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うさぎ

夜のフェアリー73

しばらくそのまま抱き合っていたが、アンドレのほうからオスカルに声をかけた。

「オスカル」

「うん?」

「お前の・その姿を、もう一度良く見せてくれないか」

「え?」

アンドレは抱きしめたその手を解いてオスカルの両肩を握り締め自分から距離をおく。

少し離してじっと見つめる。

巻いた布を解いたせいで胸がきつくて白いブラウスのボタンが二つばかり開いたままだ、その奥にはわずかに見える白い胸の谷間。

金髪の髪に真っ白い肌が映えその姿は神々しいばかりに美しい

男装スタイルがさらに色香を感じさせ見蕩れるばかりだ。

「オスカル・綺麗だ」

見つめられるほうのオスカルとすれば、自然にカァッと顔が紅くなる。

オスカルは急いで胸元を隠す。

「あ・あんまり見るな」

「だって・あんまりお前が綺麗だから・いつまでも眺めていたい」

そしてさらに見つめながら楽しげに言う。


「でも、これは俺だけの特権だな、他の男は誰も知らないんだ」

もう一度オスカルを抱き寄せた。


幸せそうな彼の姿だが、オスカルにはまだ伝えるべきことがある。

「アンドレ」

「何?」

「ロアンヌ村の花祭りの夜、お前はシルフィードと出会ったんだったな?」

「そうだが?」

何故、突然に?

「実は、僕も花祭りに出たことがあるんだ」

「そうか、俺も毎年参加していたが、あわなかったな」

「いや・・会っているんだ、お前とは」


オスカルは語りだした、あの懐かしい時の記憶を


「イヴリンが花娘に選ばれて母は喜んでイヴリンが着るドレスを僕に見せた」

「僕には男物の正装をくれて・その様子を見ていたばあやが僕を不憫に思ったのだろう、ドレスを準備してくれたんだ」

「僕はそのドレスを着て祭りに出て行った、別の人間になった気分で、初めてのドレスに気分を高揚させて」

「誰も僕だとわからない、ただの女の子になって、祭りの踊り場会場にやってきた」

「みんな輪になって楽しげに踊っていた、僕も誘われ輪の中に入り踊った」

「しかし、輪舞の曲が終わった後、パートナーのいない僕は一人立ちすくんでいると、一人の青年が僕の前に現れた」


最初は熱心に聞いていたアンドレだが、話が踊り場に差し掛かったとき、顔色が変わった。

「まるで夜の闇のような黒い瞳に黒い髪を持つ青年だった」

「青年は、僕に手を差し出し踊りに誘ってくれたんだ」

「僕は初めて女の子としてのダンスを彼と踊った、彼と踊るダンスはまるで風に乗って飛んでいけるように自由に舞えた」

それまで夢見るような目で話をしていたオスカルがアンドレのほうに眼をやった。

「踊り終えた後、彼は僕に名を名乗った」

「僕の名は、アンドレ、と」

シルフィード・・・

「お前が・・あの時の・・」

あまりの驚きに声がくぐもった。

「シルフィード・・・なのか・・?」

しかしオスカルはあの時の返答をした。


「オスカルだ」

「僕の・名は・オスカル」

「そして、お前のシルフィードだ!」

言い放った後、両腕をアンドレの首に巻きつけるように抱きついていった。


その時、アンドレの心の中に一陣の風が吹いた。

あの時の景色がよみがえる

薄暗い森の中、木々が風に揺れ、ほのかに光るランプの灯り

金髪の髪に蒼い瞳 白いドレスに身を包み,音楽に誘われ、その姿を現した、風の妖精

目の前のオスカルにその姿が重なる

「オスカル・・・」


会いたいと願い続けた人

もう一度会って、この思いを伝えたかった人が・ずっと目の前にいた。


胸が高まりどうしようもなく愛しくなる

オスカルを強く抱きしめ、もう一度呼んでみる

「オスカル・俺のシルフィード・・」


オスカルの心に歓喜の渦が押し寄せた。

僕達は、花祭りの踊り場で出会い、互いに惹かれあう運命だったんだ


愛してる・・


そしてオスカルの抱きしめながらももう片方の手で彼女の頬を捉えて唇を寄せた。

オスカルは目を閉じて彼の口付けを待つ。

腕の中のオスカルを熱く見つめ、次の瞬間覆いかぶさるように口付けをした。

いつもより強く強引な口付けに彼の情熱が伺える。

魂まで持っていかれそうに激しく口付けされた。

しばらく重ね合わせた唇が名残惜しそうに離れたかと思うと、その後彼はオスカルの首筋に唇を移した。

首筋のあちこちに口付けされ、オスカルは戸惑ったが、彼の情熱を受け止めようと、じっと耐えた。


ブラウスのボタンが彼の手によってひとつふたつとはずされオスカルの胸に触れた。

いつもと違う愛情の行為に驚いた。

「アンドレ・何を?」

「お前を傷つけたりはしない、だからじっとして・・」


その瞬間耐えられずにオスカルは身をよじって逃れようとするが、すぐに両腕を拘束されてしまった。

アンドレはそのままオスカルの肌の上を滑らせるようにして唇でなぞっていく

やがてオスカルの胸にたどり着き、そこに口付けされたとき、オスカルは気が遠くなり、甘い吐息を漏らした。

その時、自分は何と女なのだろうと痛感した。

彼が怖いくせに、彼に求められることがうれしいなんて・・、こんな矛盾した感情があるなんて・・

これが愛する男を求める感情なのか?

しかし、アンドレはそれ以上は求めては来なかった。

名残惜しそうにオスカルからを身を離し、深くため息を吐いて自分を落ち着かせた。

オスカルに向き直り、先程はずしたブラウスのボタンをはめる。

「ごめん、怖かったか?」

「い・いや・・平気だ」

オスカルは平気なふりをして返事した。

しかし、アンドレにはお見通しだ。

「本当は怖いんだろう?」

「でも安心しろ、これ以上は何もしない、俺はまだお前を奪う権利など無いからな」

「権利など・・僕はお前なら・・何をされても・平気だ」


オスカルの返答をうれしく思い、今度は軽く抱き寄せた。

「うれしいよ、オスカル・・」

「だけど、今はこれで十分だ、俺はまだまだこれからも努力していかねばならないんだ」

「いつかお前と本当の意味で結ばれるために」

アンドレの言葉に不安を覚えた。


僕達が本当の意味で結ばれる、本当にそんな日がくるのだろうか?

けれど・・・

オスカルはアンドレをじっと見つめた。


彼といられるのなら、彼と愛し合い一生涯を共にすることが出来るなら

僕は女に戻れなくともかまわない

隠れて愛し合う運命でもお前とならば・・


「アンドレ・・」

「生涯、僕だけを愛し続けるか?」

オスカルの問いに戸惑うことなく答えた。

「ああ・もちろんだ」


オスカルはアンドレのその胸に手を置き、自らの身体をゆだねていった。

彼の胸に頭を預けると心臓の鼓動が聞こえる

僕が愛する人がここにいる、しかもその人も僕を愛してくれている


「今・ここで誓いの口付けをして・」

言い終わらぬうちに彼の唇がおりてくる。


先程の口付けと違い、ゆっくりとした動きでオスカルの唇を捕らえ重ねていく。

重なり合った瞬間にお互いが目を閉じ、動きが止まった。

それは生涯互いを愛し合うという誓いの口付け


アンドレ・お前は僕だけの人

もう僕はお前を求めずにはいられない


だから、僕だけを見て、僕だけを愛して

もうこの恋は誰にも止められない


第三章 完


夜のフェアリー

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 13

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2018/08/18 (Sat) 22:38

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2018/08/19 (Sun) 11:56

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2018/08/19 (Sun) 13:56

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2018/08/19 (Sun) 16:19

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2018/08/19 (Sun) 17:39

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2018/08/19 (Sun) 18:25
うさぎ

うさぎ

Re: No title

AN様こんにちは。

いきなり女の証拠を見せられ、しかも初恋のシルフィードだといわれ、アンドレには信じられないことの連続でしたね。

特に最終回は甘かったですね♪

お肌に口付けの嵐に誓いの口付けまで行きました!

イラスト、あれでも苦労したんですよ、身体が太すぎる細すぎる腕の長さや顔の表情などなど(結局よくわからなくなりましたが)

それでも褒めてくださってうれしいです♪

そうです、しばらくお休みです、といっても脳内は物語のこと考えていそうだけど。

AN様、毎日コメントいただいてとても励みになっていました、本当にありがとうございます♪

2018/08/19 (Sun) 19:11
うさぎ

うさぎ

Re: イラスト妖艶で素敵!

TMO様こんにちは。

イラストあのようなので良かったでしょうか?

絵というものはどんなに苦労して書いても思い通りにかけるとは限りません。

今回のもかなり時間をかけたのですが、それでも満足したとは言いがたかったです。

妖絶ですか、そう見てくださればすごくうれしいです♪

部分拡大!そんな手があるのですか?(やばい、アラが見えてしまう(汗))

オスカル様一肌脱いで、もいちどブラウス着た後のほうがアンドレ大胆になりました!

そりゃあ、いきなり脱いで驚いてそのまま押し倒すわけないですからね(笑)

落ち着いてからエッチな気持ちになるんですよ(笑)

TMO様こうなるのは予想してなかったんですね、しかし、最後までいかず、ちょっと残念・かな?(笑)

さて、第三章でやっと男女の仲だとわかりました、長かったですね。

第二章でA、第三章でBとは!本当ですね!(TMO様、すごい発見です)

そーいえば第一章ではまだキスもしてませんでした!(あの時は完璧に男同士の友情だったんだ)

しかし、TMO様のいうとおり、これからアンドレの新たな苦悩が始まるのですね。

今まで男同士だとあきらめていた欲望がさらに高まるのですから。

第四章はね~、Cはきついなあ、何せお二人はまだ未成年なんですよ、しかも高校生くらいの。

五章があれば可能かもですが。

でも第四章でも100回超えるんではないかな?

ともかくTMO様の妄想に負けぬよう私も想像を膨らまし、何とか続きを書いていきます。

TMO様いつもいつもコメントありがとうございます、TMO様にいつも元気をいただいています。



2018/08/19 (Sun) 19:32
うさぎ

うさぎ

Re: やっとやっと。。☆

M.A.W様こんにちは。

そうです、ようやくシルフィードだと告白まで行きました。

けど、M.A.W様のいうとおりこれからも問題は山済みなんですよね。

オスカル様はこれからも男として生きるし、アンドレは当然恋人だといえないし、しかも彼は父上からの支援がないとオスカル様の側にいられない身ですから、いろいろと頑張らねばいけない。

M.A.W様、これまでの物語を丁寧に読んでくださったのですね。

だって第三章のお話は、オスカル様の告白のために準備されたものです。

アンドレの愛情がどれだけ深くて真実なのかを知ること。

そして自分も彼を愛していると自覚すること、そしてとどめは彼の同性ゆえに悩んでいることを知ること、それが告白するまでの道のりでした。

それをわかっていただけて感無量です。

次のお話にはまだ少し待たせてしまいますが、出来ればまた見に来てください。

ありがとうございます。

2018/08/19 (Sun) 19:48
うさぎ

うさぎ

Re: 凄いわ~🙌

KOA様、こんにちは。

すごい!といっていただけて本当にうれしいです♪

まさか、KOA様の中で「最後の恋人」を越えたって言っていただけるなんて思ってもみませんでしたから。

実は、書いてる間、私ももうそろそろ終わりかな~なんて思ってましたが、まだ少しいけますでしょうか?

第三章はキュンキュンが多いって言っていただけて、これもうれしいです。

第三章は恋人になってからのお話ですからね(同性(?)カップルだけど)

やけどのあとは、確かに萌えますね~。

恋人なら、見ておきたいって思いますよね、そしてオスカル様には見せられない事情が・ですもん。

同性(?)はいろいろと不自由ですから辛いシーンが多くてこれも萌えるんですよ♪

第四章は多分これ以上の波乱になると想像?します。

少しは考えてるところがありますが、まだまとまっていないので大幅はこれからです。

KOA様いつもありがとうございます、ご心配ありがとうございます。

2018/08/19 (Sun) 19:58
うさぎ

うさぎ

Re: No title

M55様こんにちは。

まだ見に来てくださっていたなんて感激です♪

こういうのもブームがありますからね、物語をみなくなるのも癖になります。

それなのに長くきてくださって本当にありがたいです。

多分オスカル様が女性だと告白するのを待ちかねていたでしょう。

第三章でやっとでした。

それだけ重い責務を背負わされていたということです。

イラスト良かったですか、時間はかかって完成させたのですが、もっといいのが書きたかったです(汗)

第四章、そうなんです、まだ何も解決して無いわけです。

どこまで行けば終わりになるのか、まだ私のもわからないのですよ。

頑張ってまた書いていきます。

M55様ありがとうございます。

2018/08/19 (Sun) 20:04
うさぎ

うさぎ

Re: No title

CHI様こんにちは。

イラスト褒めてくださってありがとうございます♪

オスカル様の告白に驚いたでしょうね、でも彼女らしい方法だと思うのですよ。

大胆で思い切りよく、全てをさらけ出しました。

そうそう、アンドレにすれば苦労の始まりでもあるのですよ。

シルフィードだと知ることで希望を見出し、結ばれるための努力をしていく、それも決して恋人だとばれてはいけない苦労もあります。

第四章は書くつもりです、これでは尻切れトンボですからね。

関東涼しくなりましたか、良かったですね♪でも関西も過ごしやすくなり、今日などエアコンなしでも良さそうですよ。(でも熱がりやなのでつけてますが)

CHI様ありがとうございます。

2018/08/19 (Sun) 20:10
うさぎ

うさぎ

No title

M5様お久しぶりです、またよろしくお願いします♪

2018/10/18 (Thu) 17:13