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うさぎ

夜のフェアリー108

「何でしょうか?」

「あの・それが・・・」

デュボア氏は困ってしまった、まさかジャルジェ氏が今日この場に来るとは知らずに・・・

しかも殿下も一緒なのだ、高貴な方をお待たせするなど礼儀知らずにもほどがある行為だ。

デュボア氏の気持ちが追い詰められたとき、後ろから声をかけられた。

「父さん、お客様かい?」

声の主は息子のジョシュアだった。

「あれ、ジャルジェ様?それにオスカルさんも?」

「ジョシュア!君どうして?」

ジョシュアを見てオスカルは驚いた、オーランドにいるはずのジョシュアが何故ここに?

だがジョシュアは飄々とした顔で答えた。

「オスカルさんこんにちは、実は父に一時呼び戻されましてね・・・もしかして隣にいる方は?」

オスカルは急いでジョシュアを殿下に紹介した。

「こちらはオルレアーノ王国の皇太子、ジョゼフ殿下だ、殿下、こちらがデュボア様のご子息のジョシュアです」

「はじめまして、ジョゼフです」

ジョシュアはさすがに緊張した、高貴な王子が目の前にいるのだ。

「は・はじめましてジョゼフ殿下、ジョシュア・デュボアです、ジョシュアとお呼びください」

「わがデュボア・バラ農園にようこそいらしてくださいました」

だがじょじょににいつもの調子に戻っていった。

「すごいな、本物の王子様が目の前にいるなんて、オーランドに戻れば同級生に自慢が出来ますよ」

「よろしければ握手していただけますか?」

「ええ、もちろんです」

デュボア氏は息子の登場である考えが思いついた。

本来ならば、農園主の自分が殿下を案内するのがすじなのだが、今は一刻も早くジャルジェ氏に話をせねばならない。

一言で終わる話ではない、かといってこのまま殿下を長らくお待たせするのは申し訳ない、案内を他のものに任せるのも失礼な話だ、しかし跡取りの息子が代わりならば殿下に失礼になるまい

幸い息子はこのように物怖じせぬ性格で殿下を目の前にしても平気そうだ、これならば・・・

デュボア氏はジャルジェ氏に自分の考えを述べる

「ジャルジェ様、殿下のバラ園の案内は息子のジョシュアがいたしますので、その間に事務所で話を聴いていただけ無いでしょうか?」

「どうやら若いもの同士のほうが話が弾むように見受けます」

ジャルジェ氏もジョゼフと気さくに対応するジョシュアの様子に納得し、デュボア氏の話を承知することにした。

「そうですね、では、ジョゼフ殿下、私はデュボアさんと話があるので、ここでお待ちすることにします」

「え?僕が殿下を案内するの?緊張するな」

「何を言ってるんだ、くれぐれも失礼の無いようにな」

「では、ジョシュアお願いしますね」

いきなりの大役を任され重荷に思うが、ジョゼフ殿下にお願いされ、父に命令されては仕方ない。

「わかりました、では殿下、メルシー伯爵、こちらにどうぞ、オスカルさんも」


オスカルたちが行ってしまい、デュボア氏は事務所にジャルジェ氏を招きいれ、話しだした。

「ジャルジェ様には本日中お願いに上がるつもりでした」

「ジャルジェ様に何も言わず勝手をして申し訳ないのですが・・・」

「実は今我が家には客人が来ております」

「その人物とは・・・」


ジョゼフらはデュボアのバラ園に足を踏み入れると、噂どおり数多くの赤いバラが咲き乱れていた。


「本当に赤いバラばかりが眼に入るバラ園だ、すごいな」

「僕も初めて見せていただきますが見事に赤ばかりですね」

ジョゼフもオスカルも真っ赤なバラ園に興奮しながら眺めた。

「同じ赤でもひとつひとつ特徴が違いますね、これなど光るような赤だ」

「ああ、それはアンクルウォルターといいます、大きな花ですから豪華に見えるでしょう」

「あちらの明るい赤は「カーディナル」とても人気の品種ですよ」

いつもお調子者のジョシュアだが、さすがはバラ園の跡取りだ、自分の農園の花には詳しい。

「お望みのバラはこちらですよ」

園の奥に進んでいくと今までのバラよりも深い紅が見えた。

それは黒みを帯びた深紅のバラ

「あれが、わが農園自慢のバラですよ」

ジョシュアの言うとおり、黒に近いほどの紅いバラが咲き誇っていた。

紅い中に黒が混じるとこれほど高貴に見えるものなのか・・・


だが、良く見ると、そこには深紅のバラだけでなく、二人の男女がいた。

二人は深紅のバラについて話をしている。


「本当に見事だ、まるで黒バラだな、ここだけに咲くなど何か理由があるのかな?」

「父が言うには土に含まれる成分による影響だろうって、真偽のほどは、わからないけど」


オスカルはわが目を疑った。

だが、その姿も声も間違えるわけが無い

何故・・・ここに?

オスカルが見つめる先をジョゼフも気が着いた。


「オスカル、あれは?」

アンドレ・・・


二人の驚く姿にジョシュアが笑いながら説明をした。

「驚きましたか?今アンドレさんは我が家に客として滞在されてるんですよ」

アンドレがデュボア家の・・・客・・?


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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2019/01/17 (Thu) 22:20
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

AN様こんにちは。

AN様、デュボア氏は、アンドレがバラ園にいるのでそのことを先にジャルジェ氏にいわなくては!と焦ったのです。

だってアンドレはジャルジェ家の支援を受ける身、支援者でしかも取引をしているジャルジェ家に失礼が合ってはならない。

ジョシュアがいきなりつれてくるから、そのことを伝える間にこられては困るんですよ。

しかし、再会したものの、パリでは喧嘩別れのような離れ離れの仕方でしたから、お二人の間には不穏な空気が・・・

2019/01/18 (Fri) 13:36