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アンドレの願い⑪

そして何通めかのオスカルの手紙にアンドレは歓喜した。

「アンドレようやく休暇が取れそうなんだ、私はこの休暇を利用してお前に会いに行きたいと思う。

お前のいるブルゴーニュへ行っても良いか?

ダメだといっても押しかけてやるぞ、だってお前に会いたくてたまらないんだ。」


オスカルがこのブルゴーニュに来る、俺に会いに来てくれるんだ!ようやくだ、ようやくお前に会える・・・オスカル。

「アンドレ、今日は機嫌が良いのね、顔がにやけているわよ」

「ああ、カロリーヌ今度ジャルジェ家の令嬢が我が家を尋ねてくることになった」

「ジャルジェ家といえば、以前貴方が従者を勤めていた伯爵家の?」

「そうだ、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ。女性ながらに軍人で准将の位まで上り詰めた人だ」

「その人が何故わざわざ貴方を訪ねてくるの?」

「俺はオスカルの遊び相手として引き取っていただいたのさ、実際は遊び相手などというより剣の相手だったけどな」

カロリーヌはアンドレがあまりにうれしそうなので、もしかして彼は、という予感があった。

それはカロリーヌにとって衝撃の事実だった、彼女はアンドレを愛し始めていたのだから。・・・

オスカルの休暇が始まりブルゴーニュを訪れる日になった。

アンドレは朝から落ち着かない。

この日のために客間を小間使いのエミリーに美しく掃除させ、オスカルのためにと極上のワインを用意もさせ、料理も料理人に特別美味しい料理をよろしくと頼んでおいた。

全ての準備が整ってからアンドレはまだかまだかと客間の椅子に腰掛け、千秋の思いでオスカルを待ち続けた。

オスカルが屋敷にたどり着いたのはその日の午後であった。

馬車がつくなり、アンドレは玄関まで走り出し、馬車を見つけて駆け寄った。

「オスカル!」

「アンドレ!ようやく会えたな」

思わずオスカルはアンドレに駆け寄り抱きついていた。

そんなオスカルをいとおしそうにアンドレは抱きしめる。

「アンドレ、苦しいぞ」とオスカルが笑いながら抗議すれば「お前の到着が遅くて俺を心配させたバツだ」とアンドレがふざけて答える。

二人の親しげな様子にカロリーヌは我慢できなくなり、「アンドレ、そちらがオスカル・フランソワ様ですの?ご紹介してくださいな」と声をかけた。

「ああ、以前話したオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ嬢、オスカルこちらは俺の従姉妹にあたるカロリーヌ・ド・エドモンド嬢だ、彼女は父の養女なんだ」

「はじめまして、カロリーヌ嬢、アンドレがお世話になっています」

「はじめまして、オスカル様、お世話になっているのはこちらですわ、彼がきてくれてから葡萄園が活気付きました。」

「オスカル、中に入ろう、長旅で疲れただろう」

「ああ、そうさせてもらう、つもる話が一杯あるんだ」

屋敷の中に入るとエドモンド男爵が待っていた。

「オスカル様、ベルサイユではお世話になりました、おかげで息子を取り戻せて喜んでいます、しかも、その後は私どもが作ったワインを毎回注文いただいて本当に感謝しているのです」

実はあれからジャルジェ家ではエドモンドの葡萄園で作られたワインを買うようになっていた。

アンドレを応援する気持ちで将軍がそうしたのだが、オスカルも使用人たちに多めに買うよう指示もしていた。

「エドモンド男爵、アンドレはお役にたっているでしょうか?もしお役にたたないと感じたならいつでも返品していただいてよろしいのですよ」

「とんでもない、このような優秀な息子を手放すなどとんでもないことです、オスカル様どうかご勘弁を」

その後用意された特別な食事とワインで夕食を楽しんだ、その間も二人は互いを見てはうれしそうなのだった。

夕食が終わるとアンドレは二人で話したいと準備していたオスカルの部屋へ行ってくつろいで会話した。

「葡萄園の跡継ぎぶりが堂に入ったものだな、」

「そうか?これでもまだまだ苦労している途中なんだがな」

「お前が上手くやってるのを見て安心した・・・だが・・・複雑でもあるんだ・・・」

「ここ数ヶ月で私の景色はすっかり変わってしまった、確かに近衛隊から衛兵隊に変わったからでもあるが、お前がいない、というだけでどうしようもなく落ち込む」

「男爵にお前を返品してほしい、と言ったのは私の願望でもある、許せ、それだけお前が私にとって特別な存在だということなのだ」

「オスカル、うれしいよ、俺も同じことを考えていた。」

「それに衛兵隊で大変な思いをしているのを聞いて何度お前の側に駆けつけたかったか知れない、お前は俺の大切な存在なんだ、誰よりも」

「うれしいが、ばあやの次ではないのか?」

「嫌、おばあちゃんには悪いがお前と比べることは出来ない・・・俺にとってお前は特別な存在だから・・・」

そうだ、そのためにここまで来た!

「オスカル・・・会いたかった・・」

アンドレはオスカルの側に来て顔を近づけてきた、そしてオスカルの頬を両手で捉えていきなり口付けを交わしてきたのだ。

オスカルは急なことに驚いたが、彼を振り離す気持ちにはなれなかった。

彼の唇の感触はこのようであったのか、子供の頃はおでこやほっぺにしたものだが、唇は初めてだ・・何故、私は拒もうとはしない 何故?・・・

久々に見る彼は何と男の色香に満ちているのだろう・・・ああ、見つめられると心が蕩けてしまいそうだ。

ようやくアンドレの口付けが終わり、互いにしばらく見つめあい、オスカルは頬を紅く染めながらも「アンドレ、何故?・・・」と聞いた。

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Posted byうさぎ

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