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うさぎ

アンドレの願い⑰

会場の隅でこの光景を満足げに見つめる将軍の姿があった、その側にばあやがいた。

「申し訳ありません、旦那様アンドレがあのような大それたことを、」ばあやは孫の狼藉に何とお詫びしてよいかと胸を痛めていた。

「良い、あのはねっかえりを落とすには、あれくらいが丁度良いのだ」

「良かったのですか、アンドレなどをオスカル様と添わせても、ジャルジェ家とエドモンド家では同じ貴族でも差がありすぎます、しかも元従僕の身では、周りから何と言われますか」

「アンドレが貴族の落とし子だとわかったとき、わしは神の啓示だと思ったのだ、わしの過ちを正すときが来たと」

「この舞踏会は、どの男がオスカルを幸せに出来るかを見極めるためであった、ジェローデルの誠実な愛が勝つか、アンドレの情熱の愛が勝つか」

「オスカルが一緒にいて幸福になれる男を選べば良い、わしはそう思ったのだ、」

「しかし、オスカルはアンドレを選んだ、これで満足だ、二人がジャルジェ家を継ごうが、エドモンド家を継ごうが、好きにすれば良い!」

「二人にとっては、ベルサイユから離れ、暮らしたほうが貴族の口さがない噂に昇ることもあるまいから、そのほうが良いのかもしれんがな」将軍はポツリと言った。

そして、幸せそうな二人の姿を見つめるのは恋のライバルジェローデルも同じこと。

「私の負けですね・・・あのようにオスカル嬢の心を開くことは私には出来ない、愛する人が幸福であることを願う、これが私の唯一の愛の証・・身を引きましょう」

誰にも姿を見られることなく静かにジェローデルはジャルジェ家を去った。


その後オスカルとアンドレは肩を寄せ合い会場を去ろうと歩き出した。

しんとした中、立ち去り際に衛兵隊の兵士の一人が「おめでとうございます、隊長!」と声をかけた。

それを皮切りに次々に衛兵隊の兵士達が「良かったじゃないか」「男装のまま婿選びに出ても、平気でプロポーズするなんて、たいした度胸だぜ!」

「俺、はじめて隊長が女に見えた」「そうそう、俺もそう思った、しかしダンスしてたとき、すげー色っぽかったから、見惚れちまったよ」

「おまけにキスシーンまで拝ませてもらって、得したよ!」「隊長いくら美人でも、これだけ思われることなんてそうそう無いから大事にしなよ」

お祝いの言葉なのだが、どうも品位にかける言葉ばかりを投げかける兵士達だった。

「お前達!言いたいことばかり並べよって!」普段命令する立場のオスカルが最も恥ずかしい姿を見られたのだ、それを堂々と口にするなど、これだからこいつらはキライだ、と心の中で思うのだが、それも一瞬のことで、彼らなりの祝福がうれしくもあった。

「オスカル、いい部下達じゃないか、お前慕われていたんだな、安心したよ」アンドレは面白そうに笑った。

「アンドレ、こいつらを甘やかしてはいかん!お前ら覚えていろ、訓練で鍛えなおしてやるからな!」

「しかし・・・祝福の言葉はありがたく受け取っておく」

「お前ら、覚えておけ!こいつが私の夫となる男アンドレだ!私の男だ!」恥ずかしさを振り切るように大声でオスカルは兵士達に向かって叫んだ!

そしてさっさと歩き出した。

オスカルがあのようなことを口にするとは、と他のものと同じく呆然としていたアンドレにオスカルは、すぐさま立ち止まり、振り向いて「行くぞアンドレ」と付いて来いとばかりに声をかけた。

そしてアンドレが急いで後に続いた。

その光景を眺めていた兵士達は、「あ~、あれは完全に尻にしかれてるよ」「あの隊長相手だから、あの男も覚悟の上だろうよ」「そうだな、しかしあの女ぶり、さすがは隊長だぜ」
「アランは夜勤でいなくて良かったよ、やつは内心隊長に惚れてたからな」

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Posted byうさぎ

Comments 2

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みか

ジャルパパの狙い通り?

オスカルが幸せになれる相手、、ジャルパパも筆頭はアンドレだと思ってたでしょうけど、誠実なジェローデルというのもやはり有力候補だったのですね〜
で、婿はアンドレに決定、ということですが、オスカルは結婚しても衛兵隊を辞めないのでしょうか、、、
ということは革命でどうなるのか??、とか気になります

2015/04/09 (Thu) 13:01

うさぎ

みか様へ


ジャルパパの「お前が貴族であれば」の言葉通り、オスカルにはアンドレしかいない、とどこかで思っていたのでしょう。

この先の展開についての質問はご勘弁を、お楽しみにしていてください。

2015/04/09 (Thu) 15:28