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うさぎ

夜のフェアリー30

夜になっても雨はやむことは無かった。

窓からの景色は真っ暗闇だ。

「この様子だと明日まで雨はやみそうも無いな」

「こんな土砂降りの中、帰るのは危険だ、お前今夜は泊まっていけよ」

「え!ここに?」

「そうだよ、こんな粗末な家で悪いが」

オスカルが焦ったのは、アンドレと二人きりでこの家に泊まるからだ。

アンドレからすれば男同士だから何も問題は無いが、オスカルは実は女で、アンドレとは異性・・・若い男女が二人きりで一夜を共にする。・・

しかし、ここから屋敷までは距離がある、しかも明かりも無い道を、この土砂降りの中歩いて帰るのは危険だ。

ここはアンドレのいうとおり泊まって行くしかない。

「い、いや・・とんでもない、ありがたくお前の家に泊めてもらう・・」

オスカルは覚悟した。

「では、夕食でも食べるか」

「俺がご馳走してやるよ」

オスカルが緊張しているようなので、気を取り直すようにアンドレが明るく夕食の提案をした。

「え、お前が作るのか?」

「ああ、母さんが寝込んでから良く作ったものさ」

オスカルは驚いた、コックでもないのに男が料理を作るなど、しかもアンドレのような若い男子が。

しかしアンドレはそんなオスカルの気持ちなどお構い無しに料理を作りだした。

野菜の皮をむいたり刻んだり、ベーコンを切る、それをなべで煮込んでスープを作り上げた。

そしてパンを切って焼いたものを木の皿に入れて、その横にバターを添えて、あっという間に野菜スープとパンの夕食の支度が出来た。

それらの料理と水が入ったコップをテーブルの上に並べた。

「出来たぞ」

オスカルの家での夕食と比べるとかなり簡単で質素な夕食だ。

オスカルが料理をあまりまじまじと見つめるものだからアンドレは申し訳なさそうに言った

「お前の家の料理とは雲泥の差だが、ここではこれが普通なんだ、お前が来るとわかっていたら肉でも買っておくんだったな」

アンドレに言われてオスカルは自分の普段当たり前に食べている料理はかなり贅沢なんだと気がついた。

自分は料理など一切作ったことが無い、それなのにアンドレはお母さんが生きていた頃から夕食の準備をしていたのだ。

簡単で素朴な料理だが、これは彼が私のために作ってくれた愛情ある料理だ。

文句など言えば罰が当たる。

オスカルはありがたくいただくことにした。

「ではありがたくいただく」

オスカルは野菜スープを食べてみた。

味はほとんど野菜から出た味で後は塩と胡椒のみといったところだ。

単純な味だがそれなりに・・美味しい

「うん、美味しいぞ」

「本当か?」

「なんとなく癖になる味だ」その言葉通り、スープを口に運んだ。

「パンをスープに浸して食べても旨いぞ」

アンドレが実際自分がパンを手にしてスープに浸したのを食べて見せた。

それを見てオスカルも真似して食べてみた。

「うん、パンにスープの味がしみて美味しいかもしれない」

「そうだろう、食べ方ひとつで味は変わるんだ」

アンドレの言うとおり、スープとパンだけでも食べ方を変えれば違う味が楽しめる。

アンドレは何もない中でもオスカルに美味しく食事をさせてやりたかった。

そしてスープとパンの夕食を食べ終えた。

しかし、オスカルとしては、これだけでは物足りない。

「あの・・・デザートは無いのか?」

オスカルはいつも食事の最後にはデザートを食すのが常だ。

オスカルの言葉にアンドレは困ったような顔をした。

「悪いが、食べ物はこれだけなんだ、俺の家ではデザートなどめったに食べないよ」

「そ・そうか、別にいいんだ」

アンドレは、オーランドで贅沢な食事に慣らされたとはいえ、ロアンヌ村に戻れば、元の生活に戻る。

貧しかったアンドレの家庭ではデザートを食べる習慣など無いのだ。


「パンならまだあるからコーヒーと一緒に食べないか?」

「いや、いいんだ、気にしないでくれ」

しかしアンドレは立ち上がってコーヒーの支度をして残りのパンを切ってテーブルの上に準備した。

コーヒー用のミルクと砂糖を見てオスカルは思いついた。

「あの・アンドレ、パンに砂糖をつけて食べてみてもいいかな?」

オスカルは以前アンドレが教えてくれた砂糖つきのパンの話を覚えていて、食べてみたかったのだ。

「あ・ああ いいけど、お前そんなの食べるのか?」

アンドレにすれば、オスカルの家のデザートと比べればおやつとも言いがたい代物だ。

しかしオスカルは、もうパンを手にして砂糖をふりかけている。

それを口にしてみると、パンに砂糖の甘さが上手くはまり、その上砂糖の触感が面白いのだ。

「これ、いけるな」

オスカルは再び砂糖をふりかけた。

「アンドレ、お前も食べろよ」

「じゃあ、俺も久しぶりに食べてみようかな?」

オスカルに勧められてアンドレも同じようにパンに砂糖をふりかけ食べてみた。

「久しぶりだな、懐かしい味だ」

「アンドレ、これって最高のデザートだな」

オスカルが砂糖つきのパンを気に入ってくれたのがアンドレにはうれしかった。

砂糖つきのパンを二人で食べてコーヒーを飲む

いつものように贅沢なおやつではないが、なんだか幸せな気持ちになる

こんな粗末な食事だがオスカルにはアンドレの愛情を感じる晩餐になった

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

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2018/05/14 (Mon) 21:14

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2018/05/15 (Tue) 08:16

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2018/05/15 (Tue) 14:48
うさぎ

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

AN様のいうとおり、アンドレ邸にお泊りとなりました。

オスカル様にとってアンドレの家も料理も始めての雰囲気。

おぼっちゃま(本当はお嬢様)だから貧しい家庭で過ごすのははじめての経験でした。

そのせいで、アンドレから聞いたお砂糖のパンに興味を抱き、喜んで食べるところが素直でしたね。

AN様にいじらしく思われうれしいです♪

男同士なため、進展が難しいですが、しかし男同士(?)だからこそ一番側にいられるというメリットもあるんです♪

今日も仲の良いお二人を楽しんでください♪

2018/05/15 (Tue) 16:34
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

KOA様こんにちは。

アンドレの家、当然電話はございません。(きっぱり)

最近の少女マンガは、彼氏の家にお泊りなら大胆な展開多いようですね。

私のも無いとはいえませんが、今回は男同士(だと思ってる)お互い恋人同士ではない、かなり若いので、そんな展開にはならないのです。

じゃるままは、オスカル様が何処にいったかわからないので放置するしかないのです。

まだお二人の時間は続きますよ♪

2018/05/15 (Tue) 16:41
うさぎ

うさぎ

Re: 甘いディナー♡。。かな?

TMO様こんにちは。

時代設定は、少し昔なので大雨が降れば外に出るのは危険です。

だからお泊りするのは当然、しかもアンドレからすれば男同士、何の問題もないかと。

電話もありません!だから連絡も出来ません。

だから邪魔は一切入りません、でも何もないんです、男同士(?)だから。

それでも二人でいるとお互いの生まれや育ちの違いってわかるものです。

今回はそれを描きました。

アンドレ推しのTMO様には、今回のオスカル様の態度に厳しい評価でしたか。

仕方ないんです、コックが作った料理しか食べたことが無いオスカル様には、家庭の料理の味は初めてだったんですから。

だんだんと慣れてきたようでしたし、あまりに違いすぎる家庭の差に驚き戸惑ってしまいましたが、二人でいれば楽しくなってくるんです。

一気に進まないのが今回のお話の醍醐味(?)です。

男同士(?)の設定で萌えはあるのか、この先で証明できると思うのです。

2018/05/15 (Tue) 16:53