FC2ブログ
うさぎ

偽りの恋人30

ここは、トゥールーズにある一軒の雑貨屋

可愛くておしゃれな食器類やアンティークな雑貨が店の中一杯にある店。

しかし、この店の売りは壁に飾られた数々の絵画だ。

トゥールーズで人気の雑貨屋「エクレール」では若手の画家の作品を飾り、販売もしている。

まだどれも名が売れてない若手の作品ばかりなため、安い値段で販売しているのが人気の秘訣だ。

ここ、「エクレール」でオスカルは販売の仕事をしている。

店の中は若い女性客が中心で、彼女達のお目当ては可憐なアクセサリー。

イヤリングやペンダントが山ほどある中でオスカルは女性客にアクセサリーの見立てを頼まれ選んであげていた。

「お客様は色がお白いですから金色が映えますよ」

「こちらの細かい金細工のほうが落ち着いてシックにまとまりますが」

「そうね、やっぱりこれにしようかしら、じゃあ、これ、いただくわ!」

「ありがとうございます」

オスカルがこの仕事についてもう一年が経つ。

ようやく慣れてきたところだ。

店長のエリスが声をかけてきた。

「オスカル、お客様もはけたし、そろそろお店を閉めましょうか?」

「はい、わかりました」

もう店を閉める時間だ。

オスカルは他の店員にも声をかけて店を閉じる準備をして行く。

シャッターを閉めて、店の灯りを消し、それぞれが帰る準備を始める。

「お疲れ様」

「エリスさん、お疲れ様」

「オスカルお疲れ様、また明日ね」

「では、また明日」

オスカルは店を出て自分が住んでいるアパルトマンに戻っていく。

店から近い場所で買い物にも便利な場所にあるのが利点で借りたアパルトマンだが、難点はエレベーターが無いことだ。

仕事で疲れた身体なのに、5階まで階段で登るなどきついにもほどがある。

しかし、その分値段が安いのだから仕方ないが・・・

オスカルはいつものように覚悟して螺旋階段を登っていく。

2階、3階、4階、そして・・ようやく5階だ。

ほっとして自分の部屋の前に来て鍵を開けて中に入る。

そこは、オスカルの部屋。

「ただいま」

誰もいない部屋にオスカルは戻った挨拶をする

シャワーを浴びて、食事にするか!

オスカルは服を脱ぎ、シャワー室に入る。

お湯を流し、シャワーで身体を洗い流す。

身体がすっきりした後は食事の仕度。

夕べの残りのシチューとサラダを作り、パンにチーズとハムをはさんだサンドイッチが今夜の夕食。

準備が出来て「いただきます」といって食べはじめる。

「うん、二日目だと味にコクが出てさらに美味しくなっているな」

食事が終わった後のお楽しみにとっておきのチョコを3粒ほど準備してお気に入りのグラスにワインを注ぎソファーに深く座り込む。

ソファーの前には「カフェ・リヴィエール」の絵が壁にかかっている。

オスカルは絵を眺め、ワイングラス片手にその日あったことを話していった。

「今日は、絵画が3点売れたぞ、今販売している画家は若い女性に人気だ、イラスト風というのか、おしゃれな雰囲気が受けているらしい」

「絵もその時のブームがあるから、新しい画風がどんどん出てくるんだな」

「でも、変わらないものもある・・・」

「私にとってお前のこの絵がそうだよ」

オスカルは「カフェ・リヴィエール」を眺めながらあらためて、ここまでのことを考えてみた。

最初は普通の会社に入ったけれど、資料の整理やコピーやプリントアウトや雑務ばかりの日々だった。

同じ繰り返しで頭がパンクしそうになったところで上司にセクハラまがいに口説かれてみぞおちを殴りつけ一ヶ月でやめた。

次の会社も仕事内容は同じで、仕事以外に接待にもついて行かされた。

お得意様の酒の相手を長々とさせられ、仕事の話ではなく、口説いてくるばかりだったので、ここも一ヶ月でやめた。

つくづく自分には普通の事務職がむいていないのか、と悩みながら街をぶらついていると。

「エクレール」の店にたどり着いた。

「エクレール」の店は綺麗で可愛い小物が沢山置いてあるだけでなく、壁には絵画も飾られている雑貨屋だった。

かなりの数が置かれているのでちょっとしたギャラリーのようだった。

久しぶりに見る絵画に目が奪われ店に立ち入ると、店長のエリスさんが接客してくれて絵の説明をしてくれた。

この絵を描いた人はまだ学生だけど、将来は画家としてやっていきたいから今から見てもらえるよう、店に置かせてほしいと願ってきた。

他の作品も社会に出たものの、絵を描いている人とか、主婦だが趣味が高じて本職並みの腕だとか、いろんな職種の人の作品なのですよ、と熱心な話を聴くうちに。

エリスさんの生き生きとした表情を見て、自分もこんな風に仕事が出来ればいいなと感心してしまった。

すると、店には求人募集の張り紙が張ってあって、その場で思い立ち応募してしまった。

それから「エクレール」で販売の仕事をするようになる。

まさか自分が店の売り子になるとは思わなかったが、なかなか大変ではあるが楽しい仕事だ。

店の品を並べ飾ってみたり、値札を貼り付けたり、お客様が来れば、さりげなく接客をする。

発注ミスや商品の説明ミスなど何度も失敗もしたけれど、幸いエリスさんが優しくフォローしてくれる人だったので何とか続けてこれた。

しかしまだまだ一人前ではない



そういえば・・今日父から連絡が来た。

戻る気が無いのかの確認だったが。・・


オスカルがジャルジェ家を出てからまもなく両親が興信所を使い彼女の現在住む場所は突き止められた。

しかし、説得に応じず今に至っている

いくら娘でも成人した大人だ、親元を離れるのは世間ではおかしくは無い

一度両親と会い、場所は教えておいたので、しばらく様子を見るきになったらしい。


オスカルはグラスの中に残ったワインを飲み干し、ソファーから立ち上がった。

「また明日仕事だ!もう寝るか!」

そしてベッドルームに行く前にもう一度「カフェ・リヴィエール」の絵を眺め

「おやすみ、アンドレ」

スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 10

There are no comments yet.

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/27 (Sat) 13:22

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/27 (Sat) 18:38

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/28 (Sun) 01:10

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/05/28 (Sun) 09:56

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは!おお!フランスでは売り子のお姉さんを「ヴァンドゥ―ズ」というのですか!

この呼び名だと重々しい職業のようですね。

そうですね、あの容姿だとどこにいても目立つでしょうし、フランツのお父さんも簡単に見つけられたでしょう。

最初は普通に事務員してましたが、やはりむいてないんですね。

おまけに美貌のためセクハラされてるし(笑)

今回はオスカル様、仕事仲間とお付き合いです。



2017/05/28 (Sun) 13:12

こあさ

昨日はミュシャ展に行ってきまして、パリに出てきたけど食べられなかったって話を聞いて『絵で食べるのは大変だ~💦』と。

お嬢様、トゥールーズでしたか。
トゥールーズといえばアンジェリクを思い浮かべてしまいます。

アンドレの絵がお嬢様の雑貨屋に巡りめぐってきたりして~💕

2017/05/28 (Sun) 13:15

うさぎ

Re: No title

N様オスカル様の一人暮らし心配していたんですね。

失敗は繰り返しても根性あるから大丈夫なんです。(セクハラされても)

オスカル様がお店の売り子って意外でしたね、でもいきなり華やかな仕事は出来ないし、

地道に一人暮らしするには、丁度いい職業じゃないでしょうか(美貌もいかせるし)

オスカル様がアクセサリー見立ててくれるならN様だけじゃなくて女子が並んでいきます。

今日は仕事仲間と飲み会に行くオスカル様です。

2017/05/28 (Sun) 13:19

うさぎ

Re: 再会できるかしら?

TM様オスカル様一人暮らしのレポートでした。

あれで大体どのように過ごしてるのかお分かりになったと思います。

オスカル様だまっていれば文句ない美女だからセクハラの的です(笑)

今の仕事は、そうですねアンドレとの思い出が詰まったお店でした。

絵とペンダントは大事な思い出です、それらがあるお店だから、よけいに心惹かれました。

クライマックスに期待しつつもお別れが悲しいなんて、すごい喜んでいます♪

だってこのお話は久々の現代版で、しかも感じの悪いオスカル様からはじまるし、一番の悩みは二人の仲がぜんぜん進展しないとこ。

だから萌え要素がないじゃないか、しかもこれといった事件もないから感動できるのか?

そういう理由で盛り上がらない作品かも・・・と思ってました。

今回は女子会です。

こういう付き合いも屋敷を出て一人暮らしをはじめたから出来るオスカル様です。

2017/05/28 (Sun) 13:51

うさぎ

Re: オシャレなお店♪

MI様早くも一年経ちました!

アンドレ大学卒業したころです。

彼はどうしてるのでしょう?

アンドレがすぐに探しに行かないのを良いといってもらえて安心しました。

これって冷たくも見える判断ですからね。

彼女の一番の望みはアンドレが画家としてやっていくこと。

その思いを無にしてはいけない、だけどいつかはみつける。

前向きなお別れなんです。

MI様もオスカル様のいるお店行きたいですか~♪

「行列のできる雑貨屋」ですね~、ツアー組んで行きたい!

2017/05/28 (Sun) 13:57

うさぎ

Re: タイトルなし

KO様、ミュシャ、いいですね、あのイラストのようにあくまで美しさを求めた絵は素敵です♪

絵はスポンサーがいないとやっていくのは難しいでしょうね。

売れなければ一銭にもならないし。・・

トゥールーズ、漫画の舞台でもあったんですね。

ここはバラ色の街とも言われていて、しかもトゥールーズ市庁舎はベルサイユ宮殿のような豪華な作りなんです。

オスカル様の一人暮らしの場所にはふさわしいかと。・・

アンドレの絵か~、いずれ出るかもしれませんね~(笑)

2017/05/28 (Sun) 14:08