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うさぎ

真実の恋人30

アンドレは、絵を描いているだろうか?

オスカルは別れてからアンドレが絵を描いているか毎日心配していた。

顔を見て会うことは出来なくてもせめて彼が絵を描いているかだけでも知りたい。

仕事をしていても食事をしても考えるのはそのことばかり

そこでオスカルは密かにアンドレが住んでいるブランシュの屋敷に行き、様子を見に行くことにした。

仕事が終わり、いつもは買い物をしてアパルトマンに帰る道のりだが、今日は駅に向かい、ブランシュ家に近い駅の切符を買い、電車に乗り込んだ。

目的の駅に着き、降りて街中を歩いてブランシュ家を目指した。

ここら辺は、閑静な住宅街だ、その中でブランシュ家は大きな邸宅だから暗がりでもかなり目立つ。

ブランシュ家がだんだんと見えて来るが、暗い中でみるブランシュの屋敷はまるで見知らぬ家のようで不安になってくる。

それでもオスカルは屋敷の明かりを目印にして近づいていった。

屋敷前に着き、立ち止まり二階を見上げてみた。


あの二階の部屋がアンドレの部屋だ。

見上げると部屋から明かりが見える。

明かりがついているということは、アンドレが部屋にいるのだ。

オスカルはそれだけでうれしくなった。


あそこにアンドレが、いる。

お前はそこにいるんだな。

アンドレお前は絵を描き続けているか?

元気でいるのだろうか?

私を・・恨んでいるんだろうか?

アンドレ・・会いたい、お前に会いたい、せめて顔だけでも見られれば

何度も念じるようにオスカルは会いたいと心の中で繰り返した。

そしてそのままアンドレの部屋の窓を長い間見つめていた。


すると、窓辺に誰かの姿が映った。

それは外の景色を見て人心地しようとするアンドレの姿だった。

まるでオスカルの願いが叶ったような展開だが、こんなところアンドレに見つかるわけには行かない

思わず近くにある木の陰に身を潜めた。

そんなこととは知らないアンドレは、バルコニーに出て窓の外の星景色を眺めた。

部屋からの明かりのお陰で彼の姿が見える。

バルコニーの手すりにひじを着き、じっと星を眺めている彼

アンドレ・・

オスカルは木の陰からアンドレの姿に魅入っていた。

あの黒い瞳も黒い髪も何もかもが愛しい彼

離れてはいるが、彼の姿が見られた。・・

そう思うとたまらないほど胸が弾んだ。

アンドレに会えた。・・

アンドレがここにいるのだから、彼は絵をやめてはいない。

またきっと描き出したんだ。

あそこに彼がいる

なのに声をかけることも許されないのか・・


「アンドレ」

その時、部屋の中からアンドレを呼ぶ声がした

「クリスティーヌ、こっちだ」

アンドレはそれに気づき返答をした。

その声につられてクリスティーヌもバルコニーに姿を現した。

「コーヒーを持ってきたのよ」

「ありがとう、いつも悪いな」

「いいえ、お父様にも持っていくついでだから気にしないで」

クリスティーヌはアンドレの横に並び彼に話しかけた。

「やっと調子が出てきたみたいね」

「良かったわ、以前の貴方に戻って」

クリスティーヌはアンドレが描けるようになったのを喜んでいた。

「先生にもだが君にはいろいろ心配かけてすまなかった」

アンドレはクリスティーヌにわびるように伝えた。

「貴方がまた絵を描くようになってうれしいわ」

クリスティーヌは笑って答えた。

「ありがとう、クリスティーヌ、その気持ちにこたえるためにも頑張るよ」

「さあ、コーヒーが冷めるわよ」

「そうだな、中に入ろう」

二人は部屋の中に入っていった。


オスカルは木の陰から出てきてあらためて二人が入っていった部屋の明かりを眺めた。

親しげな二人の様子に胸が痛んだ。


アンドレ・・クリスティーヌなのか?

今の、お前を支えてるのはクリスティーヌなのか?


クリスティーヌなら

彼女なら・・


画家の父を持ち、女らしく美しい彼女なら、アンドレを支えていける。

彼女となら、画家としての将来は約束されたも同じ


涙が頬を伝った。


私で、ありたかった。

お前を支えていくのは、お前の横にいるのは 私でありたかった


あきらめるように心の中で言葉にし、そして涙を拭いた。


もう帰らなければ・・

いつまでもこうしているわけに行かない


直接会えなくても、お前の姿を見られてうれしかったよ・・

「おやすみ、アンドレ」

オスカルは来た道を戻りながら考えていた。


お前は頑張って絵を描いている

私は何も出来ないけど

お前が素晴らしい絵が描けるよう祈っているよ


駅に着くまでの道を歩いていると、目立たない小さな教会があるのを見つけた。

来たときは不安で気づかなかったけど、こんなとこに教会があったんだ。


思い切って教会の敷地に入り、聖堂の扉を開けて中に入ってみた。

誰もいないが明かりはついたままにしているのはいつでも祈ることが出来るようにしているらしい。

聖堂の奥にはマリア像が飾られている。

オスカルはマリア像に近づき、指で十字を切ってから両手を握り締めて祈りを捧げた。


どうか、私の愛する人に素晴らしい絵を描かせて

彼の夢を叶えさせてください

そのために私は私の幸せを手放したのだから・・

どうか、神よ 

祈り終わった後、不思議なくらい心が静かになった。

今の私に出来るのは、彼のために祈ることだけ
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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 12

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2017/09/21 (Thu) 21:38

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2017/09/21 (Thu) 21:48

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2017/09/21 (Thu) 23:48

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2017/09/22 (Fri) 00:32

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2017/09/22 (Fri) 07:57

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

オスカル様心配で我慢できず、とうとうアンドレのいるブランシュの家にまで様子を見に来ました。

アンドレの姿見れたまでは良かったんですけど、そこで一番見たくないクリスティーヌとのツーショット!

ですが、別にラブシーンではありません。

アンドレはただお礼を言ってるだけです。

キスとかしてません。(当たり前だけど)

それなのに・・・何ででしょう?

浮気現場見たくらいの、このショック度は・・アンドレってオスカル様以外の女性に触れると心がざわつくのですね。

アンドレすごっ!

オスカル様の孤独は、祈ることで癒されるようです。

ほんと、これしか出来ませんね。

インターネットつながって良かったですね♪

2017/09/22 (Fri) 10:30

うさぎ

Re: No title

CHI様、落ち込ませてすみません(謝)

オスカル様じっとしていられず、アンドレの住むブランシュ家こっそり見に行きました。

会えてうれしいものの、隣にはクリスティーヌ。

別に愛を語ってるわけではないけど、モヤモヤ感はぬぐえません。


けど、これくらいしないと、すぐに恋に溺れてしまうんですよ。

アンドレ、オスカル様とあれだけ愛し合ったのだから彼女が本気だとしか思えない。

アンドレ今はコンクールに向けて絵のことだけ考える所存です。

もともと、絵をほったらかしにしていたのが原因ですからそのへんは反省しているんです。

2017/09/22 (Fri) 10:31

うさぎ

Re: 見返りを求めない究極の人間愛


MA様、今回のオスカル様はだんだん聖母化してきましたね。

ただ、彼のために祈る、ほんとーにそれしか出来ない!

彼にあってまた波風たててはいけない、彼は今大事な時だから、遠くで見守る。

クリスティーヌとアンドレの並んだ姿見て市ショックを受けたものの、それでもめげずに彼のために祈る姿は美しいです~(涙)

抱きしめてあげてほしいです、ルシアではないけど、こんなときは人の温かみがうれしいものです。

映画に見えるなんて、恥ずかしいけどとってもうれしいお言葉です、ありがとうございます♪

ピアノの練習、出来れば今のアンドレみたいに集中できますように。

2017/09/22 (Fri) 10:33

うさぎ

Re: No title

YA様こんにちは。

今回もすみません、切なかったですね(汗)

魅入る、はどーなんだろう~?と思いましたが、このほうが素敵だし、まっいいかってのりです。

文章に優しさを感じてもらえてるのはすごくうれしいです、ありがとうございます♪

言い回しにはすごく気を使っています。

あまり直接的な言い方をすれば、現実のつまらなさが出てしまう、そう思ってかなり遠まわしでオブラードに包んだような感じにしているつもりなんです。

オスカル様は、もう、悟りの心境です。

自分は何も出来ないけれど、ただ彼のために祈る、それが自分の愛だとある意味生きがいになってるんです。

目的を見つけた人間は強くなれます。

今、オスカル様は一人だけど充実もしているんです。

だから今夜も安心してお休みください(笑)

2017/09/22 (Fri) 10:34

うさぎ

Re: タイトルなし

KO様オスカル様の健気さに涙・・ですか。

半熟画家が他の女といると何でこうショックな気持ちになるのか?

クリちゃんと抱き合ってるわけでもないのに(不思議だわ)

やはり、それだけお二人でなければいけない何かを感じてしまうんでしょうね。

しかしKO様神父さんが「奇跡を見ているかと思うくらい美しい女性が熱心に祈っているところを見たのですよ」

「真摯に祈る姿は天使そのものでした、お見かけしない方でしたからこの辺りの方ではないのかもしれません」って!

完璧にセリフ出来てるし!(笑)

何故か笑えて笑えて!神父さん、いいそうだし!あってもおかしくない話!しかもセリフが完璧!

それなのにアンドレ、それがオスカル様だと気づかずですか?(笑)

師匠に関しては、天使は弟子をもてあそんで捨てていった人だと知れば・・・私も妄想しました。




2017/09/22 (Fri) 10:34

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2017/09/22 (Fri) 11:05

うさぎ

Re: お忍びオスカル様!

TM様こんにちは。

昨日はお出かけでしたので早めのアップでした。

だからTM様遅れてませんよ。(笑)

師匠邸にアンドレ見に行くオスカル様を動画に撮ってアンドレに、は師匠邸が泥棒よけの防犯カメラ設置してればすぐにお見せれるんですが(笑)

好きな人の家の前うろうろするのは女心ですよね、私の場合、喧嘩したからモヤモヤするから相手の家にいってはっきりさせる!の意気込みで何も言わずにいけば、機嫌よく対応されてそのまま元通り、ならありますね。

TM様、クリスティーヌが画家の妻の条件にぴつたりってのは、言うまでもないです。

だけど、クリステイーヌ側が今のところ冷静なのはアンドレの気持ちが自分に向いてないからともいえます。

アンドレに振り向いてもらえたら、冷静なクリステイーヌだって、仕事より私のほうを見てよ!てなりますって。

アンドレ側だってクリステイーヌに恋心もってないから、こんな普通な対応なんです。

相手がオスカル様のときとはあきらかに違うでしょ。

皮肉なことに恋してる相手だからこそ冷静でいられないから上手くいかないんです。

でも、用は慣れることです、失敗を重ねて成長していく、人間として当たり前ですが。

今回オスカル様の成長ぶりでもわかりますよね。

そうです、アンドレの愛情をもっともっとと求めていた頃とは雲泥の差です。

彼の幸せだけを願う、もう全てを超越した愛です。

教会の話、見事当たりましたね♪

すごい!ていっても私の考えなどすぐにばれますよね。

TM様、日常生活話お好きですね。

お話に必要だと信じて今回長々と書いてみましたが、みなさん、長ければ長いほどいつ試練が訪れるかとびくびくしていましたね。







2017/09/23 (Sat) 09:07