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うさぎ

夜のフェアリー32

アンドレが言ったとおり翌日は雨が上がりよいお天気になった。

早くからアンドレが起きて、朝食を作り始めた。

フライパンを暖めてバターを落とし、卵を焼いていく。

料理を作る音でオスカルは眼を覚ました。

ここは一体何処だろう?

いつもと違う部屋の景色にオスカルは思わず驚いた。

が、しかしすぐに夕べのことが思い出された。

そうか!夕べはアンドレの家に泊まったのだった!

では、アンドレは隣に寝ているのか?

隣のベッドを見れば彼はもういない。

オスカルも急いで起き上がり、服に着替えた。


隣の食堂に行くとアンドレが朝食を作り終えたところだった。

「おはよう、今お前を起こしに行くところだったんだ」

「おはよう・・・」

「朝食が出来たところだ、早く顔を洗って来いよ」

「あ・ありがとう、そうする」


オスカルは急いで顔を洗うとアンドレはコーヒーを入れて待っている。

「近所の家で卵を分けてもらってオムレツを作ったよ、食べてくれ」

アンドレのいうとおり、テーブルの上にはパンとオムレツとが並んでいる。

「飲み物はコーヒーで我慢してくれ、ミルクを多めにしてカフェオレにしたんだ」

目の前でミルクを注ぎオスカルにカフェオレ入りのカップを手渡した。

「お前はミルクティーが良かったんだろうが、紅茶は高級だから、俺の家にはないんだ」


アンドレが言うように紅茶は高級品だ、だから庶民にはコーヒーが精一杯の嗜好品なのだ。

しかし、気分だけでもミルクティーに近づけようとカフェオレにしてみた。

オムレツだってオスカルがいるからわざわざ近所で卵を分けてもらいにいったのだ。

自分が来たせいでアンドレに気を使わせてしまった。


「僕がいるとお前に面倒をかけるな」

申し訳なさそうにオスカルがいうのでアンドレは笑った。

「何を言ってるんだ、俺はお前が来てくれてうれしかった」

「それより、早く食べて出かけよう」

「うん、ではいただきます」


二人は朝食を食べ終えると、アンドレの母が埋葬されている墓地へと出かけた。


途中の道で花を買うために花屋に立ち寄る。

花屋には一人のおかみさんがいて、アンドレを見ると喜び声をかけられた。

「アンドレじゃないの!都会の学校に行ったって聞いてたけど?」

「おばさん、久しぶりです、学校が休みなので・今日は墓参りの花を買いに来ました」

「そう、お母さんのお墓参りに戻ってきたのね」

おかみさんは花を準備しながら夢中で話しかけてきた。

「やはりパリの学校に進学してたのね、良かったわ」

「あんたはお母さんの代わりにバラ園に働きに出るくらい親孝行な息子で、いつもお母さんを助けていたわ」

「勉強熱心で優秀で、お母さんにとっては自慢の息子だったわね、そのあんたが上の学校にいけるようになったなんて」

「きっとお母さんもあの世で喜んでいるわ」

おかみさんはアンドレがいかに親孝行な息子だったかを熱心に話した。

しかし、当のアンドレはおかみさんに褒められるのがうれしそうでは無く、むしろ困っているように見える。

「これから母さんの墓参りに行くので、これで失礼します」

「では、オスカル行くぞ」

「あ・うん」


花を受け取ると、オスカルを誘って早々に花屋を立ち去った。


「先程のご婦人はお前のことを良く知っているのだな」

「あ・ああ・花屋のおばさんは母さんと友達だったからな」

「しかし、お前お母様の代わりにバラ園で働くなど、感心だな、なかなか出来ることではない」

「働かなくちゃ食っていけない、そのためにやっただけだ、別に褒められる行為ではない」

オスカルに感心されたがアンドレの返事は否定的だった。

母親思いといわれるのが恥ずかしいのかな?


墓地に着くと早速花を飾り、母の墓にアンドレは話しかけた。


「母さん、今日は俺の友達が一緒なんだ、オスカルって言うんだ」

先程の緊張した顔とは違い優しそうな顔で語りかけている。

ほっとした気持ちでオスカルはアンドレの横で同じようにひざまずいて祈りを捧げた。

オスカルはアンドレの母の墓の前でしばらく、じっとしていた。

祈り終えた後、アンドレに話しかけた。


「お前とお母様は本当に仲の良い親子だったんだな」

「お前のその様子でわかるよ」

アンドレはお母様がご健在なときから、何かとお母様を助けていたんだ

疲れて帰ってきたお母様のために料理を振舞ったり、コーヒーを入れてあげたり・・僕にしてくれたように、彼ならきっと優しい親孝行な息子だったろうな

そしてお母様は誰よりアンドレを頼りにして、二人はとても仲の良い親子だったに違いない。


「僕もジャルジェ家のような大家でなく、お前のように庶民の家に生まれていれば、お母様と、もっと心を通い合わせられたのかな?」


オスカルと母の二人の間には常にジャルジェの家がある

そのため母はオスカルに距離をもって接し、オスカル自身もそんな母に甘えることが出来ないでいる

庶民の家に生まれ育っていれば、アンドレのように、母に愛されて・・そうすれば僕ももっと素直に甘え上手な自分になれたのかも・・


「僕はお前がうらやましい・・」

ポツンといったオスカルの言葉がアンドレの心に響いた。

それにアンドレも返した。


「オスカル・俺はお前がうらやましいよ」


オスカルは思いもしなかったアンドレの言葉に驚き彼の顔を見た。

その顔は暗く悲しそうで、いつもの彼と違う


「お前のような金持ちの家に生まれていれば・・俺は母さんを死なせずにすんだ」


突然のアンドレの意外な言葉にオスカルは心乱れた

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 6

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2018/05/16 (Wed) 21:27

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2018/05/17 (Thu) 12:47

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2018/05/17 (Thu) 15:00
うさぎ

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

お泊りの次の日は、そう、二人そろってアンドレママンのお墓参りです♪

対照的な悩みを持つお二人。

お金があっても愛が無い、愛があってもお金が無い。

そんな二人が出会えば、一度はこのような話が出てきます。

いつもはオスカル様側の悩みでしたが、今回は初めてアンドレの苦しみを明かします。

オスカル様は、アンドレの悩みを解消できますでしょうか?

2018/05/17 (Thu) 16:26
うさぎ

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Re: No title

KOA様こんにちは。

隣の芝生、まさにそうですね、自分が持ってるものは当たり前だから他人の持ってるものがさらに良く見えるのはよくあること。

しかし、このお二人の場合は、それが極端なんですね。

アンドレの未来が医師とは!それは新しい考えですね!思いつきませんでした。

オスカル様は、今のところ実業家・ですが、お金さえあればあたらしい仕事も出来ますし、それか、なーんにもしなくても暮らしていけます!

今日はオスカル様が貧しいことがいかに大変かを学びます。

アンドレの家で少し学びましたが、今回はそれらを含めていかにアンドレが貧しいせいで苦しい目にあったかがわかる場面です。

2018/05/17 (Thu) 16:36
うさぎ

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Re: アンドレの困惑は?

TMO様こんにちは。

最上秀樹は私も驚きました、今芸能界であのような男らしいかっこよさがある人いないなあ、なんて寂しい気持ちがしました。

朝食はアンドレの作ったオムレツとパン、そしてカフェオレ。

思いやり溢れる彼らしい朝食です、そんな彼の優しさにオスカル様がじんと来ないわけがないのです。

お花を買う場面はおわかりですね、お母さんが亡くなってしまったいろんな悲しみや苦しみが彼の中で渦巻いていたことは。

アンドレの家に来てから、いかにオスカル様とアンドレの暮らしが違うか描いてきました。

今回はそれをアンドレの口からオスカル様に話します。

オスカル様とアンドレ、このお二人の悩みは本当に対照的で、どちらも比べられないくらい深い悩みです。

でもアンドレはオスカル様の本当の悩みを知らないから、オスカル様には理解が出来ないだろうな、なんて思っちゃうんです。

一章でオスカル様が跡継ぎになる苦しさをアンドレがわかっていないと怒ったのと同じです(本当は女だから悩みが深いんですが)

お互い本音で話し、さらにつながりを深くしていく、今回はそれを描いていきます。



2018/05/17 (Thu) 16:53