえり、アンドレ」

「ただいま」

おかえりと出迎えればアンドレはすぐに両手を開け、その胸に迎え入れてくれる。

戻ってきた瞬間の抱擁があれば離れていた時間も寂しくは無い。

彼に肩を抱かれながら今日の仕事ぶりを聞いてみる。

「新種のバラの出来はどうだ?」

「いろんな種類を交配させてみて、その中で気に入ったのを抜粋して育てている途中だ」

「そうか、では出来上がったら見せてほしいな」

「当然だろう、お前に真っ先に見せるよ」

二人はそのまま食堂に向かっていった。

もうおばあ様もロザリーも席についている。

「お帰りなさい、仕事のほうはどうなの?」

「ただいま、まずまずうまくいってるよ」

「それは、良かったわ」

「そういえば、トマス叔父さんの使いが来て屋敷まで来るように伝えてきた」

「トマスが?」

「そろそろワインパーティーの時期だからその話し合いだろう」

トマスとはおばあ様の息子でアンドレとロザリーの父の弟にあたる人だ。

少し離れた場所で同じくワイン農家を営んでいる。


「そうね、もうすぐ貴族や資産家を集めてのパーティーが開催される時期だわ」

「パーティー?」

オスカルには初耳な話だ。

それにはロザリーが答えてくれた。

「この時期になると園の持ち主らが主催でワインを沢山買い取ってくれるお客様をご招待してもてなす集まりですわ」

「そこでそれぞれの園のワインを振舞って注文を取り付けるようにしているんです、これもアンドレの案なんですよ」

「そうか、いくつものワイン園のワインを試飲できるなんて、珍しい趣向が好きな貴族には興味をそそられるだろう」

商売熱心なアンドレらしい案だとオスカルは感心した。

「貴族の方々をお迎えするのですから、かなり華やかな集まりになるよう力を注いでいるんです」

やがてアンドレもその説明に加わった。

「ワイン園同士でも協力し合っていかなければ、他の産地に負けてしまう、お互い切磋琢磨する関係がそれぞれを強くするんだ」

「商売とは不思議なもので完全に敵対すれば言いというものではない、何らかの形で協力関係を築いていったほうがいずれ自分の役に経つものだ」

「それに、この集まりは他での商品を堂々と知る場でもある、他で作ったワインの味の感想を直接客の口から聞けるのだから」

いつもアンドレは商売の話を熱っぽく語る。

このような話を聞くたびにオスカルはこれまでの貴族の暮らしがいかに甘いものだったのかを思い知らされてしまう。

だが、熱意を持って取り組むアンドレの姿勢を頼もしく感じて熱心に聞き入ってもしまうのだ。

「この集まりは正式な場だからパートナーを伴っての参加が基本なのよ」

「だから今回はアンドレはオスカル様と一緒に参加することになるわね」

「私も?」

オスカルはおばあ様の言葉に驚いた、まさか自分がこんな大事な集まりに参加するとは!

しかしその意見にアンドレは異論を唱えた。

「いや・・」

「今回オスカルの参加は見送ることにしようと思う」
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Posted byうさぎ

Comments 4

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2017/02/03 (Fri) 16:37

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2017/02/03 (Fri) 23:44

うさぎ

Re: 拍手♪

今回の拍手一番乗りはMI様でしたか!

お早い閲覧ありがとうございます♪

やはり笑ってしまいますか、私もこんなシーンなんかいいなあって思って入れてしまうんです。

子供達に言われて意地になるオスカル様も良いと思いませんか、こういうの私好きで。

父上のことは現在アンドレが気にしているんです、オスカル様を思えばこそです勘当ですからね。



2017/02/04 (Sat) 13:29

うさぎ

Re: No title

AN様村で暮らしていくのにはなじんでいかなくては、その想いでオスカル様頑張っています。

(でもそれも楽しいんですよ、出来ることが増えていくってうれしいじゃないですか)

アンドレの真意は、やはりオスカル様を思えばこそです。

でも、それはオスカル様を寂しくさせる決断でもあるんです。

こちらこそいつもありがとうございますAN様

2017/02/04 (Sat) 13:33