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うさぎ

真実の恋人②

抱きしめあい、じっとしていた二人だが。

アンドレが顔を上げた。

「オスカル、悪いがそろそろ戻らなくてはならない」

オスカルは驚いてアンドレの顔を見上げた。

「もう帰るのか?」

「俺はブランシュ氏の内弟子だからな、俺は今、彼が借りているアトリエ件自宅で一緒に暮らしている」

「明日も朝早くからスケッチに出かける予定なんだ、だから戻って支度しておかなければ」

オスカルの寂しそうな様子にアンドレは言いにくそうだった。

「そうか・・・でも、夕食くらい一緒に、食べていかないか?」

オスカルの誘いにアンドレは申し訳なさそうに返事した。

「いや・・・それが、夕食をいらないといってこなかったから・・」

「食事の仕度をしてくれる人がいるのか?」

「ああ、ブランシュ氏の娘さんなんだが、彼女はブランシュ氏の身の回りの世話をしてくれてる」

「それでブランシュ氏と俺の食事の用意も彼女の担当なんだ」

「お前と会ったのが急で、何も言ってないから、もう俺の分を作ってくれてるはずだ」

そうか、人気画家に弟子入りして、住むところも食事もお世話になっている立場としては、せっかく作ってくれた夕食を無駄にするなど申し訳なくて心苦しいだろう。

「そうか、わかった。それでは仕方ないな、」

オスカルは残念だが理解し、その返事にアンドレはほっと安堵した。

「せっかく会えたのに、悪いな」

「いや、突然に出会ったのだから仕方ない」

アンドレは立ち上がり、身支度を始めた。

「明日夜に会えないかな?」

アンドレに誘われオスカルは急いで答えた

「もちろん、いいぞ、夕食を作って待ってるよ」

「では明日は夕食をともにしよう」

「わかったでは、明日ここで」


玄関ドアまで送り、オスカルは名残惜しそうに別れの挨拶をした。

「じゃあ、また明日」

「ああ・・、また明日な」

そういったかと思うと別れ際に再びいきなりキスをされた。

唇が離れアンドレが優しく微笑んだかと思うと

「おやすみ」といってドアの向こうに消えていった。

オスカルは呆然として、ついアンドレが触れた自分の唇を指で押し当ててみた。

これが恋人になった印?

恋人同士になると、挨拶みたいにキスをするのか。

でも、こんなに胸がときめくの相手がアンドレだから?


次の日、オスカルはいつものように「エクレール」で働いていた。

少しでもお客様に綺麗に見えるよう工夫してきぱきと商品を並べていく。

お客様が店にくれば、「いらっしゃいませ」の挨拶をして、「ご質問があれば何なりとご質問くださいね」とにこやかに伝えていく。

「オスカル、どうしたの?今日は張り切っちゃって!」

あまりのオスカルの張り切りように話しかけてきた。

「うん、ちょっといいことがあったんだ」

オスカルの頭の中では夜になればアンドレに会えることで一杯だった。

「え、何々、いいことって?」

イレーヌに聞かれてオスカルは戸惑った。

「う、うん、また今度話すよ」

アンドレとの突然の出会いのことは、まだ話す気になれなかった。

だって彼と出会って恋人になれたなんて、まだ信じられない気持ちだったのだ。

「そう、じゃあ、話す気になったら教えてよね、それよりオスカル」

「今度また食事しない、いいお店を見つけたの」

イレーヌは突然話を変えてきた。

「ああ、いいな、日にちが決まれば教えてくれ、喜んで参加するよ」

オスカルは話が変わったのを幸運と考え、急いで誘いを受けた。


その日オスカルは店が終わった後、スーパーで買い物をした。

アンドレが来るのだから食事の支度をしなければならない。

でも、仕事が終わった後だから、あまりこったものは作れない。

そこで惣菜をいくつか買って帰ることにした。

ズッキーニの揚げ物に牛肉のミートボール、チキンのアンショワイヤード焼き、バゲットパンと乾杯のためのワインも忘れずに。

買い物を済ませると急いで自宅のアパルトマンに向かう。

いつもなら、こんな大荷物で5階もの階段を登るのは辟易するのだが、今日はそんなこと気にならないくらい元気だ。

だってアンドレが来るのだ!

彼と会えると思うだけで頑張れてしまう自分がいる。

階段を登り終えて、部屋に入り、上着を脱いで、買い物した荷物の整理をして、残りの料理の仕度だ。

野菜サラダを作り、手作りのスープも作る。

これはアンドレのおばあさまが良く作っていたスープだ。

キャベツやたまねぎやジャガイモや人参やかぼちゃなどの残り野菜を刻み煮込んでいくスープ。

これにベーコンやソーセージを同じように入れて煮込んで作る。

味付けは塩とコンソメで、簡単だがシンプルで美味しいのだ。

おばあさまに教えてもらったときは、こんな簡単な料理が美味しいのか疑問だったが、食べてみると驚くほど美味しく思えた。

それに、この料理はアンドレの好物でもある。

いつも喜んで食べていた。

オスカルはスープを作り終え、その後テーブルの準備をして買ってきた惣菜をお皿に入れて並べていくと、もうそろそろ彼が来る頃だ。
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 11

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2017/08/24 (Thu) 15:10

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2017/08/24 (Thu) 19:40

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2017/08/24 (Thu) 20:37

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2017/08/24 (Thu) 21:13

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2017/08/24 (Thu) 23:26

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2017/08/25 (Fri) 10:05

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは!

真実の恋人は前回の偽りの恋人の終わりからの始まりですから、恋人として始まったばかりのお二人です。

今回アンドレがブランシュ氏に弟子入りしているために、すぐに帰ってしまいました。

でも、次の日にはちゃんとカバーするんですよ、アンドレは、オスカル様のためだから。

今日は彼とあえてうれしくて幸せなオスカル様です。

師匠の娘さんなんて眼じゃないです。

2017/08/25 (Fri) 16:44

うさぎ

Re: No title

N様、偶然に出会ってその場で恋人になった二人ですから、まだ初々しいのです♪

オスカル様が食事作って待ってるところまでだから心配なのですね。

でも大丈夫、今日は二人の恋人になっていく様子を描いていきますのでご安心を。

しかし、やはりみなさん師匠の娘さんが心配なのですね、やはり(笑)

2017/08/25 (Fri) 16:47

うさぎ

Re: 真実の恋人

CHO様、今年からこのブログを愛読してくれていたのですねありがとうございます。

婚約者殿、のあたりからかな?

あまりにも原作から逸脱していて驚かれたと思います。

こんなのばっかりですけどよろしくお願いします。

2017/08/25 (Fri) 16:52

うさぎ

Re: No title

CHI様こんばんは。

今回もう気持ちはラブなので、ついつい張り切ってしまうオスカル様です。

今のところ、いい感じのお二人なのですが、やはりいやな予感が・・しますよね(笑)

何ででしょう?アンドレがオスカル様一筋ってみんな信じてるのに、それでも彼に近づいてくる女の影が許せないのは。

やっぱり二人の邪魔はしてほしくないんですね~。

でも、今日は幸せなお二人です。

2017/08/25 (Fri) 16:58

うさぎ

Re: オスカル様の食卓♪

TM様、出会ってすぐに恋人になっただけでも急展開なのに、いきなり同棲はないです(笑)

ただでさえ純情なオスカル様は、まだ恋人がどういうものかもわかってないのですから。

しかし、みなさんブランシュ氏の娘に不安を感じていますね、無理も無いけど。

今のところオスカル様は幸せ一杯でアンドレと過ごします。

お料理のシーンは、私は食いしん坊だから食べるのは大好きで、簡単なものなら作るのは苦ではありません、しかしややこしいのはめんどくさくてだめです。

本でも映画でも楽しく食事するシーンってすきなんです。

気の会うもの同士、または恋人同士で一緒に食事するって究極の喜びだって信じています。

楽しいお食事シーンを見ていると心が癒されて楽しいんです、だからつい入れてしまいます。

チキンのアンショワイヤード焼きですか、これはアンチョビとかバジルとか白ワインなどで作ったアンショワイヤードソースをチキンに漬け込んで焼くチキンソテーだそうですよ、南フランスの料理だそうです。

お料理のメニューは出来るだけその場にふさわしそうなのを調べて物語に取り入れています。

実際に作ったことの無い料理も沢山ありますので詳しくはかけませんが、お二人が食べる料理はやはりこんなのがいいなあって考えて選んでいます。

TM様が楽しんでみてくれているならうれしいです♪

2017/08/25 (Fri) 17:20