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うさぎ

夜のフェアリー29

「オスカル・お前どうしてここを?」

あまりに突然なオスカルの訪問にアンドレは驚いてしまった。

「お前森の側に住んでいるっていってただろう?そこでこの近所に住んでいる人に聞きながらやってきたんだ」

俺を訪ねてわざわざ屋敷から離れたこの場所まで歩いてきたというのか?

「それよりお前、いつになったら家に来るんだ、あんまり遅いから待ちかねたぞ」

オスカルはいささか憤慨したようにアンドレに問いかける


「遅いっていっても学校で別れてからまだ4日だぞ」

「まだ4日じゃない、もう4日だ」

オスカルがすねるように言うのでアンドレは可笑しくなった。

ポツン ポツンと水の音がなったかと思うと、雨が振ってきた。

「雨が降ってきたな、早く家に入ろう!」

アンドレは急いで鍵を開けてオスカルを家の中に招き入れた。


家の中はオスカルの住む屋敷とは比べ物にならない簡素な庶民の家だ。

ここがアンドレの生まれ育った家・・・

オスカルはこのような飾りも何も無い家は初めてでキョロキョロしてしまう。

「何も無くて悪いが、お茶でも入れるよそこのテーブルの椅子に座って待っててくれ」

アンドレはオスカルのためにお茶を沸かしてコーヒーを入れた。

「コーヒーが入ったよ」

「ありがとう」

二人は向かい合わせで座り、コーヒーを飲み始めた。

そこで改めて先程の話の続きをした。


「せっかくロアンヌ村に戻ったんだから、神父様だけでなく、懐かしい人にもあっておこうと思ったんだ」

アンドレの・懐かしい人?

「それにお前もお母さんと久しぶりの対面なんだろう」

「他人の俺がいては邪魔だろうと思って少し間を空けて行くつもりだったんだ」

アンドレとしては、ジャルジェ氏からの誘いとはいえ、すぐにお邪魔するのはずうずうしいかなと気を利かせたつもりだ。

しかしオスカルは、すぐに反論してきた。


「そんな余計な心配をすることは無い!」

「お母様は僕を息子としてではなくジャルジェ家の跡取りとして扱う人だ」

「だから大げさな親子の対面などはしない!」

僕はずっと・お前を待っていたのに・・

オスカルはアンドレが自分の気持ちを理解していないのが腹立たしくイライラした。

しかし、その先の本音の部分を言うときは、心なしか小さな声になっていく

「それより・僕は・お前とこちらで過ごすのを楽しみにしていたのに・・なかなかお前が来ないものだから・心配になって」


こんなにもオスカルが俺を待っていてくれていたなんて思わなかった。

オスカルが俺を必要としてくれているのはうれしい・・

「それは悪かった、俺も結局会いたい人には会えなかったんだ」

「話したいことが一杯あったのに残念だったよ」


アンドレがこのロアンヌ村で会いたい人・・・!


アンドレが寂しそうに言ったので、もしや!と思いオスカルはショックを受けた。


実は・・・ずっと忘れられない人がロアンヌ村にいる

あきらめようとしたんだが、今でも思い出すんだ、あのシルフィードを・・


アンドレにはロアンヌ村に好きな人がいたんだ!!

忘れようとしても忘れられない人・シルフィードが、このロアンヌ村にいる!


雨の音が激しくなってきた。

アンドレは窓から見える雨の様子を眺めた。

「すごい雨だな、お前、帰れそうにないぞ」

しかしオスカルは黙ったまま考え込んでいた。

「オスカル・・?」


もしかして、アンドレは彼女に会うために戻ってきたのか?

僕との約束など忘れて・彼女のことだけ考えていたのか?

オスカルは思わず心の中の疑問を口にした。


「お前・シルフィードに会うためにロアンヌ村に戻ってきたかったのか」

突然様子の変わったオスカルの声

「何?」

「僕がお前を待ってる間・、ずっとシルフィードを探してたのか?」

思いもしなかったオスカルの問いにアンドレは唖然とした

「オスカル・・お前・一体何を?」

オスカルは一人納得しながら話し続けた。

「それはそうだろう、僕と過ごすよりも恋しい彼女に会いたいに決まってる」

「僕よりも彼女と会うほうが大事だから・だから屋敷に来なかったんだ」


自分でも勝手なことを言ってるとわかっている。

アンドレが誰と過ごそうが、誰を愛そうが自由だ

僕が口出しする権利など無い

なのに、止めることが出来ない


「彼女は・お前から離れていったのではないのか それなのに・・まだ・・」

こんなに思われていながら姿も現さない彼女をまだ思い続けている彼


「そんなに・シルフィードが好き?」


お前に会いたくてたまらないからここまできてしまったのに・・

なのにお前は 僕よりもシルフィードのことを考えていたなんて


たまらなくなって涙が出てきた。

「僕を・・一番大事だって言ったくせに・・・」


オスカルが・・・

こんなにも乱れるなんて


泣いているオスカルを見つめていたアンドレは何も言わずに席を立った。

オスカルはアンドレのその様子に まさか怒ってしまったのか?

それとも・あきれて 嫌われてしまったのか・・


オスカルは胸の激しい鼓動と戦いながらもアンドレの動向を見つめた。

アンドレはオスカルのすぐ側まで来るとオスカルの足元にひざまずきオスカルの顔を見上げた。


俺とオスカルとは生まれも育ちも違っていて、こんなに近くにいても遠い存在だ

オスカルに執着してはいけない

いずれジャルジェ家当主になるオスカルの邪魔になってはいけない、そう意識していた。


「俺がこの村で会いたかったのはお世話になった先生や友達だ」

「しかし幼馴染の友達たちは、仕事に就くために村を出て行き、世話になった先生も転任していった」

「寂しいとは思ったが、それも仕方ないとあきらめられた」

「だって俺が一番会いたいのはお前だから」


だが、オスカルお前が俺を求めてくれるのなら

お前が俺を必要としてくれるなら

俺はもうこの心を止めはしない


「俺が寂しいと思った時、顔が浮かんだのはお前だ オスカル」


「もう俺の胸に シルフィードはいない」


オスカルはアンドレの言葉に衝撃を受けた。

まさか彼がこんなことを言ってくれるなんて!!


「もう一度言うよ」

「オスカルお前はこの世で一番大事なやつだ」


そういってオスカルの涙を拭い去った。

しかしオスカルの眼からは次々涙が落ちてくる。


「アンドレ・アンドレ・・」

涙に詰まりながらも必死で口にした。


「僕もお前がこの世で・一番大事なんだ」


外は降りしきる雨

しんしんと部屋の中が冷えてきた。


だけど僕の心の中は暖かくて・・・


お前が僕の心に 優しい灯をともしてくれたから


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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 9

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2018/05/13 (Sun) 14:35

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2018/05/13 (Sun) 14:45

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2018/05/13 (Sun) 20:18
うさぎ

うさぎ

No title

AMA様こんにちは。

雨の日の再開でお互いの気持ちをも再確認した二人です。

といってもこれが恋心なんだよと確信してはいないのがもどかしいのです♪

まだ十分ヤキモキしますので、我慢してみてやってください!

2018/05/14 (Mon) 15:57
うさぎ

うさぎ

Re: 幸福にしてあげてください

YU様こんにちは。

再開お待ちくださってありがとうございます♪

やはり女だということを隠して生きるのは周りから見て残酷なことですね。

そして女だと回りが知っていても男としての人生を強いられるのは、同じくらいひどい話です。(しかも命をかける仕事の軍人ではあまりに辛い)

今回の作品は、性を偽る辛さを持つオスカル様です。

両親は自分たちの身の保身のためにオスカル様を男として育て、罪悪感からか、あまり寄り添うこともせず孤独なオスカル様になりました。

だからこそ、アンドレの愛情が必要で、これなら複雑な恋模様が出来るかと思い作成しました。

でも、見ている方には私が思っていたよりも痛々しさを感じるのですね、驚いています。

この先の展開をどう感じられるかわかりませんが、今回のお話はいきなり幸せにはならないので、気を長く置いていただきたいです(汗)



2018/05/14 (Mon) 16:11
うさぎ

うさぎ

Re: ついに心が結ばれた2人♡。。ん??

TMO様こんにちは。

拍手一番乗りはTMO様だったのですね♪

TMO様、雨ってお話に便利なんですよ、二人きりになるきっかけになります♪

今回は、オスカル様がシルフィードに嫉妬したから起こる出来事でしたね。

アンドレが会いたい人に会えなかった、話でオスカル様誤解して嫉妬しました。

そりゃ、アンドレに会いたくてはるばる訪ねながら会いに来て、アンドレはその気持ちをわかってないし。

しかも、他の女の子に会いたくて自分のことほったらかしていたって誤解すれば、嫉妬もしますって(笑)

本当にこのお二人は親友という殻を被った恋愛ですから、複雑なことこの上ないです。

やはりアンドレのひざまずくシーンなどは原作を思い出してしまいますね、意識しなくてもやっぱり想像してしまいました私も。

シルフィード、オスカル様なんだから複雑でしょうけど、オスカル様だって知らないし、過去に好きだった子よりも今目の前にいる(しかも男だと思っている)オスカル様が好きだというアンドレに拍手を贈ってやってください。

抱擁は出来るでしょうけど、口付けは今の時点では出来ません、お互い男同士って思ってるから、無理ですわ。

まだ、アンドレ邸で過ごす様子を描きます。

わりと心穏やかな感じだと思いますよ♪





2018/05/14 (Mon) 16:27
うさぎ

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

自分以外の女のこのこと考えていると誤解したオスカル様。

自分は今か今かと待っていた分、激しい嫉妬に教われました。

しかし、それを解消してくれたのも彼の優しい言葉。

それどころか、今では自分のほうが大事だって言い切ってくれた、これを感激しない女の子はいません。

ますます結びつきが強まったお二人です。

やはりアンドレのひざまづく様は「サワサワの夜」のイメージですね。

AN様原作イラストの涙を流してアンドレに抱かれているオスカル様まで連想しましたか、(あれ、いいですねえ♪)

今日は穏やかなお二人ですよ。

2018/05/14 (Mon) 16:36

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2018/05/14 (Mon) 17:35
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

KOA様こんにちは。

先日KOA様がコメントくれたその日が再開の日でした。

アンドレ、父上に気に入られておよばれが続いています。

しかし母上にはどうかなあ?

KOA様グランゼコールなどむつかしいこと知ってるのですね、ぜんぜん知らなかった。

でも若いからって、そこまで描くとは限らないですよ、ねた切れで、早々に終わるかもです。

5部まではいかないでしょう、そんな大河ドラマみたいなの無理ですわ。

「オスカルの選択」の「その後」みたいなのならわかるけど、本編は長くは続かないかと、思います、といっても細かくは考えてないんですが。

2018/05/15 (Tue) 16:28