夜のフェアリー86
いきなり言われ驚くするがアンドレは心を平静に保とうとした。
胸の中の彼女の両肩を握りしめ距離を取った。
「無理しなくてもいい、お前を大事にするって決めたんだ」
けれどオスカルは真正面から見つめ返し説得するように返してきた。
「無理ではない!僕は・お前に愛されたい今・それがわかったんだ」
「僕はお前に触れて欲しい」
「確かに、お前と結ばれるのが怖いと思う自分がいる、けど僕が拒否してからのお前は、僕に決して近寄っては来なくなった・それが僕には辛くて」
「お前が遠ざかるたびに、僕に触れ、抱きしめてくれないのが物足りなくて、寂しくなる」
「お前が触れてくれないと、心が離れてしまったようで不安なんだ」
「僕はお前に愛されているんだと確信させて欲しい」
オスカルの真剣な眼差し。
それは愛する人と触れ合う喜びを知った女性の眼差しだ。
オスカルは・・お前は本当に女性だったんだな。
アンドレも決意しオスカルを抱きしめる。
だが、心の制御は忘れてはいなかった・
「お前の気持ちはうれしい」
「だが、俺はまだ半人前だ、お前を抱く権利など無い」
「それはわかっているのに、俺はどうしてもお前を自分のものだと確信したい」
「だから・・せめて生まれたままの姿のお前を俺に見せてくれるか?」
「そしてその姿のお前に口付けすることを許してほしい」
アンドレはいつも僕のことを一番に考えてくれる
お前になら僕の全てを捧げてもかまわないと思う
しかしアンドレの言うことは正論なのだ、僕達はまだ責任を取れるわけではない・・・
「わかった・・」
オスカルは静かに納得をした。
「それでは・・お前をベッドに連れて行ってもいいか?」
恥ずかしくて頷くだけの返答をするオスカルだがアンドレにはそれで十分だ。
アンドレはオスカルを抱きあげると、部屋の奥にある寝台に向かった。
オスカルは眼を閉じたままアンドレにしがみ付くように両腕を彼の首に巻きつける。
そうしてないと胸がつぶれてしまうそうなほどドキドキした。
寝台に連れて行かれるとアンドレはバスローブの紐を解いていった。
彼の身体は以前少し見たがこんなに直接見るのは初めてで圧倒された。
自分のか細いからだとは大違いで恥ずかしくなる
これが僕の恋人・なの?
アンドレはオスカルの服も脱がせていった。
ひとつひとつボタンをはずしていくと耳元に首筋に鎖骨にもそこかしこに唇をあわせていく
胸に巻いた白い布をはずすと、オスカルの白い肌がさらけ出された。
初めて眼にする愛する人の全て
陶器のような白く滑らかな肌の上に形良く膨らんだ二つの胸
くびれた細腰から女らしい丸みを帯びたお尻
その下にはすらりとした脚線美が悩ましく伸びている
まるで女性としての美を集めたかのような彼女の肢体
それに、アンドレは歓喜の声を上げる。
「オスカル・綺麗だ」
一度胸を眼にしたものの、彼女の全てを見るとさらに美しいと思った。
恥じらい何も答えないオスカルだが、アンドレはこんな綺麗な姿を眼に出来て満足だ
あまりの愛しさに耐えかね、彼女の上に身体を重ねるとそのまま深々と口付けしていく
「愛してる俺の・オスカル」
愛の言葉を告げた後もう一度唇を重ねる
舌を差し入れるが、今日はオスカルは拒否せず大人しく受け入れるのを感じ、アンドレはさらに奥まで侵入し、舌を絡ませながらと口中を犯していく。
オスカルの全ては奪えないものの、せめて愛せるところは全て愛しつくしておきたい。
口付けだけでオスカルはぼうっとなってしまう。
長く口付けを交わした後、その唇はオスカルの顔から下に移っていく。
首筋から胸にお腹を伝ってやがて足にまで移動しその後足の指まで唇を這わせた。
「アンドレ・そんなところまで」
逃げるようなしぐさをするが、アンドレは動けないようにしっかりと握り締める。
そしてまた口付けをして行く。
「お前は足の先まで綺麗なんだ、お前の全てに刻印をつけておきたい」
こんなにも愛してくれる 彼の情熱が恥ずかしくてうれしい
お前は僕だけの人
僕の・アンドレ
情熱を与えられるだけでは我慢できなくなりオスカルも恐る恐る自分の肌に重なるアンドレの身体を抱きしめ口付けをしていく。
オスカルが求め返そうという気持ちをアンドレはうれしく思いオスカルをさらに強く抱きしめる
僕の身体とは違い硬く逞しいお前の身体、それがこんなに魅力的に見えるだなんて
しかもこんなにもいとおしく思えるものなのか・・
お互いの肌に唇を這わせあう、それだけでも若い二人には至福の時
やがて二人はお互い抱きしめあい最後に長い口付けを交わした。
愛しくてうれしくてたまらない気持ちがこもった口付けであった。
互いの唇が離れた時、オスカルは自らの心のうちを明かした。
「アンドレ、嫉妬していたのはお前だけではない」
「え?」
「僕もサンドラに嫉妬していたんだ」
アンドレにすれば意外な話だ。
「俺が愛してるのはお前だけなのに?」
「だって・・彼女は僕がお前にしてあげられないこと全部が出来る」
「僕だって・・お前のためなら何だってしてやりたいのに・・」
オスカルの瞳に涙が見えた。
辛そうに語るオスカルがいじらしくてたまらない
抱きしめる、もう片手でオスカルの前髪を上げ、額に口づけをした。
「お前は今、俺の最高の望みを叶えてくれたよ」
抱きしめられるだけでは満足出来ずオスカルも抱きしめ返した。
しばらく抱き合いながらじっとしていた。
素肌での抱きあいはいつもよりも身近に感じてそれだけでも互いが自分のものだと実感する。
名残惜しそうに抱きしめた腕を解き、二人は横に並び寝そべった。
隣にいるアンドレにオスカルは甘えるようにその胸に頭を埋めていく、するとアンドレはオスカルの肩を抱き腕枕をしてきた。
お互い顔を見合わせてふふっと笑う。
その時、僕達は男女の恋人同士なんだと実感した。
愛とは不思議なものだ
こんなにも互いを求め恋しがるなど
恋しい人に触れたくて、相手の何もかもが欲しくて、たまらなくなる。
しかし互いを求めた結果えもいわれぬ幸福感を手にする
彼は男で僕は女なんだ、まだ本当に結ばれてはいないけど肌を重ね合わせその全てを愛した。
こうして少しずつ結びつきを増やしていければ、きっといつかはひとつになれる日が来る。