FC2ブログ
うさぎ

アンドレの願い②

その時、貴族の婦人方の噂話が聞こえてきた。

「あれは、エドモンド男爵ではありませんの?」

「そうですわ奥様、確かにエドモンド男爵、以前はあんなに羽振りが良かったのに、今ではすっかり落ちぶれてしまって、」

「確かエドモンド男爵はブルゴーニュに葡萄農家を領地に持っていて、そこでずっと暮らしていたのではありませんでしたの?」

「そうでしたわね、けれどたまにベルサイユへも顔出ししておかなければ、何せ王家に存在を示しておくと何かしらお願いするきっかけにもなるでしょうからね」

噂されている張本人、エドモンド男爵は確かに一昔ははぶりのよい貴族であった。

しかし、若いときの放蕩と現在の王家に覚えめでたくないことで、今では質素な生活を送ることになってしまっていた。

そしてベルサイユを去り、唯一残った領地ブルゴーニュで長らく暮らしていた、それでも落ちぶれたとはいえ、王家にエドモンド家の存在を知ってもらうために、今回戻ってきて謁見を申し入れたのだった。

何とか国王にお目どおりは叶ったが、ほんの挨拶程度で終わらされ、今回のベルサイユへ戻ってきたのは無駄だったか、と肩を落としながら王宮を去ろうとしていた。

そこを目の前にオスカルとアンドレが通っていった。

何気なく二人を見つめたエドモンド男爵であったが、アンドレを見たとたん、驚き、衝撃を受けた!

「アンリエット!」

思わず、その名前を言ったかと思うと、いきなりアンドレにすがりつき、「アンリエットに似ている!」と興奮しながら見続けた。

「それは・・・母さんの名前だ」アンドレはそういった。

「アンドレ、知っている人か?」オスカルは聞いた。

「いや、全く会ったことが無い人だ、しかし何故母さんの名前を?」

二人は何が何かわからない状態だ、だが、エドモンド男爵は、そのうち涙まで見せてアンドレに語った。

「君はブルゴーニュの出身ではないのか?そして母親はアンリエットという名で、君と同じ黒髪で黒い瞳ではないのか?」

「そうです、母は長い黒髪が自慢で、眼の色も黒でした、何故いろいろ知っているんですか?」

「やはりそうだ!・・・実は私は君の父親なんだ」

「何ですって!そんな馬鹿な!」

「どうも複雑な話のようだ、ここでは落ち着いて話が出来ない、どうでしょう?我が屋敷のジャルジェ家にいらっしゃっては?ええと・・・お名前は?」

「私はエドモンド男爵、ルイ・オーギュスト・ド・エドモンド男爵です」


オスカルとアンドレは突然の出来事に驚きを隠せないまま、エドモンド男爵を伴ってジャルジェ家に帰ってきた。

馬車がつくあたりには、ばあやのマロンが迎えに出ていた。

「お帰りなさいませ、お嬢様、お客様がご一緒ですか?」

「ああ、アンドレの客らしいのだ、もしかしてばあやも知ってるのかい?」

「アンドレにお客?誰でしょう?」

馬車からエドモンド男爵がゆっくり降りてきた。

ばあやは、男爵の顔を一目見るなり驚愕した。

「ばあや、男爵を知っているのか?」

「おばあちゃん、知ってるなら教えてくれよ!この人は俺の父親だと名乗ったんだ、でも俺の父親は俺が8歳になる前に死んだはずだ」

「・・・・・お嬢様お屋敷にお入りください、アンドレも、そしてエドモンド男爵貴方もお入りください・・・」マロンは静かにそしてきっぱりと言った。

マロンは客間の一室をお借りしたいのです、と述べるのでオスカルは「もちろん」と許可した。

客間で皆が落ち着いた時、エドモンド男爵から話はじめた。

「アンドレ、マロン、アンリエットはどうしたのだろう?出来れば彼女に会ってあやまりたいんだ」

「アンリエットは死にました。・・・もう20年以上も前にです。」マロンはエドモンドをにらみつけながら言った。

「アンリエットが、死んだ、マロン嘘だろう!嘘だといってくれ!」

「貴方は娘アンリエットを弄び捨てたのです、その貴方が今更何をしにきたのです!」

「マロン、すまない、何を言っても言い訳にしかならないが、私はアンリエットを本当に愛していた、だがアンリエットは平民で、一緒になることは出来なかったんだ!」

「待ってくれ!俺にもわかるように、貴方と母さんにあったことを最初から説明してくれ!」

「そうだな、アンドレ、君に一番詳しく説明するべきなのだ」
スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 0

There are no comments yet.