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うさぎ

その後の婚約者殿⑭

ワインパーティー当日

アンドレは正装して鏡の前に立っていた。

今日はいよいよ貴族や商人達にワインを売り込む大事な日だ。

オスカルに辛い思いをさせてまでクリスティーヌをパートナーに選んだ。

だがそれも今日で終わる。

クリスティーヌとは幼馴染ということで、あまりにも親しい時間を持ちすぎた。

そのせいで一番大事な人の心を見失っていたんだ。

扉を叩く音がした。

「アンドレ、入っていいか?」

オスカルの声だ。

「ああ、どうぞ、入れよ」

オスカルは部屋の中に入りアンドレの側により、そしてまじまじとアンドレの姿を魅入った。

「うん、なかなかいいぞ、やはりお前は背が高いから見栄えするのだな」

「背が高いからだけか?見た目はどうなんだ?」

「それもなかなかだが、私には負けるぞ」

アンドレは明るく振舞うオスカルに申し訳ない気持ちだった。

このタイミングでどうかとは思うがお前には告げておきたい。

アンドレはオスカルを前にして自分の決意を告げた。

「オスカル、俺は再びお前の父ジャルジェ伯爵にお前とのことをお願いするよ」

「それでも許してもらえなくても・・」

「もう誰に反対されようと構わない・・」

「結婚しよう」


アンドレに求婚されたとはいえ、改まって結婚しようといわれたのは初めてだ!

オスカルは驚いてしまった、だってまさかこのタイミングで?

さっきまでの沈みそうな気持ちがふっとんでしまったように明るい気持ちになっていく。

「結婚・・私達が・・」

「そうだよ、お前と俺は結婚して夫婦になるんだ、」

オスカルは想像してしまった。

私はウェディングドレスを着てアンドレと並び神の前で永遠の愛を誓う。

おばあ様とロザリーに見守られて全ての人に祝福される。

それは何という喜びなのだろう

泣いてしまいそうだ、あまりにも幸せすぎて

「そうだな・・そうしよう・・」

「では、いいんだな」

オスカルは大きくうなずいた。


「ありがとう、うれしいよ」

それを見たアンドレは礼を言って抱きしめてきた。

彼の心が伝わってくる

礼を言うのは私のほうだ。

こんなに私を大事にしてくれるお前に、私こそ礼を言わねば・・


「アンドレ、クリスティーヌがいらしたわよ」

扉の向こうからロザリーの声が聞こえた。

二人は急いで離れた。

「やはり、落ち着いたときに言えばよかったかな?」

アンドレは照れながら言うが、オスカルとしては早く聞けてよかったと思った。


クリスティーヌが部屋に入ってきた。

「こんにちはアンドレ、オスカル様」

美しい装いのクリスティーヌ、まさに侯爵令嬢と呼ぶにふさわしい彼女をオスカルは見つめ挨拶を返した。

「こんにちはクリスティーヌ、とてもお美しい、見蕩れてしまいそうだ」


「ありがとうございます」

そしてクリスティーヌはアンドレのほうを見た。

「アンドレ貴方も素敵よ」

「それは、どうも、君もパリ社交界での活躍がわかるよ、とても素敵だ」

オスカルは先ほどの結婚の申し込みの喜びから厳しい現実に引き戻された気分だが、

それも、しばらくの間だけだ。

そうすれば、お前は私の許に、戻ってくるのだから・・


オスカルはアンドレのほうを向き、部屋を去ることを告げた。

「アンドレ、私は自分の部屋に戻るとするよ」

「ああ・・では、また後でな」

アンドレが心配そうにしたがオスカルは突然何か思いついた。

「そうだ、忘れ物がある!」

そういったかと思うとオスカルは急にアンドレの首に両腕を巻きつけて顔を近づけていった。

オスカル何を?・・

驚くアンドレにお構いなくオスカルはクリスティーヌの前でアンドレの唇を捕らえ強く口付けしていった。


私のものだと印をつけておく

お前に触れることが許されるのは私だけ

そしてこれは、婚約者としての当然の権利



アンドレにとっては驚愕するばかりだ、オスカルが人前でこんなことを・・

オスカルは重ねた唇を離し、同時に巻きつけた両腕も解いていった。


アンドレを見つめ済ました声で言った。

「では今度こそ、行くよ」

アンドレはそれに対して

全くお前には叶わないとでも言うように小さく笑って見せた。

「ああ・・そうだな」

そしてクリスティーヌを振り返って


「クリスティーヌ」

「アンドレをよろしく」

それまで魅入っていたクリスティーヌだがオスカルの言葉で気がつき
「・・わかりました」と返答した。

そしてオスカルは二人を残し、部屋を出て行った。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 8

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2017/02/14 (Tue) 22:16

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2017/02/14 (Tue) 22:18

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2017/02/15 (Wed) 00:52

うさぎ

Re: No title

AN様あれだけ愛されていると確信できれば女は強くなります。

それと、一時とはいえ、彼を取られるのはくやしいし、クリスティーヌへの牽制でもあるんですよね~。

お互いの気持ちは決まってるのに、それでも危ぶまれるお話だと聞いて喜んでいます。

だって安心感だけだと盛り上がりませんから(笑)

いつもありがとうございます。

2017/02/15 (Wed) 12:05

うさぎ

Re: 参ったか~^^

MI様の喜ぶ様子がすごーくわかりやすいです♪

昨日は更なる愛を告げられ、不安なワインパーティー当日にはあらためてプロポーズとなればオスカル様幸せ一杯で、もう怖いもの無しなんです。

しかし、クリスティーヌは二人の仲をどう受け止めているのか?

今回はワインパーティー、オスカル様がいない中のアンドレとクリスティーヌの様子を描きます。

2017/02/15 (Wed) 12:11

うさぎ

Re: まだまだ油断禁物⁈

TM様パーティー当日に改めてのプロポーズはサプライズで驚きましたか?

そうなんです、昨日にアンドレからの深い愛を再認識して、不安なパーティー当日にプロポーズとあれば、不安は一気に解消されます。

アンドレもTM様にほめられて、歓喜しているでしょう(笑)

アンドレは昨日の言葉でオスカルの父にも認められたい、その気持ちが強くて今回のパートナーにはしませんでした。

けれど、今回のことでそれよりも大事な人の気持ちを考えるべきと判断して、反対されたとしても早く結ばれようと決断したんです。

今のところオスカル様は最強モードですが、やはり問題はクリスティーヌ。

それを感じているからこそ、牽制の意味でアンドレに自分の印をクリスティーヌの目の前でつけておくってのが狙いです。

今回はいよいよワインパーティーです、オスカル様がいない中での宴はどのように進んでいくのか?

2017/02/15 (Wed) 12:22

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2017/02/15 (Wed) 16:15

うさぎ

Re: No title

N様いよいよダンスパーティーの日です。

オスカル様昨日のアンドレの愛の再確認できたのと今日のプロポーズで元気を取り戻しました。

しかしもうひとつ問題が残っているのです。

クリスティーヌのアンドレへの片恋が。

2017/02/16 (Thu) 16:10