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うさぎ

夜のフェアリー22

「どうした?アンドレ」

アンドレの顔をオスカルが覗き込んだ。

「何を黙り込んでいる?もしかして僕の家に来るのが嫌なのか?」

オスカルは心配そうにアンドレの顔を見ている。

「そうじゃない、ただ、俺なんかが伺っていいのかなって思っただけだ」

アンドレとすれば、ジャルジェ氏の真意が気になった。

友達になってほしい、とは言ったが、オスカルに自分が支援者だと知られぬように、とも言ったジャルジェ氏が、何故わざわざ俺をうちに呼ぶのだ?

屋敷に行けば、ジャルジェ様と顔を合わせる可能性だってある

ジャルジェ様は俺をどうしようと考えているのだ?


「お父様がお前を呼んでいいとおっしゃったのだ!誰に遠慮がいるものか!」

「絶対来いよ、これは命令だ」


オスカルがこんなに喜んでくれているのだから、ここは良い方に考えておこう

「わかったわかった、週末にはお前の家にお邪魔するよ」

ジャルジェ氏が純粋にオスカルとの仲を深めさせようとしているのなら、うれしいのだが。・・



そして、週末アンドレはオスカルの家であるジャルジェ邸に足を運んだ。

アンドレはあまりに立派なお屋敷なので戸惑ってしまったが、何とか気を取り直して呼び鈴を鳴らした。

しばらくして扉が開き、顔を出したのは年配のメイドだ。

「はい」

「あの、アンドレ・グランディエといいますが、オスカルは」

年配のメイドはアンドレの名前を聞いて、ああ貴方が!と気がついた。

「貴方がアンドレ?オスカル様から聞いていますよ、どうぞ中に入っていらして」

年配のメイドは微笑みながらアンドレを屋敷の中に招いた。

屋敷の中に入ればさらに立派な建物だとわかる。

天井には豪華なシャンデリアがつるされ大理石の柱が立ち並び、歴史を思わせるロココ風な家具、床に敷き詰められたペルシャ風絨毯

こんなすごい屋敷を見るのは初めてだ。

これがオスカルの家。・・・

資産家の息子たちがオスカルに近づくはずだ。

「オスカル様はお部屋でお待ちですよ、どうぞ、こちらへ」

年配のメイドに案内されてアンドレは2階のオスカルの部屋に向かった。

2階に向かう途中でも他のメイドや使用人らしき男性とすれ違う、部屋も沢山あってその中のひとつの部屋の扉をメイドはノックする。

「オスカル様、お友達がいらっしゃいましたよ」

「わかった、入ってくれ」

部屋の中からオスカルの声がした。

メイドが扉を開けるとそこは豪華な調度品や家具、天蓋付きのベッドとジャルジェ家の嫡子にふさわしい豪華な部屋

「アンドレ、良く来たな」

オスカルが座っていたソファーから立ち上がり急いでアンドレを迎え入れた。

そして横にいるメイドをアンドレに紹介した。

「アンドレ、こちらは僕のばあやだ」

「マロンといいます、いつもオスカル様がお世話になっていますようで」

「アンドレです、いつもオスカルから貴方はとても大事な人だって聞かされてますよ」

「まあ・・オスカル様がそんなことを・・」

ばあやは感激してしまった。

「それではお茶のご用意をしてまいりますね」

ばあやはアンドレの言葉にうれしそうにしながら部屋を出て行った。

「お前、ご婦人の喜ばせ方が上手いんだな」

「何のことだ?本当のことだろう」

「そうだな、確かにばあやは僕にとって大事な人だし・・」

アンドレの慣れた対応を見て、これなら父に紹介しても大丈夫だなとオスカルは思った。

「それより、すごい屋敷だな!こんなすごいお屋敷の中に入るのは初めてだ」

「そうか?慣れてしまえばどうってことはない、むしろ広すぎて誰が何処にいるのか探すのに不自由だ」

オスカルにとっては当たり前に思える屋敷の景色だがアンドレには、気後れするほどすごい。

「ともかく座れよ、楽にしてくれ」

二人は向かい合わせのソファーに腰掛けた。

するとアンドレの目線の先の棚の上に女性とその娘らしい女の子の写真が飾られているのに気がついた。

「あれは?」

オスカルはアンドレが見るほうに眼を向け、彼が何を見たのかがわかった。

「あれは僕のお母様と妹の写真だ」

オスカルは立ち上がり写真を手にして戻ってアンドレに見せた。

「お前の母親なのか・・綺麗な人だな」

「まあな、ロアンヌ村に住んでいて年に何度かしかあえない間柄だが・・」

しかし、そろそろ学校も休みに入る頃だ。


「お前もロアンヌ村出身だったな、休みには村に戻るのか?」

「ああ、休暇は村に戻るつもりだ、家をそのままにしてあるからな、母さんの墓にも行かなければ・・」

アンドレの母の墓はロアンヌ村の墓地にある。

「では向こうで会えるな、思えば僕はあまりゆっくり村を歩いたことが無いんだ」

「それなら、俺がお前を案内してやるよ」

ロアンヌ村での休暇をアンドレと一緒に過ごせる、今まではロアンヌ村に行っても退屈でしかなかったがアンドレと一緒に過ごせるならきっと楽しい。

オスカルは思わぬ楽しい計画に今から心が弾む。


扉をノックする音がしたと同時にばあやの声がした。

「オスカル様お茶が入りましたよ、良いお天気ですのでサンルームの方にご用意いたしました」

「わかった、ありがとう」

「行くぞ、アンドレ、庭を見ながら茶を飲もう」

オスカルとアンドレは一階にあるサンルームに移動した。

サンルームはガラス窓の向こうに美しい庭が見えるし、太陽の光のため明るくて暖かい。

テーブルの上には豪華な柄のティーポットにティーカップに角砂糖入れ。

やや大きめの皿には何種類ものクッキーが綺麗に並べられている。

明るいサンルームで二人だけのためのティータイムの準備が出来ていた。

なんとも美しくて美味しそうな景色だ。

「どうぞ、ごゆっくり」

ばあやは二人のためにミルクティーを注ぐとサンルームから出て行った。

「すごいな一流カフェを貸しきったみたいだ」

このような豪勢なティータイムはアンドレには初めての経験だ。

「いちいち大げさだな、立っていないで早くこっちに来て座れよ」

オスカルは先に座りながらアンドレに声をかけた。

「では・・失礼」

緊張気味にすわり、ばあやが入れてくれておいたミルクティーを口に運ぶ。

「うん、この紅茶は美味いな」

「マリアージュフレールのマルコポーロだ、香りも甘くて私のお気に入りなんだ」

「このクッキーも美味い」

「それはばあやの手作りだ、ばあやは私のおやつ作り担当でもある」

オスカルはこんな大金持ちの令息なんだと改めてアンドレは自分との差を痛感する。

手にしたクッキーをしみじみと眺めてみる。

オスカルはそれに気がついた。

「どうしたアンドレ?」

「いや、俺はおやつにこんなおしゃれな菓子は食ったことなかったな・・」

「それでは、お前はどんな菓子なら食べたことがあるのだ?」

「そうだな、俺の家では栗を焼いたのとかパンケーキなんかなら母さんが作ってくれたことがある」

「しかし、それはめったに食べられないおやつだ」

「腹がすいたら残りもののパンに砂糖をつけて食べてたな」

パンに砂糖を?

オスカルはそのような食べ方は初めて聞いた。

オスカルの驚いた顔を見てアンドレは恥ずかしくなった。

「お前には驚きだろうが、俺にはお気に入りのおやつだった」

「そうか、パンに砂糖をな・・」

オスカルはいろんな食べ方があるのだな、と感心してしまった。


その時、サンルームの扉を開ける音がした。

「オスカル、友達が来ているのか?」

父がいきなり入ってきたのだ。


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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2018/05/06 (Sun) 20:56
うさぎ

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

そうですね、オスカル様アンドレを友人として父が認めてくれてかなりご機嫌です。

しかし、アンドレは・・・

うれしいものの、ジャルジェ氏に近づくことは、秘密がばれる危険性も増えるというもの。

サンルームはまさにおうちデート♪

オスカル様とアンドレは貧富の差が激しいのでアンドレの話はオスカル様には驚きの連続です。

いよいよジャルジェ氏登場!一体どんな話になるのでしょう?

2018/05/07 (Mon) 11:51