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うさぎ

真実の恋人⑲

週末、オスカルは何もする気が起きず、ずっとベッドで寝そべったままだった。

アンドレとの約束は無しになったのだし、どうせ起きてもすることが無いのだ。


今日は一日中ベッドの上でごろごろするか。・・

シリアとイレーヌは彼氏と一緒に楽しくやってるだろうに・・・

アンドレが画家志望でなければ、今頃私もなどと考えてしまう。


ブランシュの屋敷では、レオン・ブランシュとクリスティーヌとアンドレの三人で朝食をとっていた。

「アンドレ、貴方今日は何か予定があるかしら?」

クリスティーヌがアンドレに話しかけてきた。

「いや、今日は一日中絵を描く予定だが、何か?」

「実は車で街まで乗せていってほしいの、友達と会う約束があるのだけど」

「そうか、では車で送っていくよ」

「ありがとう、助かるわ」

「すまないね、アンドレ」

「いえ、街までお送りするだけですから、すぐに戻ってこれます」


こうしてアンドレはクリスティーヌを車で街まで送り届けることになった。

アンドレは車を車庫から出して玄関前に止めた。

しばらくして服装を整えたクリスティーヌが玄関ドアを開けて出てきたのでアンドレは車のドアを開き、クリスティーヌを招いた。

「ありがとう」

クリスティーヌは礼をいって車に乗り込んだ。

アンドレも運転席に座り、車を発進させる。

「助かったわ、急に友人が会いたいって連絡が来たものだから」

「久しぶりに会う友人なのかな?」

「ええ、そうよ、パリでの友達で、こちらに遊びに来たの」

そしてトゥールーズ駅前のジュメルホテルで待ち合わせだというのだ。


ホテルにつき、車を止めてクリスティーヌがドアを開けて「ではいってくるわ」と言った瞬間にホテルから出てきてこちらに来る女性の姿が見えた。

「クリスティーヌ」

その女性がクリスティーヌに呼びかけた。

見たことのある女性だな。

あれは!

クリスティーヌもその女性に声をかけた。

「シャルロット!」

それは、クレメンス大学にいたシャルロットだった。


「久しぶりね、会えてうれしいわ」

「私もよ突然こちらに来るなんて」

「貴方を驚かせようと思って、いきなり来て見たの」

久しぶりの再会を喜び合う二人、この二人が知り合いだとはな。

「シャルロット、紹介するわ、私の父に弟子入りしているアンドレよ」

クリスティーヌはアンドレを紹介するが、アンドレを見たシャルロットは驚き声を上げた。

「貴方、アンドレじゃないの!」

「やあ、シャルロット、久しぶり」

アンドレは車から降りて挨拶をした。


知り合いのような二人の様子に今度はクリスティーヌが驚いた。

「二人とも知り合いなの?」

「ええ、アンドレは私と同じクレメンス大学出身で、顔見知りなの」

「そうなの、偶然ね」

「俺も驚いたよ、クリスティーヌとシャルロットが友達とは」

「パリに住んでいたときに友人の紹介で親しくなったのよ」

「そうか、では久しぶりの再会を楽しんでくれ」

アンドレは手を振り車の中に戻った。

「ありがとう、アンドレ」

「アンドレまたね」

「ああ、ではまた」

アンドレは車を発進させてホテルから遠ざかっていった。


クリスティーヌとシャルロットはそのままホテルのカフェに入り、アイスティーとソーダ水を注文して話し始めた。

「本当に久しぶりね、クリスティーヌ会えてうれしいわ」

「私もよシャルロット」

「それにしても、アンドレが貴方のお父様の弟子になっているなんて驚いたわ」

「だって貴方のお父様のブランシュ氏はめったに弟子を取らないことで有名だったもの」

「お父様が言うには、彼の大学時代に描いた絵がいたく気に入り、将来有望な若者だと感じ入って父自らが誘って弟子入りさせた経緯があるの」

「大学時代の絵を?」

「ええ、恋人の絵を」

そこまで言ってからクリスティーヌはオスカルもクレメンス大学に在籍していたことを思い出した。


「シャルロット、貴方オスカル・フランソワ・ジャルジェという方を知ってる?」

「え、ええ、もちろんよ」

クリスティーヌの問いにシャルロットは興奮気味に答えた。

「私が大学にいた頃に憧れた方ですもの」

頬を紅潮させるシャルロットの様子を見ると、やはり父のいうとおりオスカルはクレメンスの姫的存在だったのだ。


「でも、どうして貴方がオスカル様のことを知ってるの?」

「先日アンドレからオスカルさんを紹介されたわ」

「二人は以前から付き合っていた恋人同士だそうね」

クリスティーヌは詳しくは聞かされていないが、アンドレとオスカルは大学時代付き合っていた仲だが、一時離れ、このトゥールーズで再会して恋人となったのは知っている。

だがシャルロットの反応は意外なものだった。

「あの二人がまた付き合っていたなんて意外だわ」

「オスカル様とアンドレが・・確かに大学時代に二人は付き合っていたけど、あれは学生時代のお遊びだったんじゃないの?」

「え、どういうこと?」

「だって、オスカル様はこのフランスでも有数の資産家のジャルジェ家の令嬢よ」

「いずれ、ジャルジェ家にふさわしいお相手と結婚されるはず、資産家でもないアンドレを選ぶとは思えないわ」

「だって、二人はこのトゥールーズで何度もデートを重ねているのよ」

クリスティーヌの眼には二人は相思相愛に見える

だがシャルロットはそれに異論を唱えた。

「そうね、私も二人の付き合いはお互い本気なのかと最初は思ったわ」


「だけど後で聞くと、アンドレはかなり無理して付き合っていたみたいよ、資産家令嬢のオスカル様と中流層の彼とではお金の感覚が全く違うから」

「クラシックコンサートに観劇に一流レストランとお金のかかるデートばかりですもの。」


「私の誕生日にオスカル様をエスコートして現れたときも、みんなのうわさの的だったわ、オスカル様が中流層の学生をつれて現れるなんて大ニュースだもの」

「でも、しばらくしてオスカル様は外国留学して大学を去り、彼とは自然消滅よ。」

「結局、オスカル様にとってアンドレは一時の遊びの相手だったのよ」

「今回だって外国から戻って彼の変わらぬ想いを知って、気持ちが再燃したんでしょうけど」


「でも、それは、ひと時の恋を楽しむ気なんじゃないかしら」

「ひとときの恋?それはどういう意味?」

何でもなさそうに言うシャルロットの話をクリスティーヌは眉をひそめて聞いた。


「貴方のような芸術家の家では想像も出来ないでしょうけど、資産家の家の令嬢は皆、親の決めた婚約者と結婚するのが慣わしのようなものよ」

「いずれ、両親が決めた婚約者と結婚するのだから、独身の間にかりそめの恋愛を楽しもうとしてるんじゃないかしら」

かりそめの恋を?
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

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2017/09/10 (Sun) 18:33

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2017/09/11 (Mon) 08:16

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2017/09/11 (Mon) 09:51

うさぎ

Re: No title

AN様こんばんは、シャルロット登場は予想出来ませんでしたね。

シャルロットはオスカル様に憧れていたとはいえ、彼女が見つめていたのは氷の姫のオスカル様。

だから、オスカル様にはアンドレはつりあわないと一刀両断です。

クリスティーヌがそれを聞いて、オスカル様への不信感が募るのは当然のこと。・・

可哀想なオスカル様を想像しますが、まだ嵐の前の静けさです。

2017/09/11 (Mon) 19:14

うさぎ

Re: タイトルなし

KO様こう来たんですよ。

しゃるろん(←まさかこんな名前になるとは(爆笑))はオスカル様を大学時代の頃のイメージで見ています。

これまでクリちゃんは、二人は相思相愛だと思っていたのに、違っていたの?て考え始めました。

KO様電話番号入手って、(探偵みたい)よく覚えてましたね、これ。

盛り上がってきたましたね~の顔が笑ってますよ、でも今日はまだラブラブ展開です。

2017/09/11 (Mon) 19:15

うさぎ

Re: スイッチ入るかしら⁈

TM様、まさかのシャルロット登場です。

久しぶりの女友達のお話はもちろん噂話です。

それも、友達の父親が画家でそこに弟子入りしたのが、大学時代の知り合いアンドレ、しかも彼は大学時代に憧れていたオスカル様の元彼のような立場。

その二人の仲が復活したなんて話は盛り上がるの決まってるんですよ。

だからクリスティーヌにあることないこといっちゃうんですね~。

師匠の「あんな手の届かない人に恋して果たして上手くいくのだろうかな」発言はクリスティーヌにとって今回のシャルロット発言と合わさってアンドレにとってこの恋はマイナスだと認識するでしょう。

しかもオスカル様と付き合うようになってからのアンドレの素行が良くないから、余計にオスカル様に振り回されてると感じるでしょう。

シャルロットはジェローデルとの婚約解消は知ってるでしょうけど(多分)

それでも理由などは知らないから、また新たな婚約者をあてがわれると考えます。

なんせ、氷家族の言う留学していたと信じていますから。

しかし、電話番号みなさん覚えてますね~。

いきなりたずねていったら、何で知ってるの?ですが、電話番号あれば連絡とって当然ですものね♪

でも、過去のオスカル様の話は、そうです、事実ですから全部間違いだといえないのが苦しいところ。

オスカル様ふてねしてる場合じゃないんですよ。

ですが、今日は嵐は来ないんですよ♪

2017/09/11 (Mon) 19:17