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うさぎ

その後の婚約者殿⑧

「オスカル様夕食ですよ」

ロザリーが夕食の時間だと告げに来た。

「わかった、すぐに行くよ」

アンドレとおばあ様とロザリーと私のいつもの夕食の風景だ。

「アンドレ、トマスの話は何だったの?」

アンドレとしてはまさかオスカルのことを叔父が心良く思っていないなどいえない。

「やはりパーティーの内容の相談だった、今回は我が屋敷でおこなうから細かいことを注意されたよ」

「トマスは昔からアンドレには期待しているからね、」

「それから・・」

「パーティーでの俺のパートナーのことだけど・・」

オスカルの前で言うのは辛いが仕方ない、いずれはわかることだ、言うなら早いうちが良い!

「おばあちゃんもロザリーも知っている、クリスティーヌ、彼女にお願いすることにした」

「クリスティーヌですって!」

祖母とロザリーはともに声を上げた。

しかしアンドレは出来るだけ冷静に答えた。

「そうだ、俺達の幼馴染のクリスティーヌだ、彼女は侯爵の後添えになった母親に連れられてパリで暮らしていたが、今戻ってきている」

「彼女はすでに社交界デビューを果たした貴族のご令嬢で、レディーとしての教育も受けている、俺にはもったいないほどの条件の相手だ」

「彼女であれば十分パーティーに花を添えてくれるだろう」

「ワインパーティーの成功のためにオスカルも承知してほしい」

最後の言葉はオスカルに語りかけるように言ったつもりだ、彼女の許しが無ければこの話はありえないとも思っていた。

「クリスティーヌが、アンドレのパートナー・・」

祖母とロザリーは複雑な思いでアンドレの話を聴いていた。

確かにクリスティーヌは数年前までこのルシェル村に住んでいてアンドレとロザリーの幼馴染だ。

しかも今や社交界にもデビューを果たした貴族のご令嬢。

それは話に聞いていたが、まさか彼女が戻ってきてアンドレのパートナーとしてパーティーに出席するとは・・

確かに主催者のパートナーが彼女ならば、アンドレだけでなくこの会にも箔がつくというもの。

しかしあまりにも出来すぎるほどの相手・・

オスカルの気持ちを考えれば・・・


「それは良かった」


それまで黙って聞いていたオスカルが声を上げた。

そして冷静に意見を述べていった。

「そんな素晴らしい条件の人が見つかってよかった、」

「私がお役にたたないのだから、アンドレのパートナーを誰かにお願いするのはわかっていましたが、まさかそのような良いお相手が見つかるとは」

「これでパーティーもさぞかし華やぐことでしょう、安心いたしました」

皆が驚くほどオスカルは落ち着いていた。

「大丈夫ですか、オスカル様」

祖母が心配したが、オスカルは笑って答えた。

「もちろんです、おばあ様」


夕食が終わり、オスカルが部屋に戻ってしばらくしてアンドレがオスカルの部屋を訪れた。

「オスカル、入っていいか?」

「いいぞ、入れ」

アンドレが部屋の中に入るとオスカルは窓辺で星を眺めていた。

「星を見ていたのか?」

アンドレの問いかけにオスカルは振り向きながら答えた。

「うん、今日は寒いから星が特に綺麗に見えるんだ」

それを聞いてアンドレもオスカルの横に立ち同じように星を眺めた。

するとオスカルは星について語り始めた。

「知っているか?星は方角だけでなく位置や動きで時間もわかるのだぞ」

「北極星を見つければ方角がわかる、時間を知りたいときは北斗七星や、カシオペアの位置と形を知ればいいんだ」

「そうか、良く知ってるんだな」

「軍隊で学んだ」

「けど、ここではそんな知識は全く役に立たないがな」そういって星を眺めながらため息をついた。

「そんなことはないぞ、ここは山が近い、だから迷子になったときなど、それらを知っていれば大いに助かる」

「俺が山で迷ったときはお前が助けに来てくれよ」

アンドレの言葉にオスカルはくすっと笑ってしまった。


「アンドレ、私を気にして来てくれたのだろう?」

「うん?」

「私は平気だ、私が出られないのだからお前には誰か別の人がパートナーになるのだとわかっていたからな」

「お前には悪いと思っている、だけど今回だけだ」


「うん、・・わかっている」

オスカルは素直にうなずいた。

しかしやはり気になったのだろう、ためらいながらもクリスティーヌのことを聞いてしまった。

「クリスティーヌ嬢は・・綺麗な人・・か?」

突然聞かれてアンドレは戸惑いながら答えた。

「そうだな・・・綺麗だと思う」

「女らしい人か?」

また考え込みながら答えた。

「そうだな、昔からロザリーと同じく料理も刺繍も得意で・・女らしい・・と思う」

「そうか・・私とは雲泥の差だな、」再びオスカルはため息をついた。

「お前だって綺麗で女らしいじゃないか」

アンドレは急いで述べたがオスカルの心は晴れなかった。

「先ほどグレンとウィリーにもっと女らしくするように言われた、私とお前の様子はまるで親友同士のようだと」

「子供から見ても私が女らしくないゆえに私達は恋人同士に見えないのだな」

オスカルは女らしくないことを指摘されてさらに落ち込んでいたのか。

そんなこと気にしなくても・・

アンドレはオスカルに自身の本音を語っていった。

「確かに他の恋人達と違って親友みたいに見えるのかもしれないが、俺達がそれで良ければいいじゃないか」

「俺は他の誰よりもお前といるときが楽しいし、自然に振舞える」

「オスカル、お前はどうだ?」

「それは・・私も同じだが・・お前といるときが一番安らぐ」

「それならいいじゃないか?」

「う・ん、それはそうだが・・」

癪だが、アンドレの言葉にはいつも納得させられてしまう、

「それに・・」

「言っただろう、俺の眼にはお前が誰より美しく見えると」

「俺にはお前の女らしさや美しさが堪らなく魅力的だ」

「他のどの女性よりもな」

「この私がか・・本当に・・?」

「ああ、本当だよ」

彼にそういわれるとやはりうれしい。

うれしそうにするオスカルの様子に安堵し、それからアンドレはオスカルをまっすぐに見つめた。

「オスカル、俺はお前に貴族の生活を取り戻してやりたい」

「そのためには、もっと成功を収める努力をしていかねばならないんだ」

「今度のワインパーティーもそのためだ」

「だから、俺を信じてほしい、オスカル!」



彼の力強い言葉は何より信じるに値する

彼の真剣な眼差し、それだけで心が動いてしまう。

貴族の生活を取り戻したいわけではない

だが、彼の自分を想う心に感動してしまった。


「お前を・・・信じている・・」


その言葉を聞いて安心したかのような顔のアンドレ


そしておもむろに彼の唇が降りてきた。

重ねた唇から彼の想いが伝わってくる

何度も交わした口付けだが

何度交わしても甘い陶酔感が心を埋め尽くす


信じている、信じられる お前なら
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 8

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2017/02/08 (Wed) 20:32

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2017/02/08 (Wed) 21:42

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2017/02/08 (Wed) 22:21

こあさ

はじめまして。
一昨日の夜にこちらのサイトを見つけて、一気に作品を読ませていただきました。
色々なシュチュエーションの二人にすごく新鮮味を感じて楽しませていただきました。
ありがとうございます。
続きが楽しみです🎵

2017/02/09 (Thu) 00:44

うさぎ

Re: No title

AN様気にしているところを子供達にずばっと言われて、さらに女らしくないのが気になったしだいです。

星を眺めながらこれまでの(軍隊とか)女らしさゼロの人生を振り返ったのでしょう。

そうそう!ジャルパパのせいで、今苦労しているんだってのも考えてるかも・・(笑)

幸せになってほしい二人ってのは間違いないですが、何故かこのお二人は試練が似合う・・・

AN様応援ありがとうございます!

2017/02/09 (Thu) 13:59

うさぎ

Re: No title

N様アンドレのオスカル様への愛は並々ならぬものですから、どんなに深く表現しても似合うんです。

そーですよね、パーティーを成功させたいのも、パートナーにしないのもお前のためって言われて勘当しないわけがない(しかもアンドレに)

クリスティーヌは、絶対気になるでしょう、かっこいい彼氏であれば、よけいに他の女を近づかせたくないです。

おばあさまとロザリーは今のところ、そこまで考えていません、クリスティーヌが美人で貴族の令嬢で洗練されてる、しかも女らしいの知ってますからオスカルが気にするのを危惧してるんです。

N様がクリスティーヌ出現で嫌な気持ちにならず安心しました。

2017/02/09 (Thu) 14:08

うさぎ

Re: アンドレに言われたら…

MI様、おばあさまとロザリーはまだそこまで考えていません。

ただあまりにもでき過ぎたお相手で幼馴染だから、オスカルが気にしないか心配しています(やはり女はわかるんです)

アンドレの説得に納得できたようで安心しました!

もともとアンドレはオスカル様の男っぽいとこ気にしてませんし、むしろ親友のように語り合える相手だからいいんです。

それにラブシーンのときは、恥じらいがあって女らしくなるのにね(笑)

ともかく信じようと決意したオスカル様ですが、どうなりますことやら。

2017/02/09 (Thu) 14:14

うさぎ

Re: タイトルなし

はじめましてCOA様、管理人のうさぎです。

新しく見に来てくださった方なのですね。

原作からかなり逸脱している二次創作で驚いたことでしょう。

でもこのお二人のキャラっていろいろ使えるんです、原作だけにしておくにはもったいないくらいでした。

それは多分お二人には萌え要素が溢れてるからでしょう。

今回の作品は「愛しの婚約者殿」の続きなので内容は地味かもしれませんが、出来ればまた見に来てください。

コメントありがとうございますCOA様

2017/02/09 (Thu) 14:26