FC2ブログ
うさぎ

真実の恋人①

オスカルとアンドレはトゥールーズのレオン・ブランシュの個展会場で再会した。

そこでお互いの気持ちを確かめ合い、はれて恋人同士となった。

そして、二人は今、オスカルのアパルトマンにきていた。

「狭いところだが入ってくれ」

オスカルが鍵を開けて自分が借りている部屋にアンドレを招き入れた。

「ここがお前の住んでるアパルトマンか!」

部屋に入るなり、アンドレが感心するようにいった。


「そうだ、トゥールーズに来て、まず住むところを見つけるのに苦労したよ、一人暮らしは初めてだからな」

オスカルの部屋はキッチンと食事をするスペースと居間と寝室のシンプルな間取りだ。

アンドレはまず、壁にかけている「カフェ・リヴィエール」に注目した。

「これも持ってきてくれてたんだな」

「当然だ、私の宝物だからな」

アンドレはうれしかった。

俺の絵を誰よりも愛してくれたオスカル

そしてこの絵は俺達の出会うきっかけを作ってくれた

やはりオスカルにとってこの絵は特別なものなんだ。


「それにしても、いいアパルトマンを見つけたじゃないか、一人暮らし用にしたら広めに作ってるし商店街にも近い」

「おまけに格安だなんて、いい物件じゃないか」

アンドレにこの物件を褒められたのはうれしいが、オスカルはただひとつ気に入らない点がある。

「確かにそうだ、けど問題がひとつあるエレベーターが無いことだ」

エレベーターがない、これはいまだに大きな問題点に思う。

「確かにな、毎日階段を5階まで上り下りするのは、かなりの重労働だろう」


「そうだろう、おまけに重い買い物の荷物をもって登るのだぞ、お陰で私のか細い腕に筋肉がついてしまった」

オスカルはふざけて腕の筋肉を見せ付け、それを見てアンドレは笑ってしまう

「お前も逞しくなったものだ」

「あのお嬢様だったお前がエレベーターも無いアパルトマンで暮らしてるなんて、クレメンスの連中に言っても信じないだろうな」

その後二人は椅子に腰掛けてテーブルに向かい合い離れ離れになった後のことを語りあった。

オスカルは、会社勤めをしたものの、続かず悩んだことを情けなさそうに話していった。


「実はいくつか会社勤めをしたんだが、長くは続かなくて・・」

「しかも仕事が上手くいかない時に、両親が探偵を雇い、このアパルトマンを見つけ出し、トゥールーズに来て家に戻るよう説得されたんだ」

「しかし、私は戻る気などなく、頑として断り続けた」

「その態度に両親も折れて、定期的に連絡を取ることで何とか一人暮らしを認めてくれることになった」

「いずれこのような暮らし飽きるだろうとの考えもあったんだと思う」

アンドレもベルナールからオスカルの両親が探偵を雇ったのは聞いて知っていた。

しかし、思っていたとおり、オスカルはその後もパリの自宅に戻らず独り立ちするべくトゥールーズで頑張っていたんだ

「両親の許しを得たものの仕事がないのではどうしようもないから何とかせねばと街をさまよっていたところ今の職場の「エクレール」にたどり着いたんだ」

「「エクレール」は雑貨だけでなく絵画も販売している店でな、それにつられて入ってみたところ、店長のエリスさんのいきいきした仕事ぶりをみて、自分でもやってみたい気になり、働くことに決めた」

はじめは失敗ばかりだったが、だんだんと慣れてくると接客業の楽しさがわかってきて、2年たった今では絵画コーナーを任されてること

他の売り子たちとも交流を持ち、仲良くやっていってることをアンドレに伝えていった。

「そうか、オスカルお前も頑張っていたんだな」

アンドレはオスカルの一人暮らしが上手くいってるのに安心をした。

「俺はお前がもう戻らないとは感じていたんだ、だからこそ、大学を卒業したら、フランス中を探し回ろうと考えていた」

「お前を探しながら絵を描く旅をする予定だったんだ」

思いもしなかったアンドレのその言葉にオスカルは感激してしまった。

アンドレは・・・絵を続けながらも私を探そうと、考えてくれた。

ずっと私を忘れずにいてくれたんだ。

「だが、卒業と同時に思わぬチャンスがめぐってきた」

「お前を描いた「モナムール」あれを教授に見せると、いたく気に入ってくれて、教授の友人である画家のブランシュ氏に今までの俺の作品と「モナムール」を見せたところ、俺の画風が自分と似ていて、しかも将来どのように化けるか見てみたくなったという」

「そして弟子になるよう誘ってきた」

「俺はすぐさま承知して、晴れてレオン・ブランシュに弟子入りしたんだ」

弟子入りしたのは、ブランシュの画風が自分の目指すものに酷似していることと、弟子となればブランシュ氏についてスケッチ旅行のお供が出来る。

弟子入りすることで、技術を習得し、オスカルを探すことも出来ると考えたのだ。

「先生についてフランス各地を回り、そのたびに今度こそお前に会えるだろうか、と期待した」

「だが、会うことは叶わず、落胆し、そして次こそは会えると信じてまた旅に出るんだ」

アンドレは話しながらオスカルの両手を握り締めていった。

「その甲斐あって、ようやく会えた」

「ずっと探していたんだ」

「オスカル、お前を」

「ア・・アンドレ」

アンドレの話を聞いているだけで胸が詰まりそうになる。


私は彼の気持ちは孤独な私への同情だと考えていた。

優しい彼は一人ぼっちの私をほっとけないだけ。

わがままで自分勝手なお嬢様の私を彼が愛するわけがないと決め付けていたけど、彼はずっと私を探していた。

そして愛を伝えてくれた。

こんなに感動することってほかに・・無い

オスカルの眼からは涙がこぼれた。

そして両手を握ったアンドレの手の上に涙を落としていた。

「アンドレ・・まさかお前が探しにきてくれるなんて思わなかった」

「うれしい・・うれしくて・・たまらない」

感激するオスカルの様子にアンドレもうれしくなりオスカルの隣に席を移し

そしてオスカルの肩を抱きしめ、彼女に顔を近づけてきた。

「オスカル、ようやく見つけた」

その後、彼女の頬を捉え、すばやく口付けをした。

ずっとずっと夢見ていたこの瞬間

彼が私を愛してくれて、抱きしめ、口づけをする。

こんな時が、こんな幸せが私に訪れるなんて・・・

スポンサーサイト



うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 17

There are no comments yet.

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/21 (Mon) 22:42

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/22 (Tue) 06:57

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/22 (Tue) 09:12

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/22 (Tue) 19:11

うさぎ

Re: No title

AN様こんばんは。

見に来てくれたときに丁度アップでしたか、AN様超能力者!

「偽りの恋人」のオスカル様は健気で不器用で可愛いですか、おお!かなり愛されてますね♪

こういう未成熟な彼女が今回アンドレとどんな恋人になって過ごすのか?

そのへんをしっかり描こうと頑張りました。

連載にするのは木曜日からにします、その日休みになったのでじっくり読んでからアップしたいと思います。



2017/08/22 (Tue) 21:43

うさぎ

No title

HI様早速ワクワクしてくれてありがとうございます。

木曜日から連載開始にしようと思います。

(まだ全部書けてませんが汗)

よければ見てやってください。

2017/08/22 (Tue) 21:46

うさぎ

Re: No title

N様、オスカル様、個展でアンドレと再会してその足で自分のアパルトマンにご招待です。

>この二人は 山あり谷あり・・<アハハ、よくご存知で

でも、割と楽しい場面もあるんですよ、今回はどれだけ描けるかチャレンジしたりもしました。

まあ、確かに二人に試練はつきものですが・・・

連載開始は木曜日からにします、(その日休みなので)

良ければ見に来てください。

2017/08/22 (Tue) 21:51

うさぎ

Re: 幸せ絶頂!。。。

TM様、連載開始は木曜日でまだなのです。

第一回目は前作の終わりの続きからです。

だいたいご存知でしょうけど、お二人にとっては今の暮らしを互いに伝え合うのは自然の流れなので描きました。

前回アンドレの気持ちを知らずに失踪して、最後にようやくわかって結ばれるまででしたので、今回は恋愛モードからの始まりです。

この二人はどんな恋人になるのか?


オスカル様は自適生活

アンドレは弟子入りして、・・しかも内弟子なので師匠の家に住んでます(笑)

だからTM様の想像通り一緒に暮らせません。

せっかく恋人になったんだから、この時期を楽しまなければ♪

それにしてもTM様、もう二人の試練におびえるなど早いです。

私も辛いんですよ、お二人をいじめるみたいで(汗)

でも、試練無しの話など盛り上がりがないんです。

またその試練をどう描くか悩む悩む。

しかし、偽りの恋人でもこのお二人は、デートシーンが多めに描いたつもりでしたが、今回はそれを上回るよう頑張りました。

どれだけかけるか挑戦してみました。

まず、それをお楽しみくださいね。

2017/08/22 (Tue) 22:15

うさぎ

Re: タイトルなし

TOMO様お久しぶりです!

首がキリンさんになってしまいましたか(笑)

でも、もう少し首を支えて待っていてください。

連載開始日は木曜日なのです。

今回はアツアツのお二人から始まります

2017/08/22 (Tue) 22:18

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/23 (Wed) 00:38

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/23 (Wed) 02:23

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/23 (Wed) 10:14

-

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/23 (Wed) 21:00

うさぎ

Re: No title

CHI様お久しぶりです、こんばんは!

そうです、偽りの恋人続編です。

偽りの恋人、お二人が出会って終わりでしたから、その先が気になるって言われたので、考えた作品です。

イラスト良かったですか♪頑張った甲斐がありました。

今度もいいのが描けるといいなあ。

2017/08/23 (Wed) 21:51

うさぎ

Re: お久しぶりです!!

MI様お久しぶりです!

頭の回転がどんどん悪くなりおまけにこの暑さとの戦いで、物語がなかなか進まずです。

今までどうやって作ってたんだろう?謎です。

MI様まだ学校に通うお子さんのママさんだから、いろいろと苦労がある時期ですね。

確かに、この頃は家族で旅行とか、宿題とか、友達が遊びに来るとかすごい大変な時期です。(宿題やお勉強もお金もかかるし)

私もそうでした、頑張ってたなあの時期は、でももう戻りたくない・・

だからMI様の今の苦労はわかります、ご苦労様です、心から応援しています。

しかもこの暑さ、異常ですね今年は特に。・・

木曜日から連載開始なので、お忙しい一日が終わった後によければ見に来てください。





2017/08/23 (Wed) 22:03

うさぎ

Re: 木曜日、待ち遠しいです!

TM様もう連載始まってると思ってましたか、申し訳ないです。

なんか本当に、進まないです!まだボケには早いはずなのに!

一ヶ月以上休んでた(実際は休んでませんが)から、あまり見に来てくれる人もいないかな~、だから亀でもいいかな~なんて気持ちでやってたら、本当に進みませんね。

偽りの恋人、私の作品の中でも日常の風景の多かった作品です。

でも今回の真実の恋人は前回を上回る数の日常の風景を描いたつもりです。

ていうか、それしか見所無いんです(ほんと、どーしよう(汗))

私が思うに、そこにちょっとしかない力を注ぎすぎて、後に何を描いてもくだらなく感じて困っています。

くだらなくなってきても我慢してください、よろしくお願いします。

2017/08/23 (Wed) 22:19

うさぎ

Re: タイトルなし

KO様、禁断症状が出てしまいましたか。(そこでカサノバ&クールを読み返すとはありがとうございます)

KO様は「お嬢様の庶民の暮らし講座」を開講されてましたから、早速講義のチェックご苦労様です。

アンドレ教授はお嬢様に甘いですからすぐに「優」をつけてしまいそう。

これからお嬢様が恋人試験に合格できるかどうか、見届けてやってください。

まだまだ暑い日が続くようです、お互いに元気でやり過ごしましょう。

それでは!

2017/08/23 (Wed) 22:27