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うさぎ

夜のフェアリー124

翌日の夜明け前、アンドレはロメニーの館でオスカルを待っていた。

だが、なかなかオスカルは現われない、もうすぐ夜明けだ。

昨日約束したというのに。

「一体どうしたって言うんだ」

ソファーに座ったままで深くひじを突きため息を吐く。

もしかして、またジョゼフのことで・・・

だがオスカルが約束を破るなど考えられない

暖炉のほうを向いて考える

アンリ・ド・ロメニーは愛した女性との思い出のために、この屋敷を立てた。

結ばれぬ関係だとわかっていながら、愛してしまう。

他の誰かでは愛した人の代わりには成り得ない

彼もこのような気持ちで晩年を送ったのか・・・

夜明けが来てしまった。

オスカル・・結局お前は来なかった・・


意識を失ったままだから、本当にそうなのかわからないが。

誰かの腕に抱かれ、部屋に連れて行かれた。

ベッドの上に寝かされ、心配そうに僕の顔を覗き込む人は

アンドレ・お前なのか?

オスカルが目覚めたのは昼近くだった。

朝の光がゆるやかになり、ばあやがカーテンを開けたのでオスカルの顔に日が差し、目が覚めたのだ。

「オスカル様、お目覚めになりましたか?」

眼を覚ますと、そこにはばあやの顔がある。

「ばあや・・・ここは!?」

周りを見渡すとロアンヌ村での自分の部屋だ。

僕は・・ジョゼフと演奏の練習をして・・そして・・・

「覚えてらっしゃいますか?オスカル様は夕べジョゼフ殿下と楽器の練習中にお倒れになったんでございますよ」

「殿下は、私とグレゴリー先生をお呼びになられ、オスカル様を部屋まで連れてきてくださったのもジョゼフ殿下です」

そうか、僕は練習中に倒れたのか・・・

「グレゴリー先生がおっしゃるには、疲れが一気に噴出したのだろう、と」

確かに何日もろくに寝ていなかった・しかも夕べは遅くまで練習していたから・・・それで・・・

「先生はゆっくり休めるよう、栄養と睡眠効果のある注射をしてくださいましたが、ご気分はいかがですか?」

それで頭がぼんやりするのか・・栄養剤と睡眠効果のある・・注射・・・!

しまった!

オスカルは大事なことを忘れていることを思い出した!

「ばあや!今何時だ!?」

オスカルは急いで飛び起きようとした。

その様子に驚きながらばあやはオスカルを止めた。

「お起きになってはいけません、もう少しお休みになってください」

「もう大丈夫だ、寝てなんていられるか!」

時計を見ると

しまった!もう11時ではないか!

アンドレとの約束があったのにどうしよう!

オスカルはいてもたってもいられない気持ちだ

だが、ばあやはオスカルにいつもより厳しく諭した。

「ジョゼフ殿下が心配なさってましたよ」

「ご自分のせいではないかと気にされてました、目の前で倒れられたのですから当然でしょう」

それを言われると辛い、ジョゼフは自分のせいだと思ったのか・・

疲れていたとはいえ、僕が一睡もせずにアンドレに会いに行ったのが原因なのに・・・

「オスカル様が無理をすれば殿下の心配を増やすだけなのですよ」

「明日はお茶会を開くんでございましょう?そのためには今日一日お休みを取って明日にお供えください」

そうだ、明日がジョゼフが楽しみにしているお茶会での演奏があるのだ。

どっちにしろ、もう遅い夜が明けてしまったのだ、アンドレはもうロメニー館にはいないのだ。・・・

「そうだな・・わかった」

ばあやの言い分はもっともだ、オスカルは素直に従うことにした。

「ばあやの言うとおり、今日はゆっくり休むよ」

オスカルがもう一度ベッドに横になったのを見てばあやは安心してベッド前の椅子から立ち上がる。

「私は明日の焼き菓子の準備があるのでこれで行きますが、オスカル様は本当は女性なのです、あんまりご無理はしないでください」

「大事になさってください、オスカル様はそれほどお体が丈夫に出来ていないのですから」

「うん、わかった」

それでは、といってばあやは部屋を出て行った。

ばあやがいなくなってオスカルは改めて考えてしまった。

つくづく自分が情けなくなる

ジョゼフのためのロアンヌ村への同行のはずだったのに・・・

思いがけなくアンドレと会って、彼のことしか考えられなくなり、その上体調を崩しジョゼフに心配をかけてしまった。

結局アンドレとの約束も破ってしまったし・・・

明日のお茶会で何とか彼に会って、いけなくなった理由を伝えなければ・・・

一人深く反省していると、ノックの音がした。

「オスカル、起きていますか?」

その声はジョゼフだ。

「はい、起きています」

「では、はいってよろしいでしょうか?」

「どうぞお入りになってください」

オスカルはベッドの上に座り込んだ。

まもなくジョゼフがドアを開けて部屋に入ってきた。

「もう起き上がられて良いのですか?お加減はどうですか?」

心配そうな顔でベッドの上のオスカルを見る


「心配おかけして申し訳ありません、ですがゆっくり睡眠をとりましたからもう大丈夫です」

「そうですか・・・良かった・・」

先ほどまでばあやが座っていた椅子に座るように進め、ジョゼフは椅子に腰掛けた。

「僕を介抱していただいたそうですね、ありがとうございます」

「いいえ、当然のことです・・それより・・」

「オスカル、貴方の体調も考えず、いろいろとわがままをいって申し訳ありませんでした」

「そのせいで貴方をこんなめにあわせてしまった」

ジョゼフは廃墟探索や、演奏でオスカルに無理をさせたことを謝罪に来たのだ。

オスカルはそれを聞いてとんでもないと思った。

「違います、ジョゼフ!僕が倒れたのは僕の体調管理のせいで貴方のせいではありません」

「僕こそ、たかが演奏の練習くらいで倒れるなど恥ずかしい限りです」

しかし、ジョゼフはそれでも申し訳ない気持ちでいた。

「しかし、僕のせいで倒れたのは間違いないのです」

「オスカル・・・明日の演奏は取りやめましょう」

「ジョゼフ・・・何を言うのです!」

突然のジョゼフの演奏の取りやめにオスカルは驚愕した。

「貴方をこんな眼にあわせてしまったのです、それなのにまだ演奏をやるなどとんでもない」

ジョゼフにやめるなどといわれてもオスカルには納得が出来ない

「今日一日休めば、良いこと、明日には元通り元気になります」

「でも・・それでも・・」

まだ演奏をやめる所存を見せるジョゼフにオスカルは必死で説得を試みた。

「ジョゼフ!僕は貴方とのセッションを楽しみにしていたのですよ」

「以前言ったでしょう、貴方と僕はきっとわかりあえるのだと、その貴方と一緒に演奏できる喜びを僕から取り上げてしまう気ですか?」

「たかが短い時間、楽器を鳴らすだけです、それくらいで死ぬわけでは無し」

「素晴らしい演奏を追い求めるジョゼフの足を引っ張るかもしれませんが、僕なりに頑張って見せます」

「きっと成功させて見せます、大丈夫、僕本番には強いんですよ」

「オスカル・貴方は・・」

わざと明るく言うオスカルにジョゼフは自分を元気づけようとしているのがわかった。

「わかりました・・ではオスカル明日はお願いします」

それを聞いてオスカルはにこやかに答えた。

「ええ、一緒に頑張りましょう!」

オスカル貴方はいつも僕を励ましてくれる、

それは・僕がオルレアーノの王子だから?

それとも僕のことを・少しは好いてくれているのですか?

オスカル僕は貴方のことが知りたい

「オスカル・貴方は何故こんなに僕に良くしてくれるのですか?」

いきなりのジョゼフの言葉に戸惑ったが、オスカルは少し考え返答をした。

「それは・・ジョゼフ僕は貴方を尊敬し・友情を感じているからです」

「僕に友情を感じているというのですか?・・」

独り言のように言うジョゼフにオスカルは大きく頷いた。

それを見てジョゼフはずっと疑問に思っていたことを口にすることにした。

オスカルへの疑問・それは・・・

「真に僕に友情を感じてくれているのならオスカル・・教えていただけないでしょうか?」

「貴方は女性でありながら、何故男性のふりをしているのですか?」

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うさぎ
Posted byうさぎ

Comments 2

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2019/02/22 (Fri) 18:05
うさぎ

うさぎ

Re: タイトルなし

AN様こんにちは。

オスカル様、アンドレとの約束を果たせず無念の思いです。

AN様徹夜でのテスト勉強による寝坊は、かなりの人が経験済みでしょうね・・・実は私も・・・

オスカル様、とうとう殿下に女だとばれてしまいました!

殿下は果たして黙っていてくれるでしょうか?

そして、そうです逢瀬の約束だめにされたアンドレの心境も気になるところでしょうね。

心配でしょうけど、まずは殿下への説明から話は進めていきます!

2019/02/23 (Sat) 15:24